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紫音@超七のブログ一覧

2012年09月07日 イイね!

小説 幼馴染 第16話

合格発表の日のお話です。
結果は?

続きをどうぞ


登場人物紹介はこちら



「幼馴染」

過去の話
第1話
第2話
第3話
第4話
第5話
第6話
第7話
第8話
第9話
第10話
第11話
第12話
第13話
第14話
第15話







第16話  合格発表01

試験からしばらくして合格発表の日・・・

「母さん行ってきま~す」

「気をつけてね。結果わかったら電話ちょうだいね」

「わかった」とだけ言うと俺は香澄たちとまた駅前で待ち合わせしていたので急いで向かった。

試験と受けた日に黒猫が目の前を通過した交差点に差し掛かった時に
また俺の前を黒猫が通り過ぎていく・・・

「えぇ・・・試験の時に続いて合格発表の日まで・・・黒猫に横切られるとは・・・」

「すっげー不安になってきたよ。大丈夫か俺・・・俺だけ落ちるってことないよな・・・」

気がついたら独り言を喋りながら歩いていた。そんなときに後ろから声を掛かられた。

「よう!!おはよ。由悠」

振り返るとそこには大河が笑顔で立っていた。
「おはよう。」と返事を返す俺に

「なんだよ。朝からぶつくさと独り言と言いながら歩いている姿不気味だぞ」

どうやら俺の独り言を聞いていたらしい。恥ずかしいなぁ・・・

「落ちるとかぶつくさ言ってたけど、これから合格発表だってのに縁起悪いなぁ」

「だってさぁ、たった今、俺の前を黒猫が横切ったんだよ。」

「こんな日に縁起でもないだろ・・・それに実は試験日にも同じように黒猫が横切ったんだよ」

「俺、そんなことが続いたからすっげー不安なんだよ」

「確かに黒猫が横切るのは縁起でもないなぁ。でも所詮迷信だろ。気にするなってそんなこと言ってたら世の中に不幸な人がいっぱいなっちゃうじゃないか。だから大丈夫だって。」

「さ!彩香たちが待っているだろうから由悠行こうぜ。」

そうして迷信だと自分に言い聞かせて香澄たちとの集合場所に大河と走って行った。
駅に着くと香澄と磯山さんはすでに待っていた。

「「おはよう」」

俺たちが声をかけると2人が笑顔で振り返って

「「おはよう♪」」

振り返り挨拶をする香澄が思わず、「香澄かわいい」なんて思ってしまったのは内緒です。
ちょっと顔が赤くなっていたかも・・・

「やっとこ男どもが来たな。さぁ~て行きますか。合格発表に!!」

「「「お~!!」」」

磯山さんの掛け声でなんか気合を入れて出発。

電車に揺られて数駅、だんだんと緊張してきた。受かっているのだろうか・・・
どきどきが止まりません。

そんな緊張感のまま高校に到着。思ったより早く着いてしまったために
まだ掲示板に合格者が張り出されていなかった。

「なんだよぉ~まだ張り出されてないじゃん」

「そうだね。ちょっと早く来すぎたかもね」

「もう時間だからすぐに張り出されるわよ」

「受かってるといいね。」

そう受かっていてほしい。そうしないと香澄と同じ学校に行けない・・・
それも俺だけ落ちたなんてことになった恥ずかしいし、みんなに合わせる顔がない・・・

そんなドキドキな状態のまま、張り出されるのを待っていた。

それからしばらくして学校の職員らしき人が掲示板に合格者の番号を張り始めた。
一枚、また一枚と受験番号の書いてある紙が貼られていく。
6枚の紙を掲示板に貼って学校の職員らしき人はそこから離れて行った。
俺たち以外にもすでにたくさんの人たちが合格発表されるのを待っていたので周りでは

「おぉ!!あった!!」

「やったー!!合格だ!!」

「・・・・」ショックを受けてうなだれる人
受かった人、落ちた人あからさまにわかるな・・・

人のことよりまずは俺の番号を探さないとな。

どこだろ俺の番号???

