さて、CR-Zに乗った数日後に、アルファロメオ147に乗ってきました。1600ccのマニュアルモデルです。
これは試乗車では無く、友人の車です。
大分前に買ったらしいのですが、なかなか会う機会が無くて、ずっと楽しみにしていました。
待ち合わせしていたファミレスの駐車場に現れたその姿からは、、、いい走りをしそうな臭いがプンプン。なんつーか、オーラが出てます。
しゃがんで後ろから足をのぞき込むと(俺は変態か?(笑))、さすがにトーションビームでは無いですね。(ストラットです) さすがアルファ。
15インチと身の丈に合ったタイヤサイズが、更にいい感じです。
うーん、これは凄い走りの予感。
前に運転させてもらった156も凄く良かったので、ワクワク。
早速乗り込むと、うーん、質感が高い。シートもいい。臭いもいい(笑)。
何か座っただけでドキドキさせてくれます。
ドアを閉めると、「ドン」っと剛性感たっぷりの閉まり方をしてくれます。
クラッチのストロークも多く、高級感が有りますね。
ジャックナイフ形?のキーも、現行デミオもそうだったけど面白いですね。
それではエンジン掛けてはっしーん。
ん?何だこのエンジン?本当に1600ccかいな?
と言う位トルクフルです。下のトルクは2.2リッター並みのフィーリングです。
さてさて、肝心のハンドリングはどうかな?と思いましたが、、、はいっ。
えっと、真っ直ぐの国道をゆっくり走りだして、もう判りました。
この車はすげー(笑)。
すげーって、車には色んな凄さが有りますが、こいつはカタログスペックに出る物ではありません。
カタログスペックには出ない、感覚的な物を頑張って表現してみます。
まずステアリングは一言で言うと「超」が付く程クイックです。
更に、ステアリングギア比も相当クイックで(初期型S2000より遥かにクイック)、ロック・トゥー・ロックが1.5回転くらいなのでは?と思う程でした。
このギア比と相まって、非常にクイックなステアフィールを与えます。
ただそんな事を感じていたのも始めの数分。数分したら車の神様か何かが体に降りてきました(笑)。
これは不思議な感覚。不思議な経験。
車はあくまで機械です。例えば、ラインを変えようと思ったら、脳から腕へ命令して、ハンドルを切って、タイヤの舵角が切れて、車が曲がり始める、と言うのが普通の車でしょう。
しかしながらこの車は、頭の中でラインを「こっちに変えよう」と思い、ちょっと強く念じると、もうすでにそっちのラインに車が乗っている、そんな感覚を覚えます。
あれ?ハンドル切ったっけな?ってな感じです。
それはあたかも、ハンドルを握る手の平やペダルを踏む足の裏から、自分の血管や神経が伸びて行って、車の中を巡って4つのタイヤに血管と神経が行きわたっているような感覚です。
つまり、「曲がろう」、と思うだけでもう曲がっていて、「加速しよう」、と思うだけで加速しているような錯覚に陥るのです。
良く、車を「手足の様にコントロールできる」だとか、「人馬一体」だとか言いますが、この車はそれらを通り越して、まるで自分の体の一部、「手足の様に感じる」、と言った感じです。
まるで車全体に、血が通ってるようです。
どっかのアニメに例えるなら、シンクロ率100%って感じでしょうか(笑)。
今車がどのように動いていて、これからどのように動こうとするのか、全てのインフォメーションがドライバーに完璧に入ってくるのです。
例えば、自分の両手で拍手をする時、手をたたくときに、空振りする人はいませんよね?(笑)
(あ、もしいたら、真面目に脳のMRIを受けて下さいね。)
それと同じ位に、ラインを外す事はないイメージです。
ある程度ペースを上げてリアがスライドを始めても、スーっと言った感じで穏やか。
スライドしながらもラインを外す事など無い感覚ですね。
まあ今回はそんなに振り回しませんでしたが、リアの動きはベッタリグリップとズバッとの中間がちゃんとある車です。(ちゅうか、それが当たり前なんですが)
こんなにクイックなハンドリングながら、足は非常にしなやかで、跳ねや不快感とは無縁です。15インチのホイールと、60と厚めの扁平率のタイヤもこの味を出すのを手伝っているのでしょう。
エンジンはきっとトルク型で高回転はダメだろうなー、と思って回してみるとビックリする位上までトルク感が落ちない、どころか心地いい振動とともに盛り上がるフィーリング。俺のテンションも盛り上がるー。音もしびれる程いい…。
