
■職業柄、いろいろな人と話をする機会がありまして。そんな中、ラジエーター業者の方から聞いた話。
■素人的な発想であれば、EG6の純正がアルミ1層だから、ラジエーターチューンと言えば、コアを2層に増したらよいなんて考えがち。3層、4層ならさらに良さそうとなってしまいそうですね。
ところが、ラジエーター業者に言わせれば、それはデチューンになるそうだ。
単純に考えれば、アルミ2層になれば、体積が増えるわけで、よく冷えそうな感じがしますが、現実はそう簡単なものではないそうだ。
■アルミ2層はというと、ラジエーターの厚みが増えた分、純正と比較して走行風が抜けにくくなるわけです。そうなると、空気の流れを作るために出口を追加する必要が出てきます。手段として手軽なのはボンネットに穴を開けるなどです。
さらに、公道で使うとなると、停止時はアルミの特性上、冷却作用は著しく低下します。それどころか、エンジンの強烈な熱をラジエーターが吸収してしまうわけですが、体積が大きくなっていると、純正よりも効率よく熱を吸収してしまうわけです。
結果として、水温が純正と大差でないか、使用条件によっては悪化、最悪オーバーヒートの可能性すら出てくるそうです。おまけに、冬はオーバークールになってエンジンにダメージを与えたり、ヒーターが効かなくなるなどの弊害も出てきます。
■3層、4層ですが、かつて日本の某ラジエーター屋がアルミ3層のコアを作っていたそうですが、現在は特注を除いて存在していないそうです(今は倒産しているとのこと)。カタログなどでよく見るアルミ3層、4層はネーミングだけで、実際には分厚いめの2層なんだそうです。アルミ3層が姿を消した時点で、厚くしても意味がないということを証明したようなものかもしれません。
■では、ラジエーター業者の考えるラジエーターチューンはというと、
ラジエーターは純正のままで、導風板をつけるだけでよいそうな。走行風が徹底的に漏れないように周囲を囲う。ただこれだけだそうです。
あなどるなかれ、これだけで冷却効率は大幅に向上するそうな。それでも、どうしても今より冷却効率を高めたいのであれば、DC2インテグラの純正などを流用すればよいとのこと。なんだかんだ言っても、純正が一番優れているそうな。
公道をメインに走る程度であれば、むやみに社外品に変える必要は全くないという見解でした。
一応、頼まれれば作るとは言っておられましたが、社外品にラジエーター交換する際に業者の人が感じることは、「フィンの掃除してないがな…」「クーラントがドロドロやがな…」だそうで、これでは本来の効果が得られないのは当たり前だし、交換する前に、最低限のメインテナンスを行うべきとのことです。なぜなら、こういった人に限って「純正は全然冷えない」と不満を持つのだから「呆れてしまいます」だそうです。
■あと、材質ですが、アルミの他に銅や真鍮などもあります。それぞれ熱伝導率や重さなどに特徴があるわけです。スポーツ走行をするとなるとついつい軽量なアルミに目が行ってしまいます。たしかに社外のアルミラジエーターはサーキットを常に高速走行している状態では理想的ですが、サーキットよりも公道を走る機会の方が多いという前提があるのであれば、自己放熱性の高い銅ラジエーターが無難とのこと。うーん、奥が深いのですね。そういえば、匙は昔純正タンク+アルミ2層コアのラジエーターを出していたけど、いつの間にか消えていますね…。なるほど。
■一見すると薄っぺらく頼りなさそうな純正ラジエーターですが、公道で使用することを考えれば、純正が1層なのは非常に理にかなっているわけです。もちろん、軽量化の面でも。
■あと、ラジエーターのコア増ですが、ネットなどで下手に安い社外品や中古を買うより、ラジエーター業者で直接作ってもらった方がお得だそうです。
コアの厚み、素材の変更、内部構造などなど、細かい注文が可能です。あと、EGシビック級の旧車では、タンク部分(プラスチックの部分)の割れは経年劣化で避けられないわけですが、ラジエーターを丸ごと買い換えるとなると無駄な料金がかかります。コアが無事ならばラジエーター業者がタンクだけ安価にて交換してくれます。
■なるほどなるほど。間違えている箇所あるかもしれませんが、おおかたこういうことだそうです。
要は、きちんとメインテナンスをしなさいという基本的なところに辿りついたわけです。
自作"純正風"RECARO。手作りなので仕上がりは"?"な定番貧乏チューンです。
Posted at 2011/10/16 23:09:54 | |
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