1枚目の紙・・・ない・・・

2枚目・・・ない・・・

3・・・4・・・5・・・ない・・・


最後の6枚目・・・


自分でも顔面が蒼白になって行くのがわかる・・・


膝もがくがくしてきて頭もくらくらしてきた。そのまま俺は膝から崩れ落ちてしまった。
周りの音が全く聞こえなくなって何も考えられなくなってしまった・・・
崩れ落ちた俺は両手を地面について、ぼーっと地面を見つめていた・・・

それに気がついた香澄が駆け寄ってきた。

「どうしたのよしくん?大丈夫・・・」

「・・・だ・大丈夫じゃないかも・・・俺の番号が・・・無い・・・」

そういうと俺は思わずそのまま地面を握りしめた。
悔しさと情けなさと入り混じって視界が滲んできた。

駄目だ。こんなところで泣いてもしょうがない・・・

こらえろ・・・

奥歯をぐっとかみしめて涙をこらえた。

そこに大河と磯山さんが俺に気がつき近寄ってきた。

「由悠くんどうしたの?大丈夫?」

「どうしたんだ由悠?まさか・・・ないのか番号・・・」


「・・・なかった・・・」


小さい声で答えるのが精いっぱいだった。




続く     戻る
Posted at 2012/09/07 21:11:10 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小説01 | 趣味
2012年09月06日 イイね!

小説 幼馴染 第15話

高校受験日のお話です。
試験はうまくいくのでしょうか?

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「幼馴染」

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第15話   試験当日

試験当日の朝・・・

昨日は香澄と話ができたせいか緊張することなく、
早くに布団に入ったおかげで睡眠時間もばっちり
気持ちよく目ざましが鳴る前に自然と目が覚めた。

ゆっくりと布団から出て制服に着替えていると、
下から階段を上ってくる音がしたと思ったらおもむろにドアが開き

「おきなさい!!」

と母親が大きな声で言いながら入ってきた。
しかし俺はもう起きていたので驚いた表情でこちらを見ている。

一瞬の沈黙の後

「あら珍しいもう起きてるなんて!」

と母親は俺に対して言い放った。
まぁいつもの俺は朝は起こされないと起きないからね・・・反論はできません。

とは言え受験日当日なんだからちょっと愚痴ってみた。

「いくらなんでも試験当日に寝坊はできないよ」

はぁ・・・っとため息まじりに

「それは、それは、いつもこうだといいんだけどね。ご飯できているから食べちゃいなさい。」

「わかった今行く」

そういうと母親は部屋から出て下に降りて行った。

「着替えも終わったし、顔洗って朝ごはんを食べるとするかな。」

ダイニングの方に行くとテーブルにはご飯とみそ汁、焼き魚と純和風朝食が用意されていた。

「あれ今日は朝ごはん豪勢だね。いつもパンだけなこと多いのに」

「今日は試験なんだから朝からちゃんと食べないと力でないでしょ!!だからしっかり食べなさい。」

母親に言われいただきますと言ってたくさん食べた。
これで試験中はきっと大丈夫だろう。食べ終わってお茶を飲んでいて
湯呑を見るとなんと茶柱が立っている。

これは試験に受かる予兆か朝からいい気分だ。
そんなハッピーな気分でいると母親が布に包んだ四角い箱を俺に渡してきた。

「そうそう、お弁当作っておいたよ」

「サンキュー」

「一応試験に勝てますようにとカツ入れといたからね。がんばれ」

そういうと俺に母親は弁当箱を渡した。

「そんなゲンを担がなくても大丈夫だよ」

「何言ってるのバカなお前が進学校に行こうなんて言ってるんだからゲンを担がなくてどうするんだい。」

「俺だって勉強したんだから何とかなるって!!」

「そうかい。そうかい。じゃ!弁当はいらないね。返して。」

そういうと俺から弁当箱を取り上げようとした。俺は慌ててそれを阻止して

「弁当入ります。ありがたくお弁当もゲンもいただきます」

なんなんだよ。うちの母親は朝から・・・

今日は試験なのだからもう少しやさしくしてくれても・・・
でもこれは母親なりの愛情なんだろう。緊張しているかもしれない俺に対して
いつも通りな対応をして送り出そうとしているんだと思う。
恥ずかしくて感謝は言葉にできないけど、心の中ではありがとうと言っておこう。

