たしか夜だったような気がする。7時か8時くらい。冬場だったので、もうあたりは暗くて、ただその車屋に照明があったからその存在を確認できたといった感じ。どうしてその場に自分がいたのかはよく覚えていないが、とにかくこの店で「幌車」を見つけたのである。
どういったらいいのだろうか、なんとも懐かしいというか優しいというか、フツーの車にはないような存在感。幌の部分のビニールの窓から見える室内はぼんやりほんわり。そして車高を上げた大口径のタイヤと、シンプルな運転席まわりの姿。幌ということはこれは取り外せるよな、ということは、めちゃ解放感って感じに遊べるってことやんなぁ・・・ますますテンションが上がってくる。
もう時間が時間、クルマ屋の店員はとうに帰っている。というわけで、日を改めて訪問することを決めた。必然的にワンクッション置く形になったものの、やっぱり、この幌車のことが気になりまくっていたのだろう、ちゃんとそのとき思っていた通りに後日再びこの店を訪れることとなる。
ヒゲの店長が笑顔で迎えてくれた。そしてその場で決めた。今のデミオを売り払って、この幌ジムニーを手に入れるんだ!と。
店長はさすがにびっくりしていて、まだ半年なんやろ?とか言いつつローン会社などに連絡してくれて、けっこう高い値段で売れることが分かった。支払方法などの手続きを済ませて早々に納車!とにかく早かったね。
もう完全自分の中だけの世界で事が運んでいるわけで、その時の職場の同僚たちなんかビックリだっただろうな。昨日まで新車が止めてあったスペースに無骨なボロ幌ジムニーが止めてあるんだから・・
このクルマは本当に楽しかった。もう遊びまくりだった。とくにこのころはよく知り合いと遊べていたころなので(20代っていいね)、まぁ過激に遊んだ。
河川敷の段差を降りたり登ったり(今の時代なら絶対ヤバイ)、幌を外した後部スペースに友人いっぱい載せて細い1車線の荒れた登山道を頂上まで登ったり、冬の雪山を友人のサファリなんかと一緒に攻めに行ってみたり・・ 購入した車屋では何かの点検の待ち時間なんか、「4WDテクニック」みたいなビデオ丸々見せてもらっていつか自分もああいうぬかるみを越えていってみたいとか、マジで考えていたり・・
このころはカヤックなんかにも興味を持っていて、タウン誌で募集していたのに応募してそこの仲間と一緒に川下りしたりして、かなりアウトドアな自分だったなぁ
冬の幌と夏の幌があって、夏の幌はとくに味があった。基本屋根は運転席と助手席だけについているので、後部スペースはトラックと同じく雨だだ降り状態。しかもトラックよりもたちが悪く、仕切りがないのでもちろん前の席のほうにも水はやってくる。おまけに借りてた駐車スペースは青空である。雨上がりの日の出勤は、まず上に水がたまってへこんでいる屋根のシートを下から勢いよく持ち上げてその水を排出することからスタートしたものである。豪快な一日のスタートである。
よかったのは暑い夏の日、スーパーなどで買い物をして自車に戻ってきても、まったく熱のこもりがないことだった。まぁ、バイク状態だね。でもちゃんと屋根とフロントガラスはあるので受ける風や日射も適度で、後ろから巻き込んでくる風の心地いいことといったら・・本当に自然とともに走っている感じを堪能できたな
このジムニーも、誰かが遊んでいて横転させてしまい、そのときに右側面全部がワイルドに傷がついた。その傷だけなら、ボディーの装飾みたいなものでかえっていい感じだったのだが、いかんせん、雨漏りがひどくなってしまった。
雨漏りって?屋根からではない、アクセルペダルの上の部分からの雨漏りである。これには参った。通勤のたびに右足の靴が濡れて蒸れるのである。対策としてスーパーの買い物袋を靴にまいてしのいだりもしていたが、いよいよひどくなった頃、思い切ってこの車をあきらめて、新しいクルマに買い換えることを決意した。
次のクルマはもちろんジムニーと決めていた。でも、この当時は次に出る新車が「無骨な軽」らしからぬJB23という、、一般受けする形に成り代わってしまっていたのだ。でも、思い切ってみた。ジムニーの最先端に乗ることにするんだって・・
幌の屋根にあたる雨音はポツンポツンとなんとも心地いい音だった。クルマに乗っていて雨音にいやされるなんて経験は、あのクルマならではだったなぁ
(4おわり)
Posted at 2016/07/23 21:16:13 | |
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