VTECエンジンの、「いかにもパワーを出してます」って感じもいいですが、それとはまた違ったジェントルで味のあるフィーリングです。
ブレーキは、156は何か常にフェードしながらエア噛んでるみたいで、ちょっと酷かったですが、147になってからは効きは全く問題ありません。
ただ同じペダル踏力でも、若干加速度的に効きが強まる気がしました。
マスターバックの仕組みか、ブレーキアシスト的な事をしているのか分かりませんが、ここは唯一自分の感覚と離れる瞬間でした。
駆動方式はFFですが、なんかどうでもいい感じです(笑)。
あんまり駆動方式を意識する瞬間は有りませんでしたかね。限界まで攻め込めば感じるんでしょうけど、その手前で乗るのが楽しい車かもしれませんね。
とにかく、FFのいい所ばかりが出ている感じです。
この車は、40Km/hで走っていても十分に楽しい車です。そして欧州製のため、もちろん高速域でも非常に安定しています。
安定してるっちゅうか、40Km/hで走ってるのと何も変わらないんですよね。
いやはや、こんなに車から降りたくなくなったのは久しぶりです。
助手席のオーナーさんが言うには、ずっと俺、ニヤけて運転してたらしいです(笑)。
今回はイタリア人にやられちまった感じです。こんな車作れるなんて、イタリア人すげーなぁ。
そう言えば、始めに書いた室内の匂いと言うのは冗談ではなく、アルファロメオは匂いも調律されているそうです。
うーん、凄いなぁ…。色んな意味で、参りました。
そんなこんなで帰ってきて車から降りると、プチヨーロッパ旅行から帰ってきた気分。
まだ余韻が残っています。
そんな時にふと脳裏によぎったのは、「先日乗ったCR-Zは一体何だったんだろうなぁ…」でしたっ。
その後に我がDYデミオを運転すると、まるでソファーからパイプ椅子に座り変えた様な気分…。
いや、いつもはどんな車に乗ってもFF車ならば、大体自分のデミオの方がいいと思うんですけどね。今回ばかりは147の勝ちです。
この車はイタ車の入門車(痛車ではない)と言われているようですが、イタ車って独自の世界観を持っているんでしょうかねぇ。
官能的って言葉はあんまり好きじゃなかったんですが、確かにこの車は何か、心に訴えかける、駆り立てる物を持っていますね。
アルファよ、俺をティラミス!(ティラミスってのはお菓子で有名ですが、イタリア語で「私をハイにして!!」)
アルファロメオの魔力は、そのエンブレムから「蛇の毒」何て言われているようですが、完全に私も蛇の毒にやられてしまったようです。
(オーナーさんは、ずっと前からやられてたみたいですけどね(笑))
全コーナーフルスライドで遊ぶなら、DYデミオの方が面白いかもしれませんが、普通に乗るならデミオを超えて、147が今までに乗った車の中で最高のハンドリングのFF車ですね。
あー、やばい。欲しいなぁ…。乗らない方が良かったかも(笑)。
じゃあ、一応お決まりのネガの部分も書いておきますか。
まず一般にやはり今でもイタリア車は故障が多いらしいですね。取扱店も日本車と比べると少ないし、壊れると時間もお金もかかるでしょう。
結果、維持費も高くなるんじゃないかな。
後は、国民性の違いなのか、色んな所から音がしますかね。
クラッチはレリーズベアリングのグリスが切れてるような音がするし(これは治るのかも)、リアタイヤがスライドするまで攻めるとリア周りから若干のミシミシ系の音がした気がします。
ただこれは、ボディーからでは無く内装っぽいです。(ボディーの剛性感はあります)
そして、ロードノイズも大きめですかね。
まあこの辺は、気にしない人は問題ないでしょう。イタリア人は、細かい事は気にしないんでしょうね(笑)。
他には特になし。個人的には、壊れさえしなければネガな部分は有りません。
ハイパワーや、ハイグリップを卒業した人にはお勧めです。(もちろん、乗る人が乗れば速いでしょう)
てな訳で、感動の中、インプレは終了。
最近欧州車については思う所が多いですが、今回は省略(笑)。
えー最後に、本田技研さんへのメッセージ。
何か
前回から引き続きカラんでるみたいですが(笑)、本田技研さん、この車乗ってみました?
こういう車って、作らないんですか?それとも作れないんですか?
はたまた、作っても日本の消費者はカタログスペック至上主義で、良さが判らないから買わないと思ってるんですか?
NAのFF車ばっかり作っている日本のメーカーとして、堰切って始めにこんな車を作ってみてはいかがでしょう?
って、ちょっと俺にも毒が有ったかな?(笑)
以上