朝からバタバタとしてしまった。時計を見るとそろそろ行かないといけない時間になっていた。

「母さん俺そろそろ行ってくるね。」

「受験票忘れてないかい?」

「大丈夫だよ。ばっちり鞄に入っているよ。」

「なら大丈夫だね。試験がんばれ」

「うん。わかった。頑張ってくるよ。じゃー行ってきます」

そう言って靴を履いて玄関の外に出た。その後ろから母親の行ってらっしゃいと声が聞こえてきた。

空を見上げると抜けるような青空気持ちがいい、これならリラックスして望めそうだ。

駅に向かって走って行くと住宅街の小さな十字路で目の前を黒い物体が通過した。
驚いた俺はその場に止まって何かを確かめた通過して行った黒い物体を見ると
なんと真っ黒な黒猫だった。

黒猫・・・えぇ・・・黒猫が目の前を横切った・・・

黒猫が前を横切る・・・

こんな日に勘弁してくれよ・・・

黒猫が前を横切るって不幸なことが起きるっていうじゃないか・・・
高校受験の日に・・・もしかして俺は高校落ちるのか・・・
めちゃくちゃ朝からへこむ・・・
試験心配になってきたよ。大丈夫かな俺・・・

いやいや、俺だって今まで必死に勉強してきたんだ。
黒猫がなんだきっと大丈夫だ。自分を信じよう。
さぁとにかく駅に行くぞ。

そうして駅に着くとすでにほかの3人は到着していた。
同じ高校を受ける俺ら4人は駅で待ち合わせして行くことになっていた。

「遅いぞ由悠!!」

集合時間に遅れた? 大河に言われて慌てて時計を見るとまだ集合時間の5分前だった。

「遅くないと思うけど・・・集合時間5分前だよ。大河たちが早すぎるんだって」

「何言ってるんだ。こんな時は余裕を持って集まるのが普通だろ」

確かにそうなんだけど、俺は集合時間に遅れてないんだけどなぁ。

「まあまあ、いいじゃないの。5分前なんだしね」

「遅れないうちに行きましょ」

確かにそうだ女性陣に促されて出発。

そして試験会場の高校に到着。

いよいよだ。今までの頑張りを発揮できるかな。不安だけどかんばらなくちゃ。
4人で校門をくぐって校舎の入り口に着くとそこに大きな張り紙があった。

そこに受験番号別に指定された教室に行くように書いてあり、
全員がばらばらな教室になってしまった。

とにかく、みんなで受かろうね!!と励まし合って各々の教室にわかれて行った。

緊張の中、試験開始・・・

とにかく答案用紙答えを書いていった。できるところからそしてとにかく
回答欄をすべて埋めるために必死に頑張ってみた。
お昼にはカツ入り弁当を食べ、昼を挟んで午後もとにかく頑張った。

「キーンコーンカーンコーン・・・」

試験終了の鐘が鳴る。一斉に鉛筆を机に置き、答案用紙が回収されていく。これで終わりだぁ・・・
机に座ったまま大きく伸びをした。
朝の来るときに黒猫が横切ったのは焦ったけど無事にやり遂げた、
後は無事合格していることを願うのみ。

試験を終えた後は校門のところで集まり一緒に帰ることになっていたので
机の上のものを片付けて鞄に放り込み教室を急いで出た。

その時・・・

「ドンッ!!」いったい何が起こったのか、鈍い衝撃と共に俺はひっくり返ってしまった。

その上、何かが一緒に俺の上に倒れてきた。重たい・・・
突然のことでなにが起こったんだか理解できずにいると
一緒に倒れてきた物が「いったぁ・・・」と声を上げた。

どうやら人とぶつかってお互い倒れてしまったみたいだ。
慌てて俺は倒れてきた人に対して「すいません。大丈夫ですか?」と
なんとか声をかけることだできた。それでも慌てていた俺は冷静な判断ができていなかった。

「大丈夫ですけど・・・」

ぶつかってしまった相手はそういうと顔を真っ赤にしていた。
ぶつかった相手は女の子だったのだ。顔を見ると結構可愛い、
なんで顔が赤いんだ?不思議に思っていると・・・

「・・・すいませんが、・・・そ・その手をどけてくれないでしょうか」

恥ずかしそうに俺に行ったそこで初めて気がついた。
倒れた時に上から人が倒れててきたものだから無意識に手で受け止めようとしていたらしく
その手が思いっきり女の子の胸を鷲掴みにしていたのだった。

