
さて、
前回の続きです(笑)。
営:「どうでしたか?マーチは。」
俺:「今ちょうど試乗して、契約しようかってところです。」
営:「まあ、せっかく何でデミオのマニュアル車に乗ってから決めて下さいよ。」
うーん、しょうがないなー。まあ、何度も行ったし試乗もしたからなぁ。断るにしても、一回乗っとくか。
と思って、日産の営業マンに「ちょっとマニュアルのデミオが入ったんで、返事今日じゃなくていいですかねぇ?」
と言ったのが今から思えば運のつき(笑)。
価格やディーラー保障が3年付いているなど、ディーラーの対応で日産の圧勝だったので、デミオのオートマのハンドリングに心残りが有りながらも、断りに行くつもりでマツダディーラーへ。
営業担当の人がちょっと出てて、戻るまで若い代わりの人が相手してくれました。
そこから、夜遅かったけどマニュアル車が置いてある他の店までドライブ。
ちょっと遠かったけど、走り好きな人で話がはずむし、助手席で楽チン楽チン。
俺:「この車(現行のデミオで移動です)、どう思います?」
営:「凄くいいですよ!」
俺:「あー…。」
俺の心の声:「この人大丈夫かなあ?」
俺:「ちなみに、一個前のってどうですかねぇ?」
営:「うーん。僕FD(RX-7)に乗ってるんですけど、友達が前に同じFDでサーキット走ってたら、デミオに抜かれたらしいんですよ。」
俺:「へぇー。」
営:「で、そんなのウソだろうと思ったら、僕も同じサーキット行って、ブーストアップ仕様のFDで同じデミオに抜かれたんですよー。ショックでしたよ。普通、有り得なくないですか?(笑)」
俺:「うーん(笑)。まあまあ、色んなドライバーいますからねぇ…。」
営:「ジムカーナでも結構活躍してるデミオいるらしいし、結構いいんじゃないんですか?」
俺:「へぇー、知らんかった。」
更にカートの話で盛り上がったりしてたら、到着。
車は、1300ccの14インチタイヤのベースモデルです。
おっ、これねー。じゃあ時間ないし、とりあえず乗ってみますか。
と言って、全く知らない国道に向けスタート。どうでもいいけど、結構クラッチがシビアで2回もエンスト。
軽量フライホイールと強化クラッチを入れた初期型S2000(スタートがシビアなので有名)を操る俺に、2回もエンストさせるとはナカナカの強敵です(笑)。
エンジンの下のトルクも少ない感じかな。
そんなこんなで、広い国道を走っていたら直線でも判るこの予感…。凄いハンドリングの臭いがプンプン。軽くハンドルを振ってみると、何じゃこりゃ? すげー気持ちいいー!
俺:「ちょっと、こんな車に乗せないで下さいよー。せっかくマーチに決めてたのに迷いだすじゃないですかー」
営:「はは。やっぱりハンドリングはデミオいいですよね。」
俺:「とりあえず、こんな真っ直ぐな道走っててもしょうがないんで、どっか行きましょうよ。」
営:「お客さんこの辺の地理詳しいですか?僕は全然分からないんですけど。」
俺:「俺も全然(笑)。まあ、何とかなるでしょ。とりあえず山の方に行きましょう。」
てな訳で、脇道に入り山の方向へ。
まあ、山って程の山は無かったんですが、そこそこの狭いワインディングロードみたいな所に入って行きました。
一発目に、高低差の激しい下りの右のヘアピン。
俺:「お、これ面白そう。いっちょ行くかー。」
初めての道ながら、助走を付けてブレーキをドーン、ABSがガガガッ、ガ?
営業マン硬直。正直チョイ突っ込み過ぎた(笑)。スタッドレスタイヤだったの思いっきり忘れてた。
止まらないから横向けちゃって、下りのヘアピンをガーーって流したら…、
「何じゃこりゃーー!!!!!」
ちょっ、マジで、
「何じゃこりゃーー!!!!!」
と、とんでもない、驚きのハンドリング性能!! し、しびれます。
俺:「あ、大丈夫ですか??」
営:「(ゼイゼイ)。僕はドリフト屋だから大丈夫ですけど、事故らないで下さいね!」
俺:「オッケー♪ まあ、ぶつける事は有りませんから。(タイヤは減るけど)」
更に道を走り続けると面白いコースを発見。
早速、軽く攻め込んでみると、
「何じゃこりゃーー!!!!!」
ちょっ、マジで、
「何じゃこりゃーー!!!!!」
もう完全に、松田優作 状態です(笑)。ほかに言葉が出てきません。
俺:「これヤバイですよ。マニュアル車は全然違うわ。フロントが軽いからかなぁ?」
と理性的なコメントをしてたのはこの辺まで。
マツダは、こんな車を隠し持ってやがったのか(笑)。
俺は完全にトランス状態に突入。同じコースを何周も、全コーナー4輪流しっぱなしで走行。
周回を重ねるごとに、
俺:「もっと手前から行けるなぁ…。ブツブツ。」
営:「え??」
これは、俺用語で「コーナーに入るもっと手前の直線から横向けて入って行ける」と言う意味です(笑)。
始めは硬直していた営業マンもしまいには、「いやあ、速いけど滑っても全く怖くないですねぇ。」と言い出す始末。
営:「つか、僕ドリ屋なんでFRではこんな運転いっぱい見てきましたけど、FFでこんな運転初体験ですよ。FF車がこんな動き出来るって知りませんでした。これなら、FDで抜かれたのも納得行っちゃいますよ。一個前のデミオってこんなに性能が高かったんですねー。全然知らなかった…。」
俺:「お兄さん♪ 一つ忘れてませんかい?」
営:「はい?」
俺:「これ、スタッドレスタイヤですよー!」
「ガーーーーーッ」(スキール音です)
営:「あ、有り得ねー!!」
いつもの通り、この話はフィクションです。
まあ、漫才形式はこの辺にしておいて(笑)、、
こんなにコントロールしやすい車に出会ったのは、
フォーカスST以来です。
日本車では、ストリームを超えて断トツの一位ですね。
初期は曲がる、奥でも曲がる、深舵も効く、それでいてリアの接地感が一時たりと無くならない。
グリップからスライド状態へ移る時の引っ掛かり感が皆無で、更にリアがスライド状態からグリップ状態に戻る時にも、お約束のロールのお釣り、「ボヨン感」が皆無。
「フッ」とフェードアウトするようにグリップ状態に戻る。
まるで、地声と裏声の境が判らない、上手い歌手の歌の如し!
アンダーステアも、スピン挙動もこの車には無い!!
電子制御なしで、一体どんなマジック使ってるんだ?? サスペンションなんて、リアはトーションビームですよ。
それでこんなセッテングを出すことが、可能なのか??
マツダにこんなFF車を作る技術が有ったのかー??
っと大興奮。
ヨーの立ち上がり方は最高だし、最高に味のある気持ちのいいハンドリング。
ストロークはするが、ロールは少ないサスペンション。
このまま永久に乗っていたい!!
正にこれですよ、これ。俺がずっと探し求めていたのは。
フォーカスSTのハンドリングをそのままに、車体を軽量、コンパクトにして、NAエンジンにワイヤーのアクセルスロットル!!
そして、何故かこのクラスで高回転型のエンジン!!
まるで、俺のために作ってくれたのか?っていう程ツボにハマっちまいました。
「きーっとそーなんだ。めぐりあーったんだ。ずぅーとさがしてーたーひーとーに!」と頭の中にドリカムの曲が…。
この車は俺の心を打つどころか、俺、半分ラリッてる感じ?(笑)
完全にトランス状態で走ってると、営業マンの携帯に着信が…。
「コリャー、お前らどこまで走りにいっとるんじゃーい!!早く帰ってこんかーい!!」
と言う事で、仕方なく戻る事に(笑)。気づいたら、夜も10時。
俺:「あれ?ここは何処?」
営:「わかりませんって(笑)。」
俺:「知らんうちに、結構山奥に来た気が…。」
営:「とりあえず、戻らないと(笑)」
俺:「じゃあ、戻りますか。聞きゃーいいんですよ、道に迷った時は(笑)。」
そんな訳で近くのコンビニにゴー。
俺:「スミマセン。ここどこですか?」
店員:「はい?」
大分遠くまで来たみたいです。
俺:「○号線にとりあえず行きたいんですけど…。」
営業マンが、コンビニに置いて有る地図持って来て、親切な店員さんに教えてもらいました。
そんな訳で、まだトランス状態が続きながら、無事ディーラーに到着。
試乗しに来ただけのディーラーなので、そこのディーラーの人は半切れ状態(笑)。
急いで、元のディーラーに戻りました。
気づいたら、マーチの事なんぞ忘れて無意識のうちに、即契約していたのは言うまでも有りません。ハッキリ言って衝動買いです。
完全に、心を打たれました。価格やディーラー保障の事なんてすっ飛んじまいましたよ。
デミオのハンドリングに負けましたよ。他の事なんて、もうどうでもいいと思っちまいました。
日産さんゴメンね。マーチにはマーチの良さが有りますよん。
ただ、「デミオ」と言う、禁断の果実をかじってしまっただけです。
さて、それでは少しまともなインプレを(笑)。
ネタばらしすると、マツダにこんなFF車を作る技術は有りません。
この車は、マツダが傘下に入ったフォードと共同開発した物です。欧州フォードの
フォーカスSTにそっくりなハンドリングもそのためでしょう。
この車のプラットフォームはフォードのフィエスタで、恐らくハンドリングに影響を与える部分の殆どは、フォードが作ったんだと思います。エンジンとかはマツダ製かもしれませんが。
実際にこの車は発売された時に、「欧州テイストの車」というキャッチフレーズだったらしいですが、私に言わせれば完全に欧州車ですかね。
「欧州テイストの日本車」と言う表現よりも、「OEMでマツダが販売している欧州車」と言ったイメージです。
前に書いた通り、日本車と言えば安くて壊れないのが売り。逆に欧州車はその懐の深いハンドリングや味が売り。
つまり、この日本車と欧州車のオイシイとこ取りをしたのが、DYデミオでしょう。
実際にと言っちゃあ悪いですが、
現行のデミオはマツダが自社の技術力を上げるために、フォードに頼らずに独自で開発したらしいですが、欧州的なのは見た目だけ。
その走りは、出来の悪いFF車です(失礼again!)。前モデルがあまりに凄かっただけに、余計にその落差が目立ちます。
もちろん真面目に一生懸命作ったんでしょうが、言わばまだ、FF設計のインターンが作ったような車ですかね。
運転していると、何かこう、設計者の迷いが感じられるんですよ。
ビシッとした芯が通っておらず、探り探り作った感じで、色んな事がバラバラな感じですかねぇ。いわゆる、完成度が低い感じです。
走りは、ちょっと前のFF車って感じですかね。
ハッキリ言ってこれならば、ホンダ車やトヨタ車、日産車のFFの方が上ですかね。
これらはメーカーごとのキャラの違いはあれど、ハンドリングコンセプトに一貫性が有り、芯が通っています。
まあ、デザインやパッケージがいいためか、現行車は結構売れているようですが。
また、現行車は100Kg近く軽くなっているようですが、車としての性能を見ると、室内は狭くなったし、荷物の収納スペースも狭くなったし、それでいて優先したはずの走りも悪くなったし、と前モデルを全体的にデチューンしたようなイメージですかねぇ。
まあ、軽くなったので燃費や直線の単純加速などは若干上がったのかもしれませんが、それも日本車的な発想ですかね。
マツダ自社製のFFは、これからに期待って感じです。
話は戻りますが、私は今までに自分が見ているスポーツ走行系の雑誌やビデオなどで、(DY)デミオの「デ」の字も見た事が有りません。だから走りの車と言うイメージが、全く無かったんですよ。
同クラスだと、フィットやマーチやスイフトは、チューニングの話なども良く見るんですけどねぇ。
DYデミオは正に、知る人ぞ知る「隠れた名車」。走りが抜群にいい車です。
「このクラスにしては」とか、「ステーションワゴンにしては」ではないですよん。
全ての日本車のFFの中で、最高のハンドリングだと思います。
スピードを出せば勿論ですが、渋滞の道をゆっくり走っていても、楽しい車なんてそう滅多に有りません。
次のコーナーが来るのが、楽しみで仕方がありません(笑)。
スピードレンジを問わず、ドライビングプレジャーを与えてくれる車です。
(ちなみに、S2000は有る程度エンジン回してスピード出さないと、フラストレーションがたまってきます(笑)。)
勿論全てが優れている訳ではありませんので、一応、悪いところも書いておくと、シフトフィールはマーチの方が上かな?っていうか、マーチが凄くいいんですよね。DC5(インテR)と比較しても見劣りしないほどでした。
それと比べると、ストロークが長く、ゲートも広めですね。ギアが入った時のカッチリ感も少なく、これも欧州車的だけど(アルファロメオ156に似ている)、個人的にはもうちょっとクイックでカッチリしてた方が好きかな。
後は、クラッチペダルがペッタンペッタンと言った感じで、ストロークが少ない上に軽くて、安っぽい感じは否めないかな。
それと、女性向けに作ってあるのか、クラッチペダルの位置が低いと言うか、ペダルが長いと言うか、足が大きい人はつま先近くでちゃんと踏まないと、かかとが先に床に当たっちゃうんですよね。まあ、これはアフターパーツ出てるのかな?
まあ、最悪ペンチで曲げちまえばいいんですけどね。或いは単なるペダルなので、多車種の流用も出来るかな?
ちなみに、アクセルペダルとブレーキペダルは問題ありません。
総評して、、、この車が、3年落ちの中古価格で160万円だと言われれば、「あ、やっぱり」と思うでしょうが、この価格は性能を考えるとバーゲンプライスですね。
正直、倍の価格でも買っちまいそうです(笑)。
以上、乱文失礼!!
*今回現行車について結構厳しい事を書きましたが、ハンドリングには好みがあるので、現行車がいいと思う人は勿論それがいい車です。今回の話は、すべて私の個人的な感想ですから、現行車のオーナーの方は気を悪くしないでくださいねっ。
*ついでに、唐突ですが車の原稿の、ゴーストライターを募集している人を募集しています(笑)。興味のある方は、メッセージを下さい。