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2018年10月21日 イイね!

トヨタ カローラスポーツ(ターボエンジン搭載CVT車とM/T車) 試乗

トヨタ カローラスポーツ(ターボエンジン搭載CVT車とM/T車) 試乗 この日は、カローラスポーツに試乗してまいりました。この日はM/T車に乗りましたが、先月9日にはCVT車に試乗しており、双方の比較試乗として記します。

カローラスポーツの位置づけ
 カローラスポーツは、これまでオーリスとして展開していた車種の後継車として位置づけられます。歴史的展開は、オーリスRSグレードM/T車に試乗した際に記しておりますので、そちらをご覧下さい。

今回のモデルから、車名は再びカローラ系列に入りました。カローラ系列はまだ出揃っておりませんが、現行のカローラ(アクシオとフィールダー)はP130型ヴィッツの系列に近く、このカローラスポーツは現行プリウスの「TNGA」ボデーを採用した、3ナンバーボデーとなっています。

既に3ナンバーと5ナンバー車は一部のフェリー乗船料金に差がある程度で、自動車税等の課税は排気量に寄っています。そのため、同クラスの車はほとんどが国際的競争力を持つ3ナンバーボデーに移行しています。5ナンバーでないと困る人は、車庫に5ナンバー車しか入らない方と、課税を勘違いしている方です。ナンバー種別にこだわっている方(1990年頃に、マツダ クロノスなどに抵抗があった方)は、既に多くが生産年齢人口から外れ、主要消費者から外れています。

そしてこの車は、プリウスのスポーツハッチバックとしての位置に収まっています。といって現在のところはエンジンが特別スポーツではなく、ごく普通のハイブリッドシステムとターボエンジンになっています。

すなわち「スポーツ」とは、かつての「GTグレード」とは異なり、ビジネスを離れた日常用ということを強調するための名称になっています。「スポーツ」とつかないと営業車として買うユーザーが出て、車が営業用車としての性格を帯び、一般ユーザーが離れてしまうのです。

以上のことより、今回のカローラスポーツは、1976年に追加された「カローラリフトバック、スプリンターリフトバック」に近い、レジャーとほんのりスポーティーなドライブが可能なモデルとして位置づけられていると考えています。

エンジン
 8NR-FTS型、1200ccのDOHC筒内噴射ターボ、かつ、アトキンソンサイクルを採用したエンジンです。世界的にダウンサイジングターボエンジンが流行している時の、旧型オーリスの後期型で追加されたものです。無過給領域ではアトキンソンサイクルで効率よくエンジンが回転し、過給領域ではパワーを補うエンジンです。現行日産ノートが採用した、HR12DDRスーパーチャージャーエンジンに近い性格で、これまでの1500cc自然吸気エンジンの置き換えと考えられるエンジンです。

CVTモデルでは変速比を車側が調整するために、過給圧力が上がってくると変速比を上げる制御をします。そのため、エンジンが低回転で回りながら大きな出力を発揮しているような印象になり、「低速トルクが非常に大きい」と感じられます。

一方、M/Tとの組み合わせでは変速比が固定されるために、上記ほどの制御は行われません。代わりにスロットルバルブ開度で調整している模様です。エンジンは、低回転時からほどほどの出力が発生し、過吸領域に到達しても大きな出力が発生されたようには感じず、あたかも自然吸気エンジンのような印象になります。

エンジンは5200回転から5600回転の間で最高出力の116馬力を、1500回転から4000回転の間で18.9kgf・mと、2000cc自然吸気エンジンに近い最大トルクを発生します。回転数を上げて大きな出力を維持したくなる性格のエンジンではありませんでした。一方、極低回転時から出力を発揮出来ないターボエンジンですので、クラッチミートには若干気を使います。

当然CVTと組み合わせたほうがエンジンに余裕を感じますが、M/Tとの組み合わせでは、出力をドライバー自身が制御して発生させる印象です。オーリスでは1度エンストをしてしまった私ですが、こちらのエンジンの方が低回転時に余裕を感じます。

車好きである私が書くのですから、当然M/T車をお勧めしたくなります。M/T食わず嫌いの方は、ぜひお乗りになってみてください。

トランスミッション
 M/T車の1速は3.727とかなり比が低くなっていますが、最終減速比は3.944と比較的高めです。この最終減速比からしても、このM/Tはスポーツ走行用というよりは、普通の乗用車の性格であることが読めます。それなら5速M/Tでも十分ではないか、と思います。

オーリスの頃のギヤ比は覚えていないのですが、3速と4速の違いがほとんど感じられませんでした。むしろ腕を動かす数だけが多くなってしまっていました。この車ではギヤ比割りが改善されているようで、4速のギヤ比が少し高くなっているようです。

これは余談ですが、1速で発車した際には「ゴロゴロ」とエンジンの音が聞こえます。この音がE70型やAE86型などでも感じられた懐かしい音で、運転している気分を盛り上げます。最新の車をM/Tで操ることは、非常に楽しいです。

シフトフィーリングは、軽く操作できるものです。節度感はあまりなく、シフト操作完了はシフトを動かせたことによってのみ、感じられます。もう少しクリック感があったほうが良いでしょう。シフトストロークはやや多めで、セレクトストロークはやや少なめです。レバー倒れ角は、1速時にレバーが直立する、従来のトヨタ車のものとはちょっと変わったように感じます。

今回搭載された「i-MT」は、シフト操作とエンジン回転数合わせを連動させるものです。アクセル開度やエアコンとともに調整する「モード切替スイッチ」をSPORTにすると機能するとのことですが、SPORTモード自体がアクセルペダルに対してエンジン出力が先に出てくる印象で、決して扱いやすいものではありませんでした。

そもそもブレーキペダルとアクセルペダルの関係が「ヒール&トゥ」をしづらい位置であり、そもそもペダルの位置の方を改善してもらいたいものです。このシステムは、本末転倒だと思います。

 CVTは、低い変速比で発車した後に「あたかも変速比を固定しているかのように」緩やかに変速し、一体感がある加速が楽しめます。

緩やかに再加速をする際には変速比を下げず、高い変速比のままで加速をします。この際、実際にはスロットルバルブ開度は増しているようで、あたかもエンジンが大きな出力を発揮しているように感じます。

アクセルペダルを急に大きく操作した際の印象は良くありません。エンジン出力を増すためにエンジン回転数(ターボチャージャーを回すための、排気ガスの量でもあります)を上げるために変速比を下げるのですが、アクセルペダルを踏んで待っている必要があります。ターボチャージャーの回転数が上がるためにも、待ち時間が必要です。

実際の使用場面でも、追い越し加速をする際などに対向車線の状況を確認し、アクセルペダルを踏んで待っている間に対向車が来てしまう場合もあることでしょう。トランスミッションを含めた「総合的アクセルレスポンス」に難があり、CVT車にはより排気量が大きい自然吸気エンジンを組み合わせた方が良いと感じました。

ブレーキ
 ブレーキサーボが効きすぎ、ブレーキペダルを少し踏むとペダルが奥に吸い込まれるような印象です。微小ブレーキ開度の際には、制動力の調整が大変しづらいです。ブレーキペダルを戻しても制動力が減少せず、停車時に「カックンブレーキ」になりやすい傾向があります。

ペダル反力もスポンジーで、踏み応えがあまりありません。このことも、「ブレーキペダル踏み込みをどこで止めるか」調整しづらく、減速する際にはペダル操作に気を使ってしまいます。

このことは、トルクコンバーターがないM/T車ほど顕著でした。低回転時に出力が低下するエンジンの特性と相まって、停車時には若干気をつける必要を感じました。もう少しブレーキを改善しませんと、停車時の取り扱いに難があるように感じます。

ステアリング
 電動パワーステアリングを採用しています。操作に必要な力は非常に少なく操作できますが、路面の状態をほとんど伝えず、「ただ軽い」だけの印象になっていました。直進性能は高く、路面の状態を掴めなくても影響はないのですが、カーブの際の取り扱いには、若干難を感じます。

TNGAシャシーを採用したことによる効果は、直進安定性にも操舵性にも及んでいます。今回は操舵性については十分に試すことはできませんでしたが、直進安定性はかなり高いと言えます。だからといって路面の状態を伝えなくても良い、ということにはなりません。ぜひ、操舵感はもっとしっかりと路面の状態を伝えるよう、改善を望みます。

サスペンション
 この車の美点が、サスペンションです。路面の凹凸に対してサスペンションがしなやかに動き、路面の突起だけでなく、うねりやわずかな凹凸に対してもタイヤだけが上下に動き、車体に伝えないほどになっています。タイヤの扁平率が高く、路面の凹凸をタイヤが吸収しづらくなっているのですが、「現代のサスペンションは、路面からの大きな入力を十分に吸収する」ことを、強く感じさ得ます。

プリウス/プリウスPHVの場合には、うねりを乗り越えたあとに車の上下動が残っていました。この車では揺れが一発で収まり、車体を安定させています。硬すぎず柔らかすぎず、心地よいサスペンションです。

スポーツというサブネームだからといって、「スポーツ/サーキット走行」を目的としていない、ということが、このサスペンション設定からよくわかります。軽快に気軽に乗れる普通の乗用車のサスペンションです。