「うわぁ・・・す・す・すいません・・・」と言って胸から手を離して謝った。
その女の子は俺から退いて立ち上がり、その後俺も立ち上がった。

「すいません。俺急いでいたものだからよく見ていなくて・・・本当にすいません」

深々と頭を下げて女の子に謝った。

「いえ、こちらこそすいませんでした・・・私も慌てていたものだから・・・」

「でも・・・まさか胸をもまれるとは・・・わざとじゃないですよね」

「えっ!?も・もちろん。わざとじゃないです。本当にすいません」

しかし偶然とはいえ、初めて女の子の胸触っちゃったよ・・・
服の上からとはいえ、やっぱり柔らかかった。ちょっとラッキーな感じかも。
そんな邪な考えが顔に出るといけないのでもう一度頭を下げて

「本当にすいませんでした。」

そう言って俺は踵を返して急いでその場を離れた。

マジ焦ったよ。偶然とは言っても女の子の胸もんじゃうとは
それも結構可愛い子だったよなぁ・・・

恥ずかしくてその場から逃げちゃったけど大丈夫かな・・・
もしかしたら4月から一緒の高校に通うかもしれないだよな。
一緒のクラスとかになったら恥ずかしいな・・・

ならない事を願おう。下駄箱のところで深呼吸をしてとにかく
落ち着かせてみんなのいる校門に向かった。



この出会いが後々大変なことになるのですがそれはまだ末来のお話。



校門でみんなと合流した。

「おっそーい」

「なにもたもたしてるのよ」

「由悠は朝も帰りも一番最後だなぁ」

「ごめん・・・教室出ようとしたらさ・・・」

俺は教室出た時のぶつかった時の話をした。
もちろん胸をもんだ話はしないでだけど・・・

「慌てすぎだよ。そんなんじゃ試験大丈夫だった?回答欄一つずれて書いたなんてことないよね?」

「磯山さん・・・それはさすがに何度も見直したから大丈夫かと思うよ」

と言いつつもそう言われると少々心配になってくる。今更遅いけど大丈夫かな・・・

「試験もそうだけど、ぶつかった人は大丈夫だったの?」

「それは大丈夫だと思う。お互い怪我もしてなかった。ちゃんと謝ってきたから」

「由悠~そのぶつかった相手って、女の子?」

なぜにわかる???女の子とは一言も言ってないのだが・・・
鋭すぎるぞ。大河・・・
ここで嘘ついても仕方ないのでそうだよと答える。

「やっぱりな由悠の顔に女の子とぶつかりましたと書いてある。それにちょっと顔が赤いぞ」

なに?赤い?!顔に出てるのか!!慌てて顔をさわる俺・・・

「いやいや、あ・赤いのは、は・走ってきたからだって・・・」

「嘘に決まってるじゃん。女の子の方がぶつかるんだったいいだろって思っただけどよ」

確かにそうだけど肯定するのは香澄がいるしどうかと思うだけど・・・
そんなことを考えていると大河は続けて

「出会いがしらにぶつかったらそれは運命の出会いかもよ」

笑いながら言う大河、運命の出会いってなんですか・・・
俺には香澄がいるんだよ。運命の出会いなんていらないからよ。

「まぁ由悠には、香澄ちゃんがいるから関係ないか」

自分でもそう思っていたけど、いざ言われると恥ずかしくて「なんだよ、それは・・・」と
それだけ言うと、顔が赤くなってきた感じがしたのでうつむいて顔を隠した。

「なに赤くなってるんだよ。いいじゃん。お前たち付き合ってるんだから。」

「なぁ彩香、いまさら恥ずかしくなることないじゃんなぁ」

「大河、なに言ってるのよ。ウブな2人にそんなこと言ったら、ほら香澄まで顔真っ赤じゃない」

「好き同士だけどね。付き合ってるって言うのは微妙だと思うよ。」

「だってデートもしたことないですものね。ねぇ~か・す・み」

「もう・・・彩音ぇ・・・そんなこと言わないでよ」

俺と香澄は大河と磯山さんに家に帰るまでこんな調子でおちょくられ続けた・・・
おかげで帰り道は、試験受けている以上に疲れた感じがした・・・



続く     戻る
Posted at 2012/09/06 23:02:20 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小説01 | 趣味
2012年09月05日 イイね!

