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2010年12月15日 イイね!

「相棒season9」第八話「ボーダーライン」と、いきものがかり「風と未来と」に世の理想と現実の差を覚える

「相棒season9」第八話「ボーダーライン」と、いきものがかり「風と未来と」に世の理想と現実の差を覚える この日に見た「相棒」の「ボーダーライン」には、大きな衝撃を受けました。これまでも、「NEWジャングル」の「浩平が泣いた」「刑事が憎い」など、ドラマを見終わってからも暗い気分になる作品はいくつかありました。しかしこれまでのその作品はドラマとして暗いだけであり、現実の世の中とは切り離されたものでした。

 この「ボーダーライン」は、今世の中で起こっていることを題材にしているため、「明日はわが身」という気分になってしまいました。この点で、過去の作品とは全く違います。

あらすじ
 ある日ビルから転落した男性の死体が見つかった。腕や手には刃物で襲われたときに自分を守ることで出来るという「防御創」があり、他殺の疑いもあった。胃の内容物は、「数の子、牛肉、わかめ、小麦粉、乳製品、りんご」であり、統一性がなかった。

 その胃の内容物が杉下警部の関心を引き、捜査が始まる。死亡者の柴田さん(36歳)の所持物には保険証があったが、その場所からは引っ越していた。大家によると、今年1月に「寮付きの仕事が決まった」と言って出て行ったとのことであった。一方でこの空き部屋は、入居者が決まっていた。

 所持物の鍵の一つが分かり、ひとつは「レンタルコンテナー」であった。レンタルコンテナー会社によると、彼との契約は終わっているとのこと。杉下警部が問い詰めると、「契約終了」ではなく、彼がコンテナーの中で寝泊りしていたことで、「契約解除」をしていたとのことであった。

 そしてもう一つの鍵は「私書箱」のものであることがわかった。その私書箱を開けると、中から住民票と福祉事務所の封筒が入っていた。その封筒には、URLが書いてあった。福祉事務所で聞き込みを行うと、柴田さんは就職相談に訪れていたとのことであった。

柴田さん曰く、「大学を出るころは就職氷河期で、正社員になれなかった。仕方なく派遣社員などをしながら生活をしていた。二年ほど前からイベント会社で派遣社員として働いていたが、仕事ない時期(収入がない時期)もあった。そんなときは就職活動をしてもダメなので、医療事務の勉強をして医療保険士の資格を取った。その後しばらくしてイベント会社から正社員になる話があったが、急に業績が悪化したということで雇い止めになった。その後はそのイベント会社の社長から土木系の会社を紹介されたが、そこも2ヶ月程度で雇い止めになってしまった。」
とのことであった。

その福祉事務所の職員は、医療事務専門のネット求人のアドレスを教えて帰していた。ところが医療事務の求人は、35歳以下で経験者にあるばかりで、35歳以上のみ経験者は経験すらつませてもらえない(雇われない)のであった。

ふと福祉事務所のロッカーに目が付き、残りの鍵を入れるとぴったり。中から出てきたのは、手荷物と破れた婚姻届であった。そこに出ていた女性のもとへ捜査に向かった。その女性と柴田さんは2月頃まで交際していたが、柴田さんがなかなか正社員になれないことに業を煮やし、別れていたのであった。彼女は、「私、何か悪いことしました?」と言う。

 その彼女の証言で、当時彼が派遣社員として勤務していたイベント会社「沢エンタープライズ」へ行く。沢社長によると業績が悪化したのは本当で、彼のほかにも何人かの派遣社員に辞めてもらったとのことであった。柴田さんは残りたいと社長に懇願したため、沢社長は「ゴーダ土建」を紹介した。

 ゴーダ土建は、寮付きという事で募集をしていた。ところが実際には寮はなく、寮は満杯という。それでいやなら登録しなくても良い、と柴田さんらに迫る。皆、ほかに行き場がないぎりぎりのところで生活をしている人ばかりなので、しぶしぶ契約する。そこは、「日当7700円、行き帰りの交通費自己負担、道具の貸し賃は取る」という会社であった。宿無しの柴田さんは、7700円から交通費と道具貸し賃を取られ、さらに寝泊りのためのネットカフェ使用料、シャワー使用料、食費がかかるため、一日で手元に残るのはわずか2000円程度」という生活になった。

 そのゴーダ土建も、「現場がなくなった」という理由で、柴田さんらの契約を更新しなかった。すなわちゴーダ土建は、「他の会社から面倒な派遣社員の紹介を受け、これまでよりも厳しい条件で働かせて辞めるように追い込み、それでも辞めなければ契約を更新しない。」という、人を辞めさせる専門の会社なのであった。しかも、土建作業を「請負」としておきながら、実際には現場に技術者を派遣しない「偽装請負」であった

 仕事を失った柴田さんは、街をうろつくことになる。その彼に目をつけたのは、窃盗を働いた事がある男であった。彼は盗品を中古品として偽って販売するため、偽装としての古物商の免許を取るために、柴田さんを買収、利用した。その後も「振り込め詐欺犯が彼に携帯電話を調達させたり」、「不法入国する外国人のために、偽装結婚の婚姻届に名義を貸したり」、最後は「借金の連帯保証人として名義を貸した。」

