こんばんは。
月刊カートピア12月号でも、取材と撮影を担当させていただいた記事が掲載されております。
今回撮影させていただいた際に感じた事を少し…
このお店はコーヒーのプロ中のプロなオーナーが自家焙煎で、かつシングルオリジンのスペシャリティコーヒーを提供しています。
しかし、オーナーは…
「おすすめはスイーツです」
「スイーツを決めていただいてから、構わなければそのスイーツに合うコーヒーを提案させて下さい」
と言うのです。
実際に提供されたケーキとコーヒーを口に運ぶと、両者共々ずば抜けたレベルなのですが、個のレベルが高いにも関わらず、それぞれ過度な主張はなく互いが互いを引き立て、高めあっているように感じました。
オーナーの控えめな言葉や、見た目はシンプルなケーキとコーヒーが実際に口に運んだ時の美味しさ、調和し引き立て合う関係性は写真を撮る人間としても大変学ぶことは多かったです。
映えの意識や、過度の表現をしなくてもシンプルな物を突き詰めていけば響く。そんな事を教えられた気がしました。
SNSが写真のメインステージとなりつつある今日。
映えや、埋もれないために表現がエスカレートしているように感じます。
被写体やそれにまつわる記憶を綺麗に遺したい、と言う事が写真の前提であるならば、それを個人の個性で残す事は自由だと思いますが、注目されるために、本来は綺麗に残したいはずだった被写体に自己表現を押し付けすぎて元がなんだか分からないくらいになってしまっている写真や人で溢れていると感じます。
作品ならば否定はしませんが、写真なのか、と言うと境界は越えているのかなと。
自分は、このコーヒーやケーキとの様に、被写体と撮り手を引き立てあえる写真を撮れるようになれたら…
そしてそれらを遺していきたい。
取材にご協力頂くばかりか、そんな事を改めて示して頂いた気がしました。
さて、写真の方はと言うと…
オーナーさん達が試作、改良を積み重ねて提供されるチーズケーキ。
外はかりっとするまで焼いてあるのに中はレアという、バスクチーズケーキと言うものになります。
オーナーさん拘りのケーキですから、その質感を重視して撮ってみました。
まずは全体の雰囲気を決める光の向きは、逆光、半逆光になる席をチョイス。
その上で、中のレアな部分の照りと言うかしずる感を強調するためにレフ坂を用いてケーキ断面に光を導きました。
あまり強く当てると違和感が出るで小さい物で反射が弱い色をチョイス。
先月もそうでしたが、露出は自分の感覚でしっかり決める反面、色味(ホワイトバランス)は紙に刷ってみないと解らないので自分がいいと思った色味で撮りはしますが、刷ってみて色公正任せと言った感じです。
モニターの場合は色味や明るさは見られる皆さんの機器でバラバラですし。
色温度計なんて高いし、それに見合うようなモニターも高いし(^^;←オイ
刷り上がった記事を知人達に見せると大体第一声が、「このチーズケーキ中がレアで美味しそう!」などと感想を頂いたので、表現したかった事に目が向いてくれるようで良かったのかなと思います。
全体的な表現はまだまだなのですけど。
ありがたい事に先月の記事に書かせて頂いたお店からは、「カートピア」を持参して訪ねられた方がいらっしゃったとご連絡を頂きました。
自分の写真が誰かのドライブの切っ掛けになったのか…と思うと、楽しかったかな?とか、ご夫婦だとうかがったので、そんな時間はたまの2人の素敵な時間になったのかな…などと少し心配な反面、嬉しくなりました。
お店の方から話を伺って感じた事を表現出来る写真を撮りたいとシャッターをきった事が、誰か一人でも響いたならそれでいい。
なんて、言ったら仕事で撮った者として失格なんだろうけど、僕はたまらなく嬉しいんです。
fin.
Posted at 2018/12/11 22:28:04 | |
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