小説 幼馴染 第14話

一気に時間が飛びます。
高校受験前日のお話です。

続きをどうぞ


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「幼馴染」

過去の話
第1話
第2話
第3話
第4話
第5話
第6話
第7話
第8話
第9話
第10話
第11話
第12話
第13話




第14話 試験前日

厳しい受験勉強を乗り越え、試験前日の夕方・・・

事前での模試で何とか合格ラインかなという程度になっていた。
それでもギリギリなラインなので受かるかどうか受けてみないとわからない。
そんな微妙な状態の俺は落ちたらどうしようという脅迫観念にかられ、
前日だっていうのにいまだに勉強をしていた。

ひたすら机に向かっている俺の家に香澄がやってきた。

「ねえ、これからちょっと近くの公園にでも行かない?」

「何で今から?試験は明日だぞ。香澄と違って俺、受かるかわからないギリギリなラインだから、少しでも勉強したいんだけど・・・」

そんなこというと香澄はちょっと呆れたように

「前日にいまさら焦って勉強しても遅いよ。後はリラックスして心落ち着けて明日に向かった方がいいって」

「そ・そうかなぁ」

「そうだって!!だから公園行こ♪」

確かに前日にムキになっても仕方ないか、これまでもやれることはやってきた。
それに、香澄の笑顔で「行こ♪」なんていわれたら断れるわけ無いじゃん・・・

ダウンを羽織って2人で家を出た。

公園に向かって歩いている最中ふと香澄を見るとあれ?香澄と目線の高さが同じになっている?
背が伸びている自覚はあったけど、もしかして香澄と同じぐらいになったのかな?

牛乳が効いたか、俺が成長期に入ったか、どっちにしてもこれはいい傾向だ!!
そんなことを考えながら香澄を思いっきり凝視していたらしく

「ねぇ・・・何でそんなに私のこと見てるの?なんか変だよ。」

「・・・ふへぇ?」

あれこれ考えているときに突然声をかけられたものだから間抜けな返事をしてしまった。

「い・いや、な・なんでもないよ」

しどろもどろで答えるとどうも香澄は変な風に受け取ったみたいで・・・

「また変なこと考えていたのでしょ。」

と大きなため息とともに言われてしまった・・・
いやいや変なこと考えていませんよ。考えていませんって・・・でも背の話は言えないし
こっちじっと見ているし・・・もういいです・・・変なこと考えていたってことで・・・

「・・・すいません」

謝って、これでいいかな・・・

「まったく・・・」

再度ため息まじりに言われてしまった。俺は変なこと考えてないのだけど
機嫌が悪くなってもしょうがないので仕方ない。

そんな話をしているうちに公園に到着。

冬の公園のそれも夕方、もうまもなく太陽が建物の影に消えそうな薄暗くなってきた時なので、
さすがに誰も公園にはいなかった。そんな静かな公園の奥のベンチに2人で腰掛けた。

ここはすぐ脇に自販機と街頭があるので日が落ちても明るい。
これが夏だったら虫だらけでとてもいられないだろうけどさすがに今は冬だから
全然虫はいなかった。そしてこのベンチは公園の外から見えにくい死角になっている
ところなので落ち着いて話ができるかなって感じの場所だった。

ところで何で香澄は俺を公園に呼んだ?ついてきていまさらながらに不安になってきた・・・
まさかここにきて別れ話とか無いよね・・・
「実は・・・他に好きな人ができた」とか言われちゃったりするのかな・・・
いったい何の話なんだよ・・・ものすごく気になる・・・でも聞きたくないような気もする・・・

「・・・くん?」

「・・・しくん」

「よしくん!!」

「!!」

そんな考えをしていたら香澄の呼ぶ声が聞こえてなかった。
現実に呼び戻された。

「ちゃんと聞いてる?」

「聞いてるよ」

「ほんとに?」

「いよいよ明日だね。」

「だね」

「今まで一生懸命勉強してきたからよしくんもきっと大丈夫だよ。受かるよ。だって一緒に勉強してきたじゃない。ずっと見てきたからわかるよ。たから今日は明日に備えてゆっくりしようよ。」

