2016年08月21日に
『思い出深い80年代の国産車4台 + 90年代の国産車1台』というタイトルの記事をアップしました。長い時間と長い距離を共に過ごした5台のクルマは、今も私の嗜好性や感覚に深く影響を及ぼしています。
エクステリアデザインについてもあの5台のクルマから掴みとった嗜好性を以って判断をしているように感じます。しかしながら、これは一概に悪いこととは言い切れず、それどころか自然な感覚だと思われます。
さて、温故知新(故きを温ねて新しきを知る)という孔子の残した格言があります。私の嗜好性のルーツとなるクルマを探ってみたくなりました。そこで、タイトルどおり『80年代90年代の今も輝きを失わないクルマたち』を選んで記事にしようと思います。私の嗜好性が選択基準ですので一般的な評価とは異なるかもしれません。
所有はおろか運転すらしたことのないクルマが含まれるので、デザイン(特にエクステリアデザイン)にフォーカスした内容になることをお断りしておきます。
【 ほぼ時を同じくして生まれたイタリアと日本を代表するスモールカー 】
第4回はイタリアの初代
フィアット パンダと日本の初代
ホンダ シティを俎上にあげ、ツラツラと思うにまかせ書いていきます。
意外に思われるかもしれませんが、両車のサイズ(全長 × 全幅 × 全高)は
初代
パンダ(1980 - 1999):3,405mm × 1,510mm × 1,485mm
初代
シティ(1981 - 1986):3,380mm × 1,570mm × 1,470mm
と全幅の60mm差を除けば同じようなサイズです。しかし、背が高い高いと言われていたシティよりもパンダの全高がさらに15mm高いことには驚きました。
時代が同じであるだけでなく、サイズ的にも近い事に初めて気付きました。外観デザインは決して似ていない2車ですが、比較の俎上にあげる動機になりました。
▼ 初代 フィアット パンダ (今となっては珍しい左右非対称のフロントグリル)
▼ 初代 フィアット パンダ (パンダを最も特徴付けたのはエクステリアよりもむしろインテリアデザインの方。パイプフレームに布を張ったハンモックシートと同じファブリックを貼り付けた四角四面な構成のダッシュボード)
▼ 初代 ホンダ シティ (左右非対称のフロントグリル。パンダとのデザインの共通点はここだけかも?
よーく見ると・・・まん丸な形のサイドマーカー、長方形のテールランプが似ていそう。写真は英国のオーナーの所有車両。欧州ではJazzの名前で1982年から1986年まで販売された)
▼ 1983年に追加された シティ ターボ II
▼ 1984年に追加された シティ カブリオレ(写真は米国のオーナーの所有車両。日本の中古市場から輸入したものと思われる)
▼ 初代 フィアット パンダのセリエ1(1980 - 1986)とセリエ2(1986 - 1999)
↑左がセリエ1、右がセリエ2。英国のオーナーの所有車両
↑左がセリエ2、右がセリエ1。英国のオーナーの所有車両
※ 画像は全てネットから拝借しました。
【 両車が生まれたバックグラウンドを知れば、異なるデザインが生まれた訳が見えてくる 】
■ 経営状態が芳しくなかったフィアット
ja.wikipedia.org の記事を抜粋引用させていただきます。
当時経営状態が芳しくなかったこともあり、フィアット史上初めて、開発を全面的に外部委託した車となった。その開発を担当したのは、ジョルジェット・ジウジアーロ率いるイタリアのカロッツェリア・イタルデザインである。
開発、製造コストの低減のため、すべての窓を平らな板ガラスとするなど、ボディーは直線と平面による構成となったが、パッケージングの鬼才と言われるジウジアーロらしく、簡潔ながらもスペース効率にも優れたスタイリングとなった。
■ 平均年齢27歳の開発チームが作り上げたシティ
ホンダの公式動画を御覧ください。4:40あたりからCITY 1981が登場します(5:15まで)。人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に…。マン・マキシマム/メカ・ミニマムを意味する “M・M思想” を反映したモデルの紹介と簡単な解説映像です。
HondaのMM思想
本田技研工業株式会社 (Honda)
8:50
フィアットパンダは開発・生産コストを徹底的に削減することを求めてデザインの依頼を受けた巨匠ジウジアーロの作品であるのに対し、ホンダシティは平均年齢27歳という既成の枠にとらわれない自由な発想ができる若者によってデザインされた・・・興味深い事実関係を初めて知りました。
【 最後にちょっと ー 2代目シティの変貌 】
シティは1986年に2代目に移行しましたが、“トールボーイ” と呼ばれたデザインは大幅に改められました。全高は初代の1,485mmから150mmも下げられました。
▼ 2代目 ホンダ シティ(1986 - 1993)
3,560mm × 1,620mm × 1,335mm
2代目シティが世にでる1年前には軽自動車規格のトゥデイ(初代は1985年から1998年まで販売)が誕生しています。画像はあえて載せません。この車は2代目シティだけでなくルノーの初代トゥインゴにも影響を与えました。
▼ 初代 ルノー・トゥインゴ(1992 - 2007)
3,430mm × 1,630mm × 1,420mm
※ 画像は全てネットから拝借しました。
おしまい。
※ 4枚めの画像のキャプションに一文を追加しました(2017/08/27 21:20)。