 名義を貸し過ぎた柴田さんは、彼ら詐欺師団からも見放されてしまった。もはや稼ぐ事ができなくなった柴田さんは、福祉事務所に生活保護の申請に行く。ところが福祉事務所の職員は「65歳以上でないと生活保護は受けられない」「親族がいる場合は、生活保護は受けられない」と言って追い返してしまった。たしかに65歳未満や親族がいる場合は「生活保護を申請しても保護は受けられない事が多い」が、「申請を出せない」ことはありません。福祉事務所職員が、「生活困窮者の見極め業務が手一杯なので、申請そのものをさせなかった」のであった。

もはや食べるための金を得る事にも困った柴田さんは、食べるために試食コーナーをまわる事を始める。毎日同じ場所に行くと目をつけられるため、毎日行った場所を携帯電話に記録していた。「味噌汁を無料で飲ませてくれる味噌カフェ」「献血所」「スーパーの試食コーナー」などであった。

 そんな生活を続けるうち、ドーナツ屋のマネキンにこんな意地悪な事を言われる。「いつもどうも。これ新作なんですよ。よかったらどうぞ!気に入ったら、買ってくださいね。」これが彼の自尊心を傷つけてしまう。試食品のドーナツをすべて奪い去った彼は、住所にしたアパートを見に行く。そこには新たに引っ越してくる人が入居しつつあった。これでもう、郵便物転送による「現住所のアパートを借りずに現住所を得る」ことも出来なくなってしまう。絶望する柴田さん。最後に兄のもとへ行くが、兄は「母さんが病気で困っているときに、金を無心に来るとは何事だ!」と追い返す。

もはや誰を頼る事もできなくなった柴田さんは、自殺を決意する。ゴーダ土建の現場であったビルの屋上へ行き、自身の体を「防御創」に見えるように切り刻み、そして後ろ向きで屋上から落ちたのであった。医療事務の教本に出ていた、医療報酬の不正請求の知識は、ここでしか役に立たなかった。


 見ていて気持ちが寒くなりました。私は今のところ会社に雇われて働いていますが、会社がある日なくなったり、私が何らかの病気になったりすると、待っているのはこのような生活なのでしょうか???社会福祉とは最低限度の文化的な生活を守るものですが、今の日本では35歳以上の無職者は死ぬしかない、と言われたような気がしました。これならまだ「マッチ売りの少女」の方が幸せな気持ちで死んでいます。

かつて見たドラマたちは、仮に暗い気分になったとしてもそれは登場人物に感情移入をしての結果であり、このドラマのように実生活に不安をもたらすようなものではありませんでした。

 しかも新聞で見るだけだった言葉、「派遣社員」「雇い止め」「ブラック企業」「ネットカフェ難民」「生活保護申請」「名義貸し」「医療事務」などを、フィクションとはいえ生身の役者さんが演じる事で、現実を見たような気がします。文字で知る事と、目で実例(?)を見る事の違いを感じました。

 一方で「いきものがかり」の「風と未来と」ですが、これは新型セレナのCMに使われている曲です。セレナよりもむしろこの曲のPVですね。男の子二人と女の子一人が三体の人形(いきものがかりの3人)と風車などのジオラマキットを並べると、いきものがかり3人が歌い出し、それを幸せそうに眺める3人の子を描いています。歌詞もまったく平和そのものです。そうねえ、集合住宅住まいの小さな子供がいる若夫婦が、この「風と未来と」をBGMとしているセレナを、子供たちの未来を考えて購入する、という風景が想像できます。

この曲、さわやかなのですがどうにも「世間の暗部から目をそらせたさわやかさ」なんですよねえ~。子供のうちから世間の暗部を知る必要はないと思いますが、かといって純粋な子供に育てるというのも違うような気がします。子供は「無駄に虫を殺したり」「他人を傷つける事を平気で言ったり」と、必ずしも純粋ではありません。

まあ、子供は良いとして、親がこの曲に酔っていたとすると、なんだか浮世離れした過程になってしまうような気がするな。前にも言いましたが、車は家の延長ではなく家の外です。

 「ボーダーライン」は、世間の現状を良く映し出しています。根拠のない「明るい未来」を見るのではなく、現状を見据えて日々一所懸命生活することが大切だと実感しました。

余談
 柴田さんを演じた「山本浩司」さん、暗い表情と死んだ目の演技が抜群で、まさに不幸を背負った感じが出ています。それと、この方が私の中学・高校の同級生のH君に良く似ているのも、彼を身近に感じた理由の一つです。しかも、役の上で彼とともにゴーダ土建で社長に詰め寄った人たちの一人、これも知人の一人に良く似ていました。どなたも「マイナスのオーラ」が良く出ていて、より真実味を感じました。
Posted at 2010/12/24 00:27:56 | コメント(2) | トラックバック(0) | テレビドラマ感想批評 | 音楽/映画/テレビ

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