そういってくれた。なんか肩の力がフッと抜けた気がする。きっと俺が入れ込みすぎて
いるのを気にしてくれたんだな。ありがたいリラックスして明日に向かえそうだ。

「でね・・・」

「今言っておきたい事があるんだけど・・・」

香澄が俯きながら恐る恐る聞いてきた。
なんだその神妙な顔は・・・まさか・・・
うわー・・・マジかよ・・・マジに別れ話か・・・聞きたくないよ・・・
別れたくないって・・・香澄そんな話しないでくれ・・・
そんな俺の心の叫びを無視して香澄は話を続けた。

「その・・・」

「・・・な・なに?」

「あのね・・・あたしたちあの時から受験もあったし大きな進展ないでしょ・・・」

進展が無いから別れるって言うのか・・・だったらもっと強引にしておけばよかった・・・
いやいやこれから大事にするからさ・・・お願いだから別れるって言わないで!!
ひたすら心の中で叫んでいた。

「だからね。もしこの試験に合格できたら・・・」

ん?話の展開がなんか・・・違う?

「・・・よ・よしくんと、デートしたいんだけど・・・いいかな」

「え!?」

香澄からの突然のデートのお誘い。
そして香澄は恥ずかしそうに俯いて真っ赤になっていた。

こいつかわいい!!てか、俺が誘う前に香澄から誘われちゃったよ・・・
受験が終わるまでは・・・いや背が香澄を超えるまではって思っていたのだけど・・・
でもせっかく誘ってくれているに断るわけには行かないよな・・・
でも背が・・・気になるんだよなぁ・・・どうしよう・・・でもデートはたしかにしたいし
おそるそる出した答えは・・・

「もちろんだよ。」と返事をしたら緊張していたせいか思わす声が
裏返ってしまって返事をしてしまった。

恥ずかしい・・・そんな裏返った俺の返事に気が付かないのか
「・・・ありがとう」と答える香澄。

断る話でもないし、OKでよかったよな。背のことは・・・きっと大丈夫だよな。俺の問題だし・・・
でも別れ話でなくて・・・

「よかったぁ~」

思わず、口からこぼれ落ちた・・・

「どうして?」

「・・・だってそんな神妙な顔して話し始めるから別れるとか言われるかと思ったよ」

「えぇ~そんなこと思ってたの!!」

「大丈夫だよ。私は今までもこれからもずっと・・・好きだよ・・・」

最後の方は聞こえるか聞こえないほどの小さな声で香澄言った。

「ほんとに?」

「・・・ほんとだよ」

「じゃ・・・よしくんは?」

「おれ?」

「俺は・・・香澄のこと誰よりも大好きだよ。」

「うれしい・・・」

そうして頬をほんのり赤らめて答えた。香澄、むちゃくちゃかわいい!!

「入試がんばろうね!それで一緒に学校行こうね!」

なぜか今日の香澄はえらく積極的な気がする。気のせいかな?どうしたのだろ?

