先日おすすめした「ドクターカー」は、録画の上で今日見てみました。それにしても、チープな作品で、制作現場には「温故知新」がないものだと感じました。
第一話では、近頃珍しい「倒置法」を使って描写していました。Gメン'75などではよく見られた展開法ですが、時系列流れが前後すると、それだけで理解できなくなってしまう不思議な人がいるために使わなくなったのでしょう。
ドラマは、工場の爆発炎上事故現場にドクターカーが到着するところから始まりました。そしてメンバーが降車するところで1日前の風景に移行します。
主人公の天童医師(剛力彩芽)は、念願だった病院の救急医療部に着任します。シングルマザーでしたが、救急医療につくことが夢だったそうです。着任しますが、部の雰囲気は暗く、覇気がありません。歓迎会も、部の責任者朝城医師(中村俊介)のみが出席するという有様です。そこで彼は、高度な医療を施すためには、金を稼ぐ医療をすることだ、と主張します。
そしてまた冒頭の事故現場に戻りますが、天童医師はショックで何も出来なくなってしまいます。その姿を見て朝城は「引っ込んでいろ」と天堂を突き飛ばし、他の救急センター員に患者の搬送を指示します。即ち、ドクターカーながら救急車としてしか機能できなかったのでした。
天童が家に帰ると、息子は息子で保育園でいじめられているらしいとの話を、天童の母より聞かされます。しかし息子は、「僕頑張る」と、負けない意思を宣言するのでした。
翌日、天堂は辞めたかのように思えたのですが、早々と出勤して出発準備をしていたのでした。ほどなく、建築現場での転落事故の連絡があり、急行します。
現場では数名の作業員が倒れておりました。朝城は再び搬送を指示しますが、周囲の作業員の言葉から、一人は単なる転落ではないと感じました。現場での措置を願い出る天童に対し、搬送を命令する朝城でした。最後は朝城が「見ていなかったことにするから勝手にやれ」と言います。
手術は成功し、天童は救急医療医としての喜びを感じるのでした。
感想
この作品をチープに感じさせるのは、中村俊介氏の台詞回しです。いちいち「ドクターカー、出動!」「GO!」などと、戦隊ヒーローものの口調と姿勢で命令を下します。役柄上、ドクターカーを廃止したい人物なのですが、そんな人物がそんなに格好よく命令するでしょうかね??もう、この部分が暑苦しくて仕方がありません。ヒーローものは子供のお母さんに受けるとのことですが、こんなわざとらしい演出を大人が観る番組に持ち込んではなりません。
また、剛力彩芽もセリフの言い回しや表情の演技が全くなっていません。表情の変化に乏しく、この人は俳優としての素質がないのでしょうね。もうお辞めになってはいかがでしょうか。また、一本気で単純でその場で思いついた行動に出がち、という少年誌ヒーローもののような単純さです。
ドラマの中盤、いじめを受けている息子の、「僕頑張る」のセリフを受けて自身も奮起したのかもしれませんが、それが表情やセリフに現れておりません。こういう「つながり」こそがドラマを見る醍醐味なのですが、彼女にその演技力がないので、その時その時で思いつきで行動している印象になってしまっていました。
シーン展開もひどいもので、建築現場のシーンで患者を目の前にし、長々とドクターカーの意義と医療と金について、朝城と天童が議論します。その間周囲の建築作業員は立ち尽くすだけ、、、救急医療物の緊張感がありません。カメラワークも冗長で、眺めて撮影しているだけでした。
なお、勝手ながら剛力彩芽が出ているだけで、私が減点をしていることを意識してしまいました。
仮に、演技レベルの上で同じと思っている香里奈が主演であった場合、10点は加点しているでしょう。剛力彩芽を見ていると、なんだか気持ちが高揚しません。
より演技レベルが上回っていて「新米」を演じたことがある、武井咲、小西真奈美、柴咲コウ辺りが演じていたら、さらに10点は加点していました。
ドラマの製作現場は、予算の削減が続いているそうですね。とはいえ、脚本や演出は予算とのつながりは、あまりありません。予算は、人件費や製作物が中心と考えます。制作に関わる人たちは、もっと古い作品を見て「ドラマ制作の基本」を学んで欲しいと思います。このドラマは、最近の制作者の質が低下していることを如実に表していました。
Posted at 2016/04/10 23:56:17 | |
トラックバック(0) |
テレビドラマ感想批評 | 音楽/映画/テレビ