ボデー
 TNGA車体構造採用の効果は如実で、二世代前のオーリスでは、突起を乗り越えるとフロントガラス部分がガタゴトと震えました。旧型オーリスでは、ガタゴトとした振動が、ミシミシ程度のひずみに軽減されました。そして今回のカローラスポーツでは、サスペンションから振動が伝わらないだけでなく、車体が振動を完全にいなしています。

車体前部だけでなく後部についても同じことがいえ、車の後ろに大きな開口部が空いている不利さを感じません。しっかりしたボデーは、しなやかな乗り心地に効いていますが、大きな安心感にもつながります。

 一方、ボデー後方および斜め後方の視界は非常に悪く、以前ベンツGLAで感じた時そのものです。リヤハッチは、ハッチ自体の剛性を高めるためかガラス面積が狭くなっています。ボデー後部の剛性を高めるために、クオーターピラーが太くなっています。しかも、助手席シートバックも厚く、視界を悪化させます。すなわち、後方も斜め後方も、振り返ってもほとんど何も見えません。車庫入れ時にも左折時にも車線変更時等にも有効な視界を得られず、安全性に影響すると考えられます。





デザイン上、クオーターピラーを太くするとスタイル上の安定感が高まるのですが、このスタイルは運転に差し支えてしまいます。ここのところトヨタ車の視界は悪化する一方ですが、その中でも悪い方に属します。

 内装は、新しさと従来が共存しており、プリウスPHVやクラウンほどの先進性は感じません。エアコン操作部はメカニカルスイッチとなっており、モニター等が故障してもエアコンを使用できるようになっています。ナビゲーションとエアコン操作パネルが手前に出てきており、シフトレバー奥は引っ込んでいますから、なんとなく運転席の左斜め前が迫っているようで、圧迫感があります。



前方の視界は、ダッシュボード上端が低くなっているために、旧型オーリスで感じた「ドライバーがアゴを上げて運転する感じ」がありません。これは、運転が楽に感じられるポイントです。



メーターは最新の「コンピューターのグラフィック」による描画で、最新性を感じます。奥行き感や精巧な感じはありませんが、メーターはどの方向に向かうのでしょうね。1980年代初めのデジタルメーターは、結局おもちゃ程度になってしまいました。現在はメーター内にいろいろな情報を表示する必要が出てきましたので、コンピューターグラフィック表示に分があるように感じます。その一方で、腕時計のようなデザイン性も求められるでしょうから、すぐに変わってしまうことはないでしょう。

内装は、ほとんど黒一色です。屋根も柱もイスもダッシュボードも、全部黒です。白内装が一部高級車になり、カフェラテ内装はファミリーカー用になり、グレー内装は営業車になり、青内装は絶滅とあっては、黒しかなかったのかもしれません。

まとめ
 「この車は、カローラリフトバック/スプリンターリフトバック、ないしはカローラFX」である印象は変わりません。かつてカローラレビン/スプリンタートレノがインテグラタイプRと争ったころのスポーツではなく、レジャーや余暇を楽しむためのスポーツです。

「インプレッサやアクセラのハッチバックモデルがスポーツと名乗っているのも、営業車として購入する会社が、「スポーツ≒遊び」と名のついた車は選ばない。営業車にならなければ台数は伸びないが、一般ユーザーが仕事感覚を感じずに買ってくれる。」ことを狙ったと考えられます。

営業車にも使われず、サーキット走行を思わせるスポーツ感覚もない、という、普通の乗用車を狙った車としては、良い線を行っていると思います。アクセラがやや古く、ボデーに軽快感を感じさせる一方で剛性が今ひとつ、インプレッサは高級感を狙ったのか、若々しさや軽快感に欠ける、という仕上がりになっています。

そんな中、CMのように軽快感がよく出た、仕上がりの良い車になっています。スタイルも躍動感があり、持つ喜びを感じさせます。これまで続いたトヨタの「キーンルック」も緩和され、旧型オーリスを正常進化させたスタイルになっています。

気になるのは後方の視界で、軽快感とは正反対の、まるで「アナグラにこもったような」感じです。最近の車のスタイルは、1970年代前半のように、「外界から乗員を守る、包まれ感あるボデー」になってきているように感じられます。しかし、ボデー剛性が高くても、視界が悪いことは勘弁願いたいものです。視界の悪さが気になる方は、この車はやめた方がよいでしょう。

 また、最近トヨタが展開している「GRシリーズ」なども気になるところです。実質は1500ccエンジン車程度の動力性能で、メーカーが打ち止めをしてくるとは思えません。2ZR-FAEスーパーチャージャーや、3ZR-FAEエンジンなどが適当なエンジンではないか、と思います。

購入時期を考える上で、走りが好きな人はもう少し待ってからの方が良いでしょう。普通の乗用車として使用したい人や、サーキット走行はしない人は、今購入されても良いと思います。

参考にして欲しい記事
トヨタ
オーリス(旧型前期RS)
オーリス(二世代前1800cc)
ブレイド(2400cc)
ブレイド(3500cc)
プリウス(短距離)
プリウス(長距離)
プリウスPHV
プリウスPHV(長距離)
カローラアクシオ(後期型)
ヴィッツ(中期型)

ヴィッツ(初期型)

日産
マーチ(ニスモ)
ノート(ニスモ)
ノート(スーパーチャージャー)
ノート(e-power)
ノート(e-powerニスモ)
シルフィ

本田
フィット(初期型RS)
フィット(初期型ハイブリッド短距離)
フィット(初期型ハイブリッド長距離)
フィット(初期型1300cc)
グレイス(前期型ハイブリッド)
シビック(後日記入)

マツダ
アクセラ(1500cc)
アクセラ(初期型2000cc)
アクセラ(ハイブリッド)
デミオ(初期型ガソリン/ディーゼル比較
デミオ(初期型中距離)

スバル
インプレッサ(スポーツ)

VW
ゴルフ(現行初期型)

メルセデス・ベンツ
GLA
Posted at 2018/10/22 00:27:34 | コメント(2) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ
2018年03月25日 イイね!

日産セレナ e-power仕様とNISMO仕様 比較試乗

 この日は日産の販売店にて、セレナのe-power仕様とNISMO仕様とを比較試乗しました。現行のセレナも販売は好調です。ただし、ノアとヴォクシーとエスクァイアを別の車種として取り扱った場合のことで、3車種総計では負けてしまっています。とはいえ、絶妙な価格設定とシリーズ展開により、トヨタ側には手ごわい相手になってきています。

それぞれの特徴



 NISMO仕様は、MR20DD4気筒ガソリンエンジンとCVTを組み合わせた、標準仕様と同等の車両です。ボデー剛性を向上させ、サスペンションを固めた、いわゆるツーリング仕様です。エンジン仕様は変更されていない模様です。



 e-power仕様は先に登場しているノートのe-power仕様と同等のシステム構成です。エンジンもHR12DE、発電モーター・駆動モーターとも同様です。ノートと比較して車重が増しているために電池切れ、その結果発電の機会が多くなると考えたためか、エンジン出力がわずかながら向上されています。また、床上に電池を搭載しているために前席シート位置が高くなっていますが、サスペンション等は概ね同等です。

以下、項目ごとにNISMO仕様とe-power仕様の順序で書きます。

エンジン
 NISMO仕様には、標準車と同じMR20DDエンジンを搭載しています。専用コントロールユニットでチューニングされているとのことです。このエンジンは旧型から搭載され、本モデル搭載時の変更ははごくわずかです。専用コントロールユニットのためか小変更のためか、燃焼速度が増した模様で「ジリジリ、ザラザラ、ガサガサ」音が強まりました。音は耳よりも床下から振動として伝わって来るようで、不快に感じるほどです。標準モデルではもう少し振動が少なく、快適に感じた記憶があります。エンジン出力や燃費の向上には燃焼速度の向上は大切ですが、現代の車としてはうるさい部類に入ってしまったように感じます。

出力の上では十分であり、比較的大きな車体を普通に走らせます。強化されたサスペンションとボデーにはややパワー不足を感じるものの、多人数が乗車する全高が高い車両なら、この程度で十分なのでしょう。





 e-power仕様は、HR12DEエンジンが搭載されています。3気筒エンジンは、振動がつきものです。ところが、エンジンの振動が駆動系統に伝達されないシステムであること、エンジンのマウントを振動を吸収するためだけに使えること、発電機によっても振動を吸収できることにより、振動は極めて小さくなっています。ノートの場合と全く同じで、e-powerシステムのシリーズハイブリッド方式を生かしています。3気筒らしさは排気音による振動が少々聞こえるのみで、全く感じさせません。

e-powerシステムは、エンジンの出力が駆動軸に伝わることはなく、モーターで駆動する方式です。駆動は非常にスムーズかつ滑らかで力強く、2500ccエンジンはあろうかと感じさせます。電池に蓄えられた電力が低下すると、エンジンで発電を行いながらモーターで駆動します。一説によると、多人数乗車や連続登坂走行では電池充電分を使い尽くし、エンジンが高回転で発電をしつつ、走行速度が低下するとのことです。箱根ターンパイクや談合坂などが、これに該当する状況ではないかと推察されます。日光いろは坂などでは直線が少なく、速度が上がらない上にカーブ手前で減速するため、上記状態にはなりづらいと思います。