「香澄、今日はどうした?なんかえらく積極的な感じがする」

そうすると香澄はまた顔を真っ赤にして俯いてしまった。
俯きながら胸の前で両手を合わせて握り締めながら小さな声で話し始めた。

「・・・あのね。彩香ちゃんがキスしたのにそれから進展が無いのは、おかしいって・・・」

「普通デートとか・・・行くし、それ以上の・・・あ!なんでもない」

「だからよしくんは、私のこと好きじゃないじゃないかって彩香ちゃんが言ってきたの」

「急に心配になって今日着ちゃったの」

「そうだったのか・・・ごめん。心配かけてごめん・・・」

う~ん。ちゃんと言っておいた方がいいかな・・・
背のコンプレックスの事・・・それが原因でデートに誘えなかった事を・・・

「さっきも言ったけど俺は香澄のことが誰よりも大好きだよ。そして誰よりも似合う男にもなりたいと思っている。だからこそ聞いてほしい事がある」

意を決して香澄に黙っている事ができなくなって正直に話してみようと思った。

「・・・なに?」

真剣な眼差しで香澄を見つめていたせいか、香澄もこちらの目を見つめていた。

「・・・」

「・・・」

しばし二人の沈黙が続き、香澄は俺がしゃべり出すのじっと待っていた。俺は重い口を開いた

「デートに誘ってくれた事はとっても嬉しいし、とても行きたい。だからもちろんOKだよ。」

「だけど・・・」

「・・・だけど?」

「香澄の事大好きだだけど、今の俺は・・・香澄の隣に立てる自信が無い・・・」

「えっ!?どういうこと?」

こんな話し方じゃわからないよな・・・ことの始まりから香澄に話し始めた。

「覚えるよね。俺が小学校4年の2学期から一緒に帰ることを誘わなくなったの」

「覚えているよ。わたしにはちょっとショックだったもの・・・」

「・・・ごめん」

「ううん・・・気にしないで」

「あれって、理由があったんだ。その時に俺はものすごいショックな事があったんだ・・・
他の人にはしてみれば些細な事かもしれないけど・・・思いのほかショックでそれから
香澄を誘う事ができなくなった。」

「なにがあったの?もしかして私が何かしたの?」

「香澄は何もしてない。俺が勝手にショック受けただけだよ。」

「・・・小学校のときの通信簿ってその時の身長が書いてあるでしょ。その身長が始めて香澄の方がちょっとだけ高くなっていたんだよ。それまで俺の方がずっと背高かったのに追い越された。その事実に俺はすごいショックだった・・・それから帰りの時、香澄を誘えなくなった。それから身長差は開く一方でますます自身がなくなっていた。そうしているうちに俺は身長の差がコンプレックスになって、それは今でも身長は気になる・・・」

「そうだったんだ・・・背で悩んでいたんだ・・・知らなかった。」

「恥ずかしくて言えなかった。だから香澄をデートに誘えなかった。本当言うと香澄の背を追い越したら自信を持ってデートに誘いたかったんだ・・・でも香澄に先に誘われた。」

正直どうしていいのかわからない・・・もちろんデートはしたい。
もちろん行くと言ったのだから香澄とたくさんいろんなことをしたい。楽しみたい。

でも背が・・・どうして俺って背が低いんだろう・・・
香澄より背が低いそれが気になってなかなか行動に移せなかった。

そのせいで香澄に要らぬ心配をかけてしまった。好きなのにどうして俺は・・・
気持ちがはっきりしないまま情けない事をつぶやいていた。

「どうして俺って背が低いんだろう・・・情けないよね・・・」

「なに言っているのよ。まだまだこれから伸びるよ!たとえ伸びなくてもよしくんは、よしくんだよ。私は今のままのよしくんが好き。身長が伸びようがそのままであろうと私の気持ちは変わらないよ。返ってくよくよしているよしくんを見るほうがヤダよ。」

香澄に言われて俺は心が軽くなった。身長のことは気にならないわけではないが
そのままの俺を受け入れてくれる香澄に感謝と共により好きだという気持ちが大きくなった。

感謝の気持ち込めて「ありがとう」と香澄に言った。

そして、俺は香澄の方をみて瞳をじっと見つめた。
しばらく無言の時間が・・・時間にして1~2秒が数十秒にも感じるほど長かった。

どちらともなくお互いの顔が近づき、静かに目を閉じそっと唇を重ねた。

香澄とキスで俺はネガティブになりすぎていた心が唇を重ねた事で俺の心はすごく軽くなった。
なんだか身長の事を気にせずに行かれそうな気がしてきた。まずは明日の受験をクリアしない事にはデートとか言ってられないしがんばらないと香澄といろいろ話ができたおかげで本当にリラックスできた。
おかげで、唇が離れると自然と感謝の気持ちが言葉となって出てきた。

「香澄・・・本当にありがとう。」

そして・・・

お互い精一杯明日の試験を頑張ろうねと約束して家に帰った。




続く    戻る
Posted at 2012/09/05 23:19:50 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小説01 | 趣味
2012年09月04日 イイね!

小説 幼馴染 第13話

3年生に進級しました(*^_^*)

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「幼馴染」

過去の話
第1話
第2話
第3話
第4話
第5話
第6話
第7話
第8話
第9話
第10話
第11話
第12話







第13話  受験勉強

コンプレックス解消のための努力の日々が続き・・・


俺らは3年に進級した。変わらず香澄とは大きな進展が無いけど、
ちょっとしたことではあるが誰もいないところで2人になるとお互い恥ずかしがりながらでは
あったけど手をつなぐようになっていた。

でもