さて、お約束のZ34の試乗の続きです。
前回は日曜のため混んでいてあまり走れず、平日ならオッケーという事で平日に行ってきました。
嘘みたいに、どこまでも果てしなく走らせてくれました(笑)。
おまけに営業マンが、車好きな人でこれは走りやすい。車内ではずっと車のマニアックトーク。
俺:「V6エンジンは2次振動が大きいから偏見が有ったけど、このVQエンジンは高回転でも振動が少なく、良く回りますねー。」
営:「実は燃料の噴射角を回転数によって変えてるんですよ。それで2次振動を上手く消すようにしてるんです。V6の方が直6よりもコンパクトだしいいんですよ。」
俺:「あら、そんなことやってるんですかぁ。それでもやっぱり直6は位相が120°ズレているという天性のバランスを持っているじゃないですかぁ。だから、カウンターウェイトの役割を他のピストンがやってくれるから軽く出来るし、回転がスムーズですよねぇ。まあ、8000回転超えた辺りで3次振動、つまり捻じれ振動が出てくるので大体8000までですけど…」
営:「確かにそれはそうですけどねぇ。捻じれ振動ねぇ。でも今の技術なら、V6でもかなり良くできますよ。」
俺:「まあ、実際にこんだけ回ってくれるなら、V6でも何でもいい気がしてきますけどね(笑)。初期のZ33のレブ6600はちょっと酷かったですね。ファミリーカーじゃないんだから(笑)。」
営:「確かに(笑)。まあ、あの車はちょっとコンセプトが違いましたからねぇ。今回のZは、本気ですよ。何せテストドライバーが…(略)」
とまあ、一般人から見るとかなりマニアックながら、車好きの我々にとっては至福の時が過ぎて行きます。
あと前回書いた、シフトダウン時の自動ヒール・アンド・トゥーのレスポンスの悪さを聞いてみたら、やはりわざとそのような設定にして、オートマでもエンジンの吹ける音を長く楽しむための演出をしているそうです。当然、速さは犠牲になるそうですがそれはオートマだけで、MT車はレスポンスを上げてあるので問題ないそうです。
また、これも前に書いた電子スロットルのラグですが、営業マンも、確かに電子スロットルのせいでしょうと言っていました。
「VDCみたいにスポーツモードを作ってくれるようにメーカーに言っておいてくれ」と頼んでおいたら、「なるほど、それは技術的には簡単だと思うので言っておきます」との事です。
日産ディーラーってあまり行った事無かったんですが、お客の意見に耳を傾ける姿勢は好感が持てました。
ちなみに、今まで一番お客の意見にメーカーが耳を傾けると思ったのは、スバルですかね。
逆に一番傾けないで、良くも悪くも我が道を行くのは、ホンダかな(笑)?
さて、今回はかなり長距離走って、コーナリング性能も結構試せました。
いやあ、エンジンもさることながら、Z34はハンドリング性能が素晴らしいです。
S2000のハンドリングも定評が有りますが、負けず劣らずです。S2000が、ややリアを不安定にしながら曲がるのに対し、Zはリアがしっかり接地しつつ、且つ曲がる感じです。スタビリティーが落ちません。
営業マンにも言いましたが、アジリティー(俊敏性)とスタビリティーのバランスが絶妙で素晴らしいです。
回頭性もミッドシップ車の様に頭が軽く感じるし、アンダーステアは基本的に、というか全く感じません。剛性もめちゃ高く、足廻りのセッティングも絶妙です。いわゆる、いじっちゃいけない足廻りですね。
ハンドリングはかなりクイックで、車重の重さも殆ど感じません。
S2000と比べると、ブレーキング時には若干車重の重さを感じますが、まあ重さの割には良く止まるでしょう。MT車は、もっと軽いのでそっちに是非乗りたいですね。
また、ハンドルから伝わってくる舵感、前輪がどっちに向いているかとか、スリップアングルがどれ位になってるとか、その辺のインフォメーションがキッチリ伝わってきます。パワステのセッティングもバッチリで、インフォメーションの伝え具合はS2000の電動パワステより上ですね。
更にブレーキの剛性感も抜群ですね。足の裏に、タイヤのロック寸前のインフォメーションがキッチリ伝わってきます。
うーん、運転していて気持ちがいい…。
これぞFRと言った具合のいい出来です。試乗してて、帰りたくなくなる車が時々ありますが、この車はその気持ち良さを持っていますね。
何かべた褒めになっちまいましたが、このご時世にこんな車を出して来るのは嬉しい限りです。
剛性を上げ、軽量化し、潔く2シーターと割り切ったこの車は、「スポーツカー」と呼んでいいと思いましたね。
あそうそう、この車はVDCが付いていますが、プロがサーキットを走る時でも切らない方がいいそうです。
切ると、更に爆発的にパワーが出るそうですが、コントロールがほぼ不能で(真っ直ぐ走らない)、切らない方がタイムも速いそうです。
オフスイッチが付いていること自体が不思議な位で、切るのは、ドリコンにでも出る時くらいでしょうと言う事らしいです(笑)。
レクサスIS-Fみたいな感じなのかな? 個人的には素性がいいのでそこまで電子制御に頼らなくても行ける気がしましたけど。
何かそう言われると、本当にコントロール出来ないか試したくなってきました(笑)。
さて、それでは恒例の振りまわしテストー。近くのお山へゴー!
俺:「それではちょっと攻め込んでいいですかねぇ?」
営:「どうぞどうぞ。S2000乗ってるなら大丈夫でしょう。」
俺:「一応誓約書に、営業マンが止めろと言ったらスピード落とせと書いてあったんで、言ってくださいね。やめるんで。」
営:「はいはい、まあ止める事はしませんよ(笑)。」
俺:「そんじゃば軽く…」
とスタート。
2速で全開にすると、凄い加速であっと言う間にバババッとレブリミッターに当たってしまい、すかさず3速に上げるもラグが有り、しばらくバチバチ。
3速でも、2速の様な加速で凄い!ジェット機か?
そしてコーナーに入る時に強めのブレーキをドーン。ABSが一瞬ガガ。その時に、横で営業マンが助手席の床を踏んでいるのが見えました。ブレーキペダル、助手席には有りませんからー。
そこから、高速コーナーに入っても全く車が不安定になりません。バチーっとレールに乗っているように安定しています。
アクセルでタイヤを滑らそうとしても、鳴きもしない。化け物か?
立上り区間が近付き、「うーん、限界めっちゃ高いなー」と思っていると、
営:「お、お客さん!ちょっとその辺で!」
俺:「ああ、はいはい。スンマソン。」
って感じで終了。こんな限界の高い車、初めて乗って振り回すのは無理です(笑)。
営:「横Gで苦しかったっす!」
営:「いやー、Zってこんなに速かったんですねぇー。私も知りませんでした。ビックリですよ。」
俺:「結構出てました?」
営:「横Gに苦しみながら何とかメーター見てたんですが、”ピー”Km/h位出てましたよ。立ち上がったらスピードリミッターに当たるかと思いましたよ。」
俺:「あら?そんなに出てましたか。それじゃあ、S2000より速いわぁ。全然流してたのに…。」
営:「それは分かってたんですが、ちょっと怖くて…。多分、車の性能的にはまだ全然行けますよ。」
営業マンの息遣いがゼイゼイしているので、ここらで帰る事にしました。
(この話は、全てフィクションです!)
ディーラーに戻って、
営:「いやあ、こんなに性能出してもらうと試乗車も喜んでますよ。意見や感想も貴重だったし、有難うございました。」
俺:「いえいえ、とても楽しかったです。有難うございました。いつか買える日が来たら、買うかもしれません。気に入っちゃいました!」
ってなわけで、Z34を堪能してしまいました。いつも思うんですが、営業マンがスポーツカー好きだと、同じ試乗でも全然楽しさが違いますね。
総評して、この車は速さだけでなく、スポーツカーに必要な高揚感を持っています。多分、ニュルを走れば8分を切れるほど速いと思いますが、それよりも大事な楽しさを持っている車ですね。
速いだけの車に飽きた人にはお勧めです。(十分速いですけど)
滅多にスポーツカーという言葉を使わない私ですが、Z34は立派なFRスポーツカーでしょう。
電子スロットルだけ何とかしてくれれば、何も言う事がありません。
でも困るんだよなー、こんな車出されると。欲しくなっちゃうから(笑)。
とありあえず、以上。