トランスミッション
 nismo仕様は、標準車と同様のCVTが採用されております。変速スケジュール等も変更されていない模様で、走行時の印象も標準車と同等です。CVT故にマニュアルモードを選択すればマニュアルトランスミッション似の変速は可能です。

nismoの名がついていると、トランスミッションも6速A/Tなどが採用されそうな期待をしてしまいますが、今やトランスミッションは排出ガスにも影響を及ぼすために、そう簡単には変更出来ない部品になっています。雰囲気を楽しむ車として、ここは割り切る必要があります。それにしても、CVTはフルードが過熱するとエンジン出力を制限してしまうために、山岳路を積極的に楽しめる時間は短くなっています。

 e-power仕様は、エンジンの出力を発電機によって電力に変換し、車軸と連結されているモーターで駆動する方式を採用しています。アクセルペダルの踏み込み加減によってエンジン回転数を連動させる方式は採用しておらず、もっぱら電動駆動を主体としています。そのため、電池の充電状態が十分であれば、電気自動車として走行します。

前述の通りエンジンの遮音が行き届いているために、車速やアクセルペダル操作量とエンジン回転や吸気音が連動しなくとも、そう不快ではありませんでした。

サスペンション
 nismo仕様は、専用ハイグリップタイヤの性能を生かしたり、剛性が向上された車体により、サスペンションが強化されています。とはいえ乗り心地が犠牲にされておらず、快適さの中にしっかりさを感じさせる調整がなされています。突起乗り越え時の横方向の揺れが少なくなっており、全高や地上高が高い車の不快感はありません。横揺れの少なさは乗り物酔いの軽減にもつながるでしょうから、ご家族に乗り物に弱い方がいる場合にも、この仕様はお勧め出来ます。

nismoの外観は嫌いだけど、この乗り心地は欲しい人は多数いると思います。現代の車は衝突被害軽減ブレーキ装置が装着されているために、サスペンションチューニングが公式的には出来なくなっている傾向にあります。結果、このしようを選ばなければならないというのは、何とも選択肢がないものです。

 e-power仕様は標準車と同等のはずですが、床上に電池を搭載していることなどから、標準車とnismo仕様の中間程度の印象です。乗り心地は柔らかく、コーナーリング時のロールはややありますが、突起乗り越え時の横揺れは少なめに感じられます。しかし、nismo仕様に乗ってしまうと貧弱な印象で、乗用ミニバンらしさが出てしまっています。

ステアリング
 いずれも電動パワーステアリングを採用しています。nismoは専用チューニングがなされているとのことで、若干手応えを感じさせる重さになっています。e-power仕様は標準車と同様で、軽めの仕様となっています。

この種の車はCMの通り、女性の意見「だけ」を聞いてチューニングされている節があり、ただただ軽ければ良い、という設計がまかり通っています。残念なことに、女性のほとんど(男性も一部)は、ステアリングホイールはただただ回すだけのハンドルだと思っているのです。手応えを感じながら操作出来るのがnismo仕様、そうでないのがe-power仕様を含む標準車仕様と言えます。

ブレーキ
 いずれも真空倍力装置付きの油圧ブレーキを採用しています。e-power仕様はノートと同様で、リーフが採用した、回生ブレーキだけでなく油圧ブレーキまでもが連動するシステムは採用されておりません。日産車の美点である、しっかりとした踏みごたえと、減速度を調整しやすい操作感は健在です。

一方、e-power仕様は回生ブレーキを優先させる「ワンペダル」制御が採用されており、ブレーキペダルに踏みかえることなく停車が可能です。このシステムは、スイッチ操作でワンペダル制御(アクセルペダルから足を離すと回生ブレーキを効かせる状態)と、擬似CVT制御(わずかな減速のみに下状態)とを切り替えられます。

ぜひステアリングコラム部に操作スイッチを設けて欲しいものです。市街地走行では、上記のどちらも使用したい場面があり、切り替えを頻繁に出来ると便利であるためです。鉄道でも、モーターに通電を続けて一定速度走行をすることは可能ですが、電力消費量低減の観点では、モーターに通電をする「力行」とモーターへの通電をやめた「惰行」を繰り返したほうが良いとのことです。

もっとも、惰行が有利なのは誘導モーターであり、この車を含めたハイブリッド/電気自動車が採用する同期モーターでは、引きずりトルクが発生するため、決して有利ではない模様です。

ボデー
 nismo仕様はボデーの下部を中心に強化されており、突起乗り越え時にも車体がしっかりとしています。試乗コースではいわゆる「コーナーリング」を試せませんでしたので、実力のほどははっきりしません。乗用車との違いがごくわずかで、事情によってミニバンに乗らなければならなくなった方には、選択肢の一つとして挙げて良いと思います。

また、nismoのバケットシートが装着されていましたが、私の感覚ではこれはやりすぎで、シートは標準的なデザインの範疇のスポーツシートに抑えて欲しいと感じました。とはいえ、座り心地は快適ですので、スポーツシートならではの硬すぎる印象はありません。

 e-power仕様は標準車と大きくは変わりません。乗り心地が柔らかければ、車体剛性もほどほどで、ドライバーに走る気を起こさせません。また、電池が前席の床下にも及んでいますので、着座位置が高くなっています。

もっぱら乗用車の運転感覚に近づいたミニバンですが、これは全くの旧型ミニバンそのもの、日産ならラルゴ(W30型)やセレナ(C23型)に戻ってしまった印象です。この地上高の高さも走る気を起こさせない一因で、ゆったり走る車であることを感じます。

内装は、いずれも標準車と大きく変わることはありませんでした。

まとめ
 nismo仕様は、エンジニアが「ミニバンを感じさせないミニバンを、コストをあまり考えずに設計した」印象です。スポーツカーとは言えませんが、ツーリング系セダン程度の運転感覚でいられます。標準仕様でも違和感なく運転可能ですが、さらに乗りやすくなっています。

現在、国を挙げて自動運転の方向に向かっている結果、現在は「運転支援装置」の進化が著しくなっています。運転支援装置も良いのですが、車としての基本に立ち返り、運転しやすい車体、サスペンション、着座位置を十分に検討された車がより良いと感じました。

 一方のe-power仕様は、静かさと振動の少なさが特筆されます。nismo側が、最近の車にしてはエンジンの振動が大きかったことも、さらにe-power仕様を新しく感じさせる一因になったのでしょう。3気筒エンジンの嫌な振動や音がほとんど感じられす、3気筒エンジン嫌いの私でも、「これならe-power仕様の方が良いかな。」と感じたほどです。

しかし、この着座位置の悪さは気になりました。全くバスそのもので、運転に若干の慣れを要します。

 以上のことから、e-power仕様のnismo仕様が発売されると、きっと理想的な使用になるのではないか、と考えます。しかし、いろいろチューン具した結果。車両価格が400万円を超えるようになってくるのでしたら、素の仕様を我慢して乗るとか、nismoでもe-powerでも妥協して乗ることも考えます。

セレナ級のミニバンが難しいのは、結構予算に厳しい人が購入しており、コストをかけて上級仕様を設計しても、結局お客さまの予算から外れてしまうことです。また、数年を待たずして「幸せなミニバンファミリー」から、「養育費を捻出するためのタントやスペーシア」に変えられてしまう車でもあります。

また、日産リーフでも問題になっている、電池の劣化問題も気になります。化学変化を利用した電池ゆえ、永久に性能を保つことはありません。ノートと比較して電流の入出力が多くなるでしょうから、劣化も早く起こるのではないか、と推察されます。

そんなことから、普通の方にはe-powerを勧めて7年で一区切りをつけ、予算がある人はnismoも検討しても良い、ということにします。

参照して欲しい記事

トヨタ
ヴォクシー(初期型)
シエンタ

日産
セレナ(初期型)
ノート(e-power)
ノート(e-power nismo)
Posted at 2018/08/13 22:00:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ
2017年09月30日 イイね!

トヨタ プリウスPHV(DAA-ZVW52) 試乗

トヨタ プリウスPHV(DAA-ZVW52) 試乗 トヨタのプリウスには、何度も試乗しております。標準車(充電出来ないプリウスのこと。以下、同様)は一昨年末に短距離試乗をした上で、7月末には長距離試乗をしております。後に追加されたPHVモデルには、今年の初めに試乗をしております。両者を比較すると、電池容量が異なる他に「車載式充電器(変圧器)」を搭載していることがあります。ハイブリッド自動車において電池容量の減量はアクア等で体感済みでしたが、増量の効果を確かめるべく、長距離試乗をしてまいりました。

PHVモデルの変更点
 外観の上では、ヘッドランプとテールランプの処理が異なっています。標準車登場時にヘッドライトの形状についてかなり言われたものでした。これまでの車のヘッドライトとは大きく異なる形状で、なんとなく安定感に欠ける形状でした。PHVモデルでは横長の切れ長となり、重心の低さを感じさせる形状をしています。テールランプも横長基調となり、合わせて車体の重心高さが低く感じられます。随分と安定感を増したスタイルですが、こちらの方が評判が良くなるようにあらかじめ仕組んだのか、標準車の前評判の悪さに、急遽別案を取り上げたのか、真相は不明です。いずれにせよ、私個人では馴染めるスタイルになっています。

PHVの「外部から充電可能」という特性を生かすために、電池の容量が増大されています。電池の体積も拡大されているようで、標準車では後席の座面下に配置していたバッテリーが荷室まで伸び、リヤオーバーハングが約10cm伸びています。なお、伸びたと思われる部分の蓋を開けてみましたが、電池が出ているわけではありませんでした。オーバーハング拡大の必然的な理由が見られないことから、スタイルを変更させる理由の方が大きいのではないか、と推察されます。

1989年発売型トヨタ セリカ(T180型)も、車の重心が前よりの配置に感じられました。それと同様、プリウス標準車のスタイルは重心が車体全体の前よりになっていると感じられました。PHVモデルではこの前寄り感が抑制され、スタイルの伸びやかさを感じさせます。

その他、カーナビゲーションを中心としたセンターディスプレイが大型化され、エアコン操作パネルもディスプレイ内に組み込まれる変更点があり、標準車とPHVモデルの関係は、下級と上級というよりも、かつてのカムリとカムリプロミネント程度の違いになっています。

エンジン+トランスアクスル+ハイブリッド機構



 エンジンは、標準車と同様のアトキンソンサイクル採用の2ZR-FXEを搭載しており、細部も同一設計のようです。既にここ二世代に渡って使用されているエンジンであり、熟成されております。一方で、現行カムリは、旧型の時点でも新世代だったARエンジンが下ろされ、新世代のA25Aエンジンへと換装されております。そのため、プリウスも次期モデルは新エンジンになることでしょう。

エンジンこそ旧型の改善版ですが、運転制御が現行モデルの標準車になって大幅に変更され、PHVモデルでは標準車とも異なる制御をしている模様です。

先に述べたバッテリー容量の増大と、これまでは発電に徹していた電動機の「ジェネレーター」が駆動に寄与出来るようになったため、エンジンが燃焼・駆動を行う時間が削減させられています。エンジン運転時間の削減は即ち消費燃料の減少へとつながっています。

エンジン運転時間が減っているために、静かに高い車速までモーターで加速することが可能です。エンジンがあまり駆動に寄与しない、ないしは、エンジンの回転数が低くても十分にパワーを生み出していると運転士に想起させることになり、「なんとなくエンジン出力に余裕がある」ような印象で走行できます。なお、概ね時速100km域までモーターで走行可能ですが、加速中のアクセルペダル開度が1/4程度を超えるとエンジンは始動されてしまいます。標準車よりはモーター駆動領域は広いですが、日産のe-powerシステムと比較すると、すぐにエンジンが始動される印象です。

トヨタのハイブリッドシステムは、「動力分割機構」と称する遊星歯車機構を使用しています。サンギヤにはジェネレーターを、キャリアにはエンジンを、インターナルギヤにはモーターと車軸が連結されています。エンジン停止のままモーターを回転して走行すると、結果としてジェネレーターは逆回転させられていました。即ち、モーター動力の一部がジェネレーター回転力へと使われています。これを抑制するために、ジェネレーター回転軸にワンウエイクラッチを内蔵、逆回転を抑制しつつ、ジェネレーター回転力を駆動力補助に使用しています。しかし、これでは自動的にエンジンも回転させられるために、駆動力ロスは避けられません。

以上のことから、ある程度動力を要する場合はエンジンを始動、燃焼してしまうのだと推察されます。しかしながら、エンジンを回されている状態から動力状態へと移行するために、標準車に対してエンジン始動時のショックは少なめです。

加速は、ノーマルモードやエコモードでは滑らかに出力が出てくるように調整されており、スポーツモードでは、アクセルペダル操作に対してやや遅れた上で大きな出力が出てくる調整にされています。スポーツモードはかなり使いづらく、ノーマルモードかエコモードで使用すると気持ちよく加速が可能です。ノーマルモードにおける、モーターやエンジンの出力を増す状態はちょうど良く、もはやエンジンとモーターとを無段階に使用していることなど感じられません。

ただしこれも、日産のe-powerシステム登場以前のことであり、e-powerシステム、しかもニスモ仕様を味わってしまうと、出力の立ち上がりも操作性も前近代的なものになってしまいます。トヨタのハイブリッドシステムは、エンジン車の気持ち良さもレスポンスの良さも、モーター車の駆動力の立ち上がりの良さも、どちらも持ち合わせていません。エンジンと車軸の間を、物理的に切り離す機構を持たない方法の限界を感じてしまいます。

 加速時は上記の通りですが、減速時の印象は異なります。従来では回生発電に対するバッテリー側の充電受け入れ性能が高くないのか、Bレンジにシフトをするとエンジンの回転が上昇し、「エンジンブレーキ」が作用していました。車の運動エネルギーを、エンジンのポンピングロスで消費していたのです。しかし、バッテリー充電受け入れ性能の向上と容量の増大が効いているのか、Bレンジは「回生ブレーキ強めレンジ」へと変わりました。エンジンの回転数は上がらず、減速度のみ増します。

標準車のBレンジでは、車の運動エネルギーをエンジンのポンピングロスで消費していたところが、充電に回せるのですから、運転中はBレンジを積極的に利用できます。もちろん後述するフットブレーキ使用時にも同様に積極的な充電が行われますので、総じてエネルギーを無駄にしない運転が可能です。

 他社のハイブリッドシステムは、物理的にエンジン動力と車軸を切り離す方式が多く、回生ブレーキ時にもPHVモデルよりさらに優位に機能します。この点からも、トヨタのハイブリッドシステムもエンジン軸側への工夫を凝らす時期に来ているように感じます。

サスペンション
 標準車と同様の、柔らかい乗り心地を踏襲しています。縮み側の微小ストローク領域では、ショックアブソーバーは減衰力をほとんど発生しません。ストロークに大してショックアブソーバーが無抵抗状態になるために、サスペンションはすぐに路面の凹凸を吸収します。凹凸吸収によって車体は路面付近で上下動をするため、極めて安定している印象で凹凸路を走行できます。

しかし、伸びる際にもショックアブソーバーは無抵抗状態になっているために、車体は再び上方向へ動こうとするなどの、凹凸とは無関係なゆっくりした揺れが発生し、この振動は一回で収まりません。特にヘッドライトを点灯時は、光が当たっている場所が路面の凹凸とは無関係に上下動をすることが見え、気持ち悪さを感じます。

 一方で、ある程度ロールが深まるようなコーナーリング時には、そこそこの減衰力を発揮します。素早い操舵時にも車の揺れは適度に抑えられ、一気にロールするまでの印象にはなっていません。ショックアブソーバーの構造は公にされていませんが、「微低速絞りダンパー」のような構造の作用をします。または、スタビライザーによって、ロールそのものを規制しているのかもしれません。

 うねりを伴うような路面は、この車が最も不得意とするところです。上記の、「車の揺れが一回で収まらない」どころかどんどん増幅され、運転士の尻が宙に浮きそうになるほどです。高速道路等では車速が高いために、まるで絶叫マシーンに乗っているかのような気持ちになってしまいます。

そのような柔らかいサスペンションであるために、うねりを伴うコーナーでは、サスペンションが底突きし、大きな衝撃を感じてしまいます。かつてフォレスターでは、「突起が視野に入ると身構える」と書きましたが、この車は「うねりが視野に入ると身構える」車だと言えます。

 コーナーリング時の印象は、まるで大型車や旧車を運転しているかのような印象です。前輪にはかなりキャスター角が付けられています。操舵角を増すと、キャスター軸周りに車輪が角度を変えるため、キャンバー角は外輪側でネガティブ化、内輪はポジティブ化が強まります。その結果、地面に対するキャンバー角は総じてネガティブとなり、強く踏ん張ります。一方で195/65R15とタイヤが厚く、ハイトが高いために、タイヤがたわむ時間を待ってからコーナーリングフォースが発生、コーナーリングを開始します。

さらに後輪もタイヤハイトは高いために、後輪タイヤがたわみきってから車自体のコーナーリングが始まります。この際、後輪の外輪は横力によって明らかにトーイン変化を起こします。そのブッシュも柔らかいようで、トーイン作用が始まってから角度が決まるまでに、かなりのタイムロスを感じます。もとよりバッテリー容量の点から車両後部の重量が増しているために、車両後部のヨー慣性が大きくなっています。重量配分の点から、前輪駆動車にしてはコーナーリングの姿勢を作りやすいのですが、車両の姿勢変化が始まってから落ち着くまでのタイムロスが長すぎ、その間運転士が待つ必要があります。

前輪の曲がり出しが遅く、曲がり始めてからの踏ん張りが強く、後輪の曲がり出しが遅く、後部がコーナー外側に出される感じが強いながら、やや遅れて車輪が強く踏ん張り出すということで、あらゆることが操舵操作から遅れます。最終的な信頼性(後輪のグリップ力)は高いながら、全てに渡って操作がワンテンポずつ遅れます。小型軽量車やスポーティーカー、普通の車がもつ「運転士と車体の一体感」は、この車にはありません。緊急回避のダブルレーンチェンジやパイロンスラローム等で、どのような動き具合になるのか、試してみたいものです。

 この乗り心地は、どこかで感じたと思っていましたら、VWゴルフ7でした。突起に対して柔らかくてコシがない当たり具合は、ゴルフそのものです。メディアではベタ褒めされたゴルフ7ですが、私は評価をしていません。なぜならこの乗り心地は、1980年代初めまでの、まだハンドリングを考慮していない国産車そのものだからです。

中でも、私が乗っているT130型コロナの純正サスペンションは、ちょうどこのような乗り心地でした。路面突起に対しては、減衰力が低く、ばね定数も低いスプリングが車重に潰されて突起を吸収するために、車体はそのままに車輪だけが上下して受け止めます。この状態では、乗員は「どっしりとした乗り心地だ」と感じるものです。しかし、少しでも速く走ると車両の上下動が止まらなくなり、路面の凹凸変化と車体の上下動が無関係になります。コーナーでは車体がグラッと傾くのですが、プリウスではスタビライザーを強化することでロール角を抑制しているようです。

このようなサスペンションの調整は、まだ未舗装路があった頃の設定で、高速走行を考慮しないものでした。国産車は、舗装路面の拡大と、サスペンションストロークを確保しにくいFWD車の増大により、1980年代半ばからこのような乗り心地の車がなくなりました。

 久しぶりに出会った1980年代以前の乗り心地ですが、たまたま走行した砂利道では、エアサスペンション車のような、雲の上を行くような乗り心地でいなしていました。砂利道を走る時間は短いのですから、後輪のトー角変化の件を含め、再考を促したいサスペンションといえます。

ステアリング
 当然、電動パワーステアリングが採用されています。旧型は、Lグレードはブラシ式を採用して「軽いけどフリクションが感じられ」、それ以外はブラシレス式で、「重くて路面の状態を伝えない」ものでした。この車では、以前の油圧パワーステアリングのような「しっとりとした」操舵感まで再現しており、もはや油圧パワーステアリングの必要性を感じさせませんでした。

路面の状態はある程度の操舵角までは伝えますが、ステアリングホイールを持つ手を持ち変えるほどの深いコーナーでは、あまり路面の感覚が伝わってきません。前述のキャスター角が影響しているのか、グリップ力は高いものの、グリップを車任せにし、運転士はコーナーが終わるのをただ待つだけ、という感覚になってしまいます。それ以外の、普通の街道路面では快適そのもの、疲れを感じさせません。

コーナーリング時の姿勢という点では、標準車よりもヨーのバランスも姿勢作りもしやすくなっています。特に後輪の重量が増したためか、アンダーステアが軽減された印象です。前輪が重い標準車に対し、後輪もやや重くなってバランスが良くなった形です。

衝突被害軽減装置の付帯機能である「レーンキープアシスト」機能は、一般道、特に山道では解除しました。合わせて車線逸脱警告機能もあり、こちらも快適な山道走行には不要です。

レーンキープアシストは車線逸脱警告よりも先に介入します。車体が車線中央を走行するように、ステアリングホイールの方向をアシストします。システムが否応なくアシスト操作をするために、運転士がなめらかにコーナーを抜けようとする際にアシスト操作が拮抗し、まるでステアリングホイールが引っかかったかのような制御をします。この際にも警報なく行うのですから、運転士はシステムと抗って運転をしなければなりませんでした。

車線逸脱警報も、内輪が内側車線に乗るような場合にも作用しますので、山道では常時警報されてしまいます。

高速道路ではこれらのシステムは概ね良好に作用しました。しかし、他社の同様のシステムよりも車線中央を走らせようとする力が弱いこと、車線マタギ時の断続振動警告がないことなどから、容易に車線を逸脱出来てしまい、とても車任せにできるようなシステムではなく、居眠りは不可能です。

ブレーキ
 旧型プリウスのブレーキと概ね構造が同一の、ECBシステムを採用しています。旧型は車速低下時には電子制御ブレーキ(弱め作用)を休止し、マスターシリンダー連動油圧をホイールシリンダーに作用させる動作をしていました。今回のモデルでは、低速ギリギリまで電子制御ブレーキで減速をしようとしています。

ECB機構は、あらかじめ加圧して蓄えておいたブレーキ油圧を、電子制御ソレノイドバルブで調整した上でホイールシリンダーに作用させています。回生ブレーキのみで運転士が要求する制動力を満たす場合は油圧を作用させず、要求制動力が高まったり、車速が低下するなどしてモーターの回転数が低下した場合などには、油圧をホイールシリンダーへ作用させています。

 今回のプリウスでは、この油圧ブレーキが作用を始める時に急激に油圧が上がってしまうようです。運転士が思っていた以上に急制動になってしまうことが度々ありました。また、この急に発生した制動力を抑制しようとブレーキペダルを緩めると、今度は急にブレーキ油圧が抜かれてしまって減速度が低下、車両はモーターへ電流を流してクリープ現象をはじめてしまう始末です。停車ギリギリまで回生ブレーキを使用したい気持ちは良くわかりますが、スムーズな減速力の調整が難しくなってしまっています。

 また、標準車を含めて、明らかな欠点が見えてしまいました。やや急な減速しようとすると、特に左前輪がロックしやすいのです。もともと道路の左側には砂が浮いていて車輪がロックしやすいのですが、前述の通りブレーキ油圧が急に作用するために、急速ロックしやすいのです。といって運転士は減速を求めているのですから、ブレーキペダルを緩められません。車輪がロックした結果ABSが作用、左前輪の油圧が下げられてロックは解除されますが、再度ブレーキ油圧が作用する状態になるとまたロックされてしまい、このまま同じことの繰り返しでした。

結果、左側前輪はロックと解除を繰り返すばかりで、少しも減速してくれませんでした。山道では対向車が突然現れることがありますが、その度に左前輪をロックさせてしまう上、減速度が得られないので対向車に自車がどんどん近づいてしまい、山道を走りづらいブレーキになってしまっていました。

リコールとまでは言いませんが、改善対策を望みます。

ボデー
 改めてTNGAボデーの剛性の高さを感じます。道中でテールゲート開口部の存在を感じたことは皆無で、突起乗り越え時にも車体はミシリともいいません。サスペンションが柔らかく、そもそも路面からの入力が小さくなっていることも影響していますが、ボデーの硬さを感じます。ボデー全体が「ピン」と張ったような印象で、特に屋根を介して車体が「張殻構造」になっていることを強く感じます。

現代の高剛性ボデー構造、ハイテン材使用骨格など、もはや段違いです。私のように、古い車をチューニングしていることが、なんだかバカバカしくなってしまいます。

シートのクッションは厚みが十分で、路面の凹凸から遮断されているような印象です。シートのホールド性、クッション性とも、乗用車として十分な仕上がりです。今回は14時間ほど運転しっぱなしでしたが、翌日も疲れ知らずのシートでした。内装は黒を基調としており、ダッシュボードが高く、斜め後方の視界が良くないものです。これまでの「視界」重視のスタイルが忘れられ、囲まれ感を重視しています。こういう視界の悪い車に乗ると、「自分さえよければ良い」という人が増えてしまいそうに感じます。

 標準車に対してPHVがウリの一つにしているのは、インストルメントパネル中央部のインフォメーションディスプレイです。概ねi-padと同程度の画面であり、やがて来るという、スイッチ類がタッチパネルにまとめられるという時代の到来を予感させます。

しかし、エアコンの操作性は決して良くありません。操作時に手に感覚を得られないこと、設定状態を短時間の目視で確認出来ないこと、設定を変えるたびに画面を呼び出さなければならないことなどです。この種の装置は1990年代から約10年ごとに採用するメーカーが現れます。しかし、「運転には必須でないナビゲーション情報を伝える画面が先に故障し、夏冬の運転には必須のクーラー/ヒーターを使用できなくなり、乗員が困る」ことで、別のモデルには決して引き継がれません。エアコンは上院の生命維持装置ですから、優先順位が低い装置と組み合わせてはならないのです。

まとめ
 もとより省燃費の普通の乗用車として登場したプリウスも、位置づけを次々他の車に譲り、ついに400万円急へと到達したか、という、時代の流れを感じました。標準車でも感じましたが、300万円を超える車として、乗り心地や機能の進化を十分に感じます。しかし、概ね同じ位置にカムリが来ると、カムリに流れてしまう人がいても当然だと思います。新しさ感を演出するための、従来の自動車を否定する形状やデザインが、この車を象徴しています。

しかし、その先進性をリーフやミライに譲り、必ずしも先進ではなくなってしまったこと、街にあふれてしまったことなどから、なんとなく落ち着かないスタイルだけが残った、という印象です。同じトヨタのオーパやナディアの姿がちらついてしまいます。

車としては、どうしてこうなってしまったのか、古い乗用車を運転しているような優柔な操作感覚は、ゴルフに惑わされたとしか言いようがありません。サスペンション、ステアリング特性、そしてブレーキと、運転士の感覚を逆なでする操縦系統です。自動運転の時代はまだまだ先なのですから、運転系統のチューニングをおろそかにしてはなりません。チューニングモデルの「GR」を買えない人にも、もう少ししっかりした運転感覚が得られるようなチューニングをお願いしたいものです。

おまけ情報
 ブレーキ制御禁止モードに移行させるためには、ブレーキペダルを各8回操作ではなく、13回操作することで可能でした。また、653kmを走行して使用した燃料は21.14リットル、燃費は30.89km/リットルでした。


参照して欲しい記事
トヨタ
カムリ(旧型)
カムリ(新型)
プリウス(現行、短距離)
プリウス(現行、長距離)
プリウス(PHV、短距離)
プリウス(旧型、単行)
プリウス(旧型、インサイトと同行)
プリウス(旧型、CR-Zと同行)
プリウスα
プリウス(二代目、単行、2回目)
プリウス(二代目、単行、1回目)
プリウス(初代、NHW10)
CH-R(短距離)
アクア(現行Ⅰ型)

日産
スカイライン(ハイブリッド、初期型)
フーガハイブリッド(初期型)
エクストレイル(ハイブリッド)
ノート(e-power)
ノート(e-powerメダリスト、後日記述)
ノート(e-powerニスモ)
ノート(ニスモM/T)

ホンダ
アコードハイブリッド(初期型、短距離)
フィット(ハイブリッド長距離)
フィット(ハイブリッド短距離)
グレイス(ハイブリッド短距離)
フリードハイブリッド(短距離)

マツダ
アクセラハイブリッド(短距離)
アクセラハイブリッド(長距離)

スズキ
ソリオ(フルハイブリッド)
スイフト(マイルドハイブリッド)
イグニス

フォルクスワーゲン
ゴルフ(1.4TSI)

メルセデス・ベンツ
GLA180
Posted at 2017/10/09 15:54:53 | コメント(0) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ
2017年09月24日 イイね!

トヨタ カムリ(ハイブリッド) 試乗

トヨタ カムリ(ハイブリッド) 試乗 この日は、何日か前に見つけたカムリの試乗車に乗ろうと、販売店へ向かいました。広告放送回数の割には試乗車がないことから、トヨタとしても実売台数を少な目に考えているのかもしれません。試乗記を書くのに当たり前のモデルの試乗記を見てみましたら、ちょうどその頃から「歴史」を書いているようでした。従って、カムリの歴史は前のモデルの記事をご覧下さい。

旧カムリからのカムリ
 二世代前のカムリまで、グラシアのサブネームを持つ、1998年に登場したモデルからのコンセプトを継続していました。「V6エンジンや4気筒大排気量エンジンを横置きに搭載した、FWD大型セダン」のジャンルです。この車は、アメリカでは標準的な乗用車として十分な台数を販売していました。しかし、景気悪化と共に小型車への回帰傾向が出てきたり、大型セダンは後輪駆動が良いという風潮から、日本ではより高額なウインダムを合流させても、なお影が薄くなってしまっていました。それを、2500cc4気筒ガソリンエンジン+THSⅡ方式のハイブリッドとして登場させ、ハイブリッド専用車として半ば再登場したのが、旧型カムリでした。

すでにSAIやレクサスHS250などで、大排気量FWDハイブリッドが登場していましたが、米国カムリはハイブリッドモデルとガソリンエンジンモデルを併売している関係で、あまりハイブリッド車らしくないイメージをまとっていました。シフトレバー然り、室内然り、テールランプ然りです。

これが意外に受け入れられ、それまでジリ貧だったカムリが急速に息を吹き返しました。当時のE140型カローラアクシオにも似た、ビジネスライクなノッチバックセダンだったこともその要因でしょう。数回のマイナーチェンジを経た珍しいモデルでしたが、いち早くLEDヘッドライトを登場させるなど、メーカーも力を入れていることが分かりました。

スタイルは、登場当初のクリーンさが徐々に派手な方向に変えられていったのは、私の好みではありませんでしたが、かつてのウインダムやカムリプロミネントシリーズを重ねた人も多かったことでしょう。概ね同じクラスにいたSAIは、派手なフロントマスクとリヤデザインに変更されるマイナーチェンジを受けていました。また、一時は「ちょいワル上司のパーソナルセダン」として息を吹き返していた「マークX」は、何回か「次はFWDになるか?」と報道されておりました。後輪駆動を捨て、走りはあまり重視しない、格好良さを狙ったパーソナルセダンとしての後釜も狙ったのが、今回のカムリであると推察されます。

エンジン+ハイブリッドシステム



 エンジンは、先にトヨタのエンジン命名規則が変わったことを書いた、「A25A-FXS」エンジンを搭載しております。熱効率を重視したエンジンで、ついに40%を超えたそうです。シリンダー内に発生させたタンブル流で急速燃焼させ、冷却水流れも管理、燃焼効率向上、冷却損失を抑制しています。

エンジン音は、標準的な市街地走行では極めて小さくなっています。THS方式特有の、エンジンの回転数が先に上昇してから車速が上昇する、「ラバーバンド感」加速はほとんど感じられません。THS方式では、アクセルペダル開度と車速、駆動バッテリー残量からエンジン回転数を決定しております。エンジンの出力に余裕があることから、エンジン回転数を高めなくてもジェネレーターによる発電量を増やせることが、エンジン回転数を低くできる理由と考えられます。

空吹かしをした場合のエンジン音は、かつてのトヨタ3A-Uエンジン(E70型カローラ/スプリンターや、L20カローラⅡ/ターセル/コルサに搭載)にも似ており、調律された心地よいカラカラ音が聞こえます。ただし、市街地走行でははっきりとしたエンジン音が聞こえるほどではありませんでした。

 トランスミッションは従来通りの1個の遊星歯車式ですが、擬似6速マニュアルモードが搭載されております。これまでのプリウスにも、加速側はエコモード、ノーマルモード、パワーモード、減速側はDレンジとBレンジがありましたが、これらをそれぞれ6段階に分割したものとしているようです。まるで6速マニュアルモードA/Tのような加減速が可能です。加速側は雰囲気を味わうだけにとどまりますが、減速側は回生ブレーキ強さを調整できるため、ちょうど良い加減で降坂走行が出来ると考えられます。

 パワートレインは4気筒+THSⅡ方式であるのですが、エンジン音がほんの少し聞こえる程度で振動が小さいために、あたかもV6エンジン車に乗っているような気分になります。

サスペンション



 プリウスでは何度も書いた、ごく柔らかいサスペンションになっています。伸び側、縮み側共に柔らかく、突起乗り上げ時にもボデーは遅れて持ち上がり、突起から降りる際には車輪だけが地面に降りてから、遅れて車体が降りるような印象です。市街地を走行する上では安楽そのものであり、古き良き大型セダンを思い出させます。先に書いたウインダムなどもそうであり、また、1970年代のクラウン、セドリック/グロリアなどもそうでした。

先に登場したプリウスをより柔らかくした印象ですが、山岳路などではロールが心配になるほどです。車幅が広いためにロールの角度は浅いかもしれませんが、曲がりづらさを予感させます。

CMでは、かつてのトヨタのスポーティーカー、スポーティーセダン(初代セリカカムリ、X60マークⅡGT、セリカXX」などと同列のように描いています。しかし、乗り心地の上では、X30/40頃のマークⅡ/チェイサーのような、大型車的なものでした。スポーティーな走行は無理であると感じます。スポーティ版は、最近のトヨタの戦略から、「GRシリーズ」として出すのでしょうか?

ステアリング
 当然ながら電動パワーステアリングとなっています。TNGAシャシーはステアリングにも及んでいるのか、プリウスとほとんど同一に感じられました。ただし、サスペンション硬さや車重などから、操舵に対する車体の反応が、若干鈍く感じられます。神経質な感じはしませんが、もう少しダイレクトな感じを望む人の方が、現代では多いように感じます。この位の鈍い感じが好きなのは、70歳代位の世代ではないかと思います。

ブレーキ
 プリウスに準じた、ECB(後輪制動遅れ込め制御付き、電子油圧制御)方式を採用しています。旧型のブレーキペダルタッチはひどいもので、まるで床とペダルの間にガムでもついているのか、と思える程の「ブレーキ開放レスポンスの鈍さ」を感じたものでした。当時既に登場していた旧型プリウス(ZVW30)どころか、二代目プリウス(NHW20)まで遡ったかのような印象でした。同じメーカーなのに、退歩があるものだな、と、横の連絡の悪さを感じたものです。

今回のモデルになり、マスターシリンダーピストンとシリンダーの間のオイルシール数を減らし、フリクションを減少させたとのことです。私のブログを読んでの改善とは思いませんが、同じように感じていた人はいるのですね。改善の結果は出ており、現行プリウスと比較してほとんど同じかやや劣る程度まで改善されています。

ただし、プリウスで感じられた「左前輪のみ制動力の立ち上がりが速すぎる」件は、改善されているかいないか不明です。

ボデー



 TNGA技術を採用しており、この技術を採用した初めてのセダンとなっています。すなわち、後ろの窓の下に横梁があり、横曲げ剛性、ねじり剛性とも大幅な向上が期待出来るボデー形状です。



写真のリヤシートバックブラケットの付近から、パーセルシェルフ部まで梁です。

効果は如実で、特にねじり剛性が向上していると感じます。また、旧型カムリとの比較では、車体前部分の剛性がかなり上がっています。ねじり、曲げとも剛性が高くなっており、突起乗り越え時の「ゴトゴト」音は皆無に近くなっています。ただしサスペンションが柔らかいために、車輪からの突き上げが減少しているものですから、真の剛性まではわかりません。

車室内部は決して広くなく、かつての4ドアハードトップを思わせます。初代FWDカムリ/ビスタの室内が、当時のセダンとしては極めて広かったのですが、バスや電車の指定席ではありませんので、広いから良いというわけでもないようです。二代目カムリ/ビスタでは、4ドアセダンとハードトップで登場し、適度な包まれ感を演出した室内にしておりました。結果は大成功となり、以後、2000年代初めの「ミニバンを意識したセダン」が出るまで、室内は狭くされていたのでした。やはり広さは重要な条件ではないようで、今回の室内になったのでしょう。

旧型は実直な、カローラなどを思わせる室内でしたが、マークXのやや派手な雰囲気をまとっています。



とはいっても、現行マークX登場時の「シルバーアクセ(サリー)」を思わせる加飾は後退し、派手ながらも落ち着きあるデザインになっています。

スタイルは、これまでのカムリは「トヨタのスタイル変化の兆しはカムリに現れる」と言われたほどですが、この傾向が戻ってきました。トランクを短くし、後部窓をなだらかにした上でトランクとの角度を緩やかにする、というものです。1970年代後半に流行った「ファストバック」を思わせます。またこの車には、クオーターピラーにもデザインがなされています。これまでの車は、
「ガラス面がピラーに回り込んでクリーンさと視界を両立」したもの、
「窓とピラー後端が同じ面となり、脇からガラスが見えない」もの、
「ピラーよりもガラスの方が緩い角度で、ガラス下部が脇から見えるもの」、
「ガラスよりもピラー後端の方が後ろにあり、フィンのようになっているもの(カリーナHTのみ)
でした。



この車では、ガラスの上部のみが脇から見え、私はなんとなく安定感を感じないスタイルでした。ファストバックの件を含め、私はあまり好きではないスタイルです。トヨタは、これまでの車で築かれてきた安定したスタイルを崩したいのだと思うのですが、なんとなく未消化な後部スタイルだと感じます。これまで通りのノッチバックや、ガラス面とピラー後端が平行になっている、プレーンなファストバックが良いと思います。

空力性能は十分に考慮されており、テールランプ脇にある「エアロスタビライジングフィン」はもちろんのこと、ドアミラー上部にはこんなボルテックスジェネレーターがあります。



まるで塗装のたれのような突起ですが、こんなところも静音化に効いているのでしょうか?

後輪駆動との違い
 試乗中、セールスマンの方から「後輪駆動の良さとは何ですか?」と質問を受けました。言葉で説明するのは難しいのですが、以下のように答えました。

前輪駆動では、カーブから脱出をする際に徐々にアクセルペダルを踏んでいくと、前輪が出来る仕事と前輪荷重が減少します。そのため、同じステアリング角度であれば、車を曲げようとする力が減少していきます。従って、直進に戻る手前まで操舵操作をする中で、曖昧さを感じながら直進状態に戻していかなければなりません。これは前輪を駆動しない後輪駆動では感じない現象です。後輪駆動では前輪荷重が減少し、後輪が前輪を横に押し出すのですが、駆動仕事を担っているFWDほど不自然ではありません。

すなわち、どんな場合でも駆動力と旋回力の総和を意識しながら走るジレンマがあり、運転の自由度が少ないのがFWDです。後輪駆動には操舵と駆動が別の車輪で行われるため、このジレンマが極めて少なく、「自由だ!」と感じるのです。

と、思いつきで言ってきました。

まとめ
 CMではスポーティーなセダンを感じさせますが、実際には普通の大型セダンです。スポーティーさはありません。もっとも、この種の車を買う人、特にアメリカ人はスポーティーな仕様を望んでいないようです。GTやカスタム、アスリート仕様でも大人しいエンジンモデルが売れたりすることからも、エンジン出力よりもスタイルによる雰囲気が求められているのでしょうね。ただし、私はCMで期待していた分、肩透かしを食らってしまいました。

乗用車としての機能、性能は十分に高いです。燃費も乗り心地もよく、安楽で、ゆったり走れる車です。スポーティーはスカイラインやアテンザが、乗用はアコードやレガシィがあり、この車はティアナと同じ領域にあると感じます。ビジネスという点では賛成しますが、なんだか期待はずれのような気がしてしまいます。「GR仕様」が出るのを待つとしましょう。

ただし、次期クラウンがよくわからない位置づけの乗用車になり、スポーティーはレクサスISが担っていくのでしょうか?ドライバーズカーとしての味が薄いために、私は、カムリにはマークXの後任には出来ないと感じました。

参照して欲しい記事
トヨタ
マークX(現行初期2500cc)
プリウスPHV(長距離)
プリウスPHV(短距離)
プリウス(長距離)
プリウス(短距離)
旧型カムリ
SAI(初期型)
アリオン(現行最初期型)

日産
フーガ(ハイブリッド)
スカイライン(ハイブリッド)
スカイライン(ターボ、初期型)
ティアナ
シルフィ

マツダ
アテンザ(初期型)
アクセラ(ハイブリッド前期型)

ホンダ
アコード(初期型)

輸入車

BMW
BMW320i(4年前)
BMW235i(4年前)

VW
ゴルフ(現行初期型)
Posted at 2017/10/29 00:43:25 | コメント(0) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ
2017年07月29日 イイね!

日産 ノート(e-power nismo仕様) 試乗

日産 ノート(e-power nismo仕様) 試乗 この日は、日産のノート(e-power nismo仕様)を借り、短距離ドライブに行ってまいりました。本当は人数を増やし、ノートやノート(e-power)と同行するつもりでしたが、人数が思っていたよりも増えず、単行となりました。

日産とnismoについて
 nismoは、元々日産自動車のモータースポーツ室だったそうです。すなわち、日産自動車の車を宣伝活動の一環としてモータースポーツへ出場させるため、整備・改造する部署のとのことです。

トヨタ自動車に対するトヨタテクノクラフトが改造車を作る部署であったのとは、少々成り立ちが異なります。トヨタ自動車は、関連会社のTRDやモデリスタブランドは関連会社の活動として認める一方、社長室直轄事業として、G'sブランドの展開を始めました。改造車として後から対処しづらい部分にも手をいれ、走りに特化した車を製作することを行ったのです。

話は少々それますが、ホンダのタイプRシリーズもそうなる傾向が見えた時期がありましたが、これは再構築するのかどうか分かりません。2000年代初めに、当時の役員が頑なにタイプRの廃止を訴え、「ミニバンのホンダ」を打ち出したそうです。

一方、日産は一関連部署と関連会社オーテックの活動だったチューニング車事業を、nismoとして改めて会社事業として行うことを決定し、nismoシリーズの充実を図っているところです。その中でノートは、3種類のnismo仕様を展開しています。当初は4気筒ガソリンエンジンをチューニングの上で搭載し、M/Tと組み合わせたもの、3気筒スーパーチャージャーエンジンとCVTを組み合わせたもの、そして後から追加されたe-powerグレードのnismo仕様です。

標準e-powerグレード(以下、標準車)とnismo e-powerグレードの違いについて
 まず、外観が異なります。エアロパーツが追加され、さらにドアミラーやサイドシル部のスポイラーに赤のアクセントカラーが施されます。ボデーにはロワーアームバーやトンネルステーの追加、リヤアクスルステーの追加などがなされています。サスペンションにも専用チューニングが実施され、16インチホイールとハイグリップタイヤが組み合わされています。

走行性能の上では、モーターの出力特性が帰られているとのことで、予想ですが、インバータの限流値(電流の上限)を、余裕を削って増しているものと推察されます。

エンジン+発電機+駆動モーター



 エンジンは、標準車と同一のHR12DEe-power専用エンジンのままとのことです。エンジンと出力軸は直結しておらず、発電機を回すことに特化しています。短距離走行では、「アクセルペダル操作や車速とは無関係に、電池残量(SOC)が足りなくなったらエンジンを始動してバッテリーを充電し、SOCが十分になったらエンジンを停止する制御をしていました。

今回の試乗では、低速で走る連続登坂山岳路や高速道路も通りました。標準車試乗時に販売店で受けた説明では、そのような場合にはエンジンが連続運転になり、普通のノートのようになるとのことでした。実際は、以下のようでした。

登坂路
 エンジンはなかなか始動されず、基本的には電池から持ち出す制御にされています。バッテリー残量計で残り2目盛程度になるとエンジンが始動されますが、3気筒の振動が少ない1200回転程度を基本とします。市街地走行ではアクセルペダルとエンジン回転は無関係に制御されておりましたが、登坂路ではアクセルペダルに連動して回転が上昇していくかのような制御がなされていました。エンジンの回転が増しても3気筒の排気音が小さく後方から聞こえて来るのみで、振動は皆無に近いです。エンジンには振動があるのでしょうが、その振動が車軸に伝達されないこと、おそらく発電機の制御により、発電しつつも振動を吸収するよう、電磁石で力をかけているものと推察されます。

加速力は、2500-3000ccの自然吸気エンジン+トルクコンバーターA/Tに相当し、非常に力強く、パワフルに坂を登っていきます。これが高速で連続して登坂する箱根ターンパイクでしたらまた違ったかもしれませんが、対向車とようやくすれ違える程度の狭い登坂路ですと、加速してすぐカーブが来るために、減速が求められます。すなわち加速時間が短いために、この位の余裕を感じるのでしょう。

高速道路
 法定速度で走行しましたが、この速度域ではエンジンはかかっているものの、非常に低い回転で回っているようでした。エンジン音から押して負荷もそれほど大きくないようで、余裕の電動走行をしておりました。事前の「エンジンが連続で運転されて、いかにも出力不足の車に乗っているような」印象は皆無です。この辺りは、エンジン出力が小さい車種のハイブリッドとは全く異なり、余裕ある印象に溢れています。

合流時の余裕も十分で、アクセルペダル操作一つでシフトダウンや回転の上昇を待たずに走行車線の速度に合わせられます。大排気量エンジン車の特権を小型車で得られるのですから、特に運転が苦手な女性には乗りやすいのではないでしょうか。


 アクセルのモード切替は、標準車と同様、ECO、ノーマル、パワーの3種類があります。この車ではアクセルペダルを踏んだ際、すぐに出力が大きくなるような制御をしているために、ECOとノーマルの差が大きく、ノーマルとパワーの差が小さく感じられます。この点は、同社のリーフのシフトスイッチを流用した問題点だと感じます。最近のトヨタハイブリッド車が擬似6速制御などの「シフトレバー」を復活させているのも、この「運転切り替え」を容易くするためと推察されます。もちろん、標準車同様のBレンジもありますので、左手が忙しく感じられます。

標準車の「ワンペダル」はもちろんあります。こちらの使い勝手は、標準車と同一です。なお、9月初めに発表されるリーフは、1ペダルのみでアクセルもブレーキも制御できるとのことです。といって緊急時に作動させられなければならない、メカニカルなブレーキは残さなければなりません。おそらく、電源が切れた場合は、「ペダルを踏むと標準的な液圧ブレーキが作動」、電源がオンになると液圧系が電気的に遮断され、踏むと駆動制御、離すと回生ブレーキや電子制御された油圧ブレーキが作動するものと推察されます。

 標準車が、「アクセルペダルを踏んづけていると徐々にパワーが出てくる」加速制御だったのに対し、nismo仕様は「アクセルペダルを踏むと、すぐに出力が出てくる」制御に変えられています。あたかもソレックスやウェーバータイプのキャブレターが、加速ポンプから濃い目の燃料を供給するような、「ドン」とばかりにエンジン出力が増す印象です。この気持ちよさは格別で、今までのエンジン車が古く感じられるほどでした。

もちろん、アクセルペダルをゆっくり踏めば出力の出方も穏やかになります。この出力制御の点からも、標準車ではなくnismo仕様を選ぶ価値があります。

トランスミッション
 この車には、減速機はありますが変速機はありません。しかし、前述の様に「エンジン回転がSOCによって、車速とは無関係に始動される状態」と、「SOCが低下し、アクセルペダル操作と車速に応じ、あたかもエンジン出力で加速や走行をしているようなモード」があります。

ステアリング
 電動パワーステアリングを採用しています。効き具合は標準車と変わらないようです。ところが、これは借りた車の故障なのか不明ですが、以下の違和感がありました。
「発進時にトルクステアにも似た、片側にステアリングが取られるような印象」
「中央から約15-30度程度転舵した際にステアリングホイールがプルプル震えるような、制御上の迷い」
「轍がひどい道で、ステアリングが直進を維持しようとするのか、プルプルと介助しようとするものの遅れてくるために邪魔になる状態」
同行者も同様の事を言っていました。標準車もエンジン車にもない点ですが、気持ちが良くありませんでした。

ブレーキ
 エンジン車と同様、液圧式の回生ブレーキとは協調しないブレーキです。倍力装置はエンジン車同様の、シンプルな真空式を採用しています。「ワンペダル制御」によって回生ブレーキが強められており、フットブレーキを操作するのはやや急な停止時が中心です。とはいえ、速度が低下した状態ほど効きが良くなるような回生ブレーキ特性ゆえ、他の車に合った走行をするためには、ふっとブレーキを踏む必要もありました。なお、停車中はフットブレーキは踏んでおく必要はありません。

 今回の走行では、いわゆるワインディング路(屈曲路)も走行しました。ペダルを踏むと加速、離すと減速となる状態を駆使し、M/T車で2速や3速を上手に使いながら走っているような印象で、実に気分良く走れました。

サスペンション
 標準車に対して強化されたサスペンションですが、16インチタイヤとの相性が良く、気持ちのよい硬さです。17インチ車ではゴツゴツしていて車体や体が負ける印象だったのとは対照的です。ちょうど初代初期型日産プリメーラのような乗り心地で、日常使えるスポーティーカーとみなせます。

減衰力は、縮み側も伸び側もほどよく、特に伸び側が適度にチューニングされているために、一般市販車や標準車のようなだらし無さがありません。

特に標準車は、浅いコーナーでは低重心効果による安定性が感じられますが、深いコーナーでは印象が変わっていました。コーナー途中で車重の点からか結局ロール角が増し、前輪の対地キャンバー角がポジティブになってしまい、どんどんコーナーの外側に出て行く印象がありました。このロールアンダー特性が顕著に抑制されているために、安心してコーナーリングを行うことができます。舵角を更に増してもまだ車側が曲がろうとするために、コーナー途中で曲率が変わるような場面でも、安定して曲がることが可能です。

エンジンだけでなく、サスペンションの点からもnismo仕様を選ぶ価値があります。

ボデー
 使い勝手等は、標準車やエンジン車と同一です。ボデーは底部を中心に補強されています。しかし、リーマンショック期に設計された車はもともとの作りが不十分であったことが多く、「この補強でようやく最近の車種に追いついた」ともみなせます。

サスペンションのところで書いたように、17インチ仕様と比較すると車体への入力が小さくなっているため、ボデー剛性の余裕は感じられます。ただし、後輪が突起を乗り越えた際に、若干後部がミシリと変形しているような印象がありました。後部の剛性の点で不利なハッチバックですから、多少は仕方がないのでしょう。

とはいえ、スバルのSGPやトヨタのTNGAのような新ボデー構造車が登場してくると、この「ミシリ」の点でがっかりさせられます。

 また、メーターなどの運転士に対するインフォメーション表示がかなり劣っています。基本をエンジン車と同一にしなければならないとはいえ、充放電の流れを示す表示が小さい上に端に寄せられており、色使いもアクセントがなさ過ぎるために、運転中に直感的に感じ取れなくなっています。他社がヘッドアップディスプレイを積極的に活用しつつある中、時代遅れになっている点です。この種の装置は進化が急速で、「3年前は大昔」とでもいえる状況ですが、古さを感じさせる点です。

まとめ
 e-powerグレードを購入するなら、nismo仕様をおすすめします。ボデー補強の点、サスペンションチューニングの点、モーター出力特性の点、いずれの点からも、高い満足を得られます。私を含めて「スタイルがちょっと幼い」と感じる人もいるでしょう。MODEグレードにオプションを加えるとnismo仕様からスポーティーな印象がなくなった状態になりますが、これが私のおすすめです。

これが、nismo Sと比較した場合は、難しくなります。低速からの加速はe-powerの方が優れているでしょうが、優れて乗りやすいことが楽しいとは限らないためです。チューニングされたエンジンを、M/Tを駆使して乗ることも、これもまた楽しみであるためです。

参照して欲しい記事

トヨタ
オーリス(前期型6速M/T車)
プリウス(現行型標準モデル短距離)
プリウス(現行型標準モデル長距離)
プリウスPHV
CH-R(ハイブリッド)
カローラアクシオ(エンジン車)
アクア(現行Ⅰ期型)
ヴィッツ(現行Ⅱ型)
パッソ
スペイド

日産
シルフィ
ノート(前期型nismo S)
ノート(前期型DIG-S)
ノート(e-power)
マーチ(nismo)
マーチ(前期型)
リーフ(現行初期型)

ホンダ
フィット(前期型ハイブリッド短距離)
フィット(前期型ハイブリッド中距離)
フィット(前期型1300cc)
フィット(前期型RS6速M/T)
グレイス(前期型ハイブリッド)

マツダ
デミオ(初期型ディーゼルとガソリン、短距離)
デミオ(初期型ガソリン中距離)
デミオ(初期型ディーゼルエンジンのみ短距離)
アクセラ(後期型1500cc)
CX3(ディーゼルエンジン初期型、短距離)
アクセラ(ハイブリッド前期型短距離)
アクセラ(ハイブリッド前期型中距離)

スバル
インプレッサ(2000cc)

スズキ
ソリオ(ハイブリッド、スイフトハイブリッドとしてお読みください)
スイフト(マイルドハイブリッド)
イグニス

輸入車
VW up(前期型)
VW ゴルフ(前期型)
ベンツGLA
Posted at 2017/08/16 17:28:30 | コメント(1) | トラックバック(0) | 試乗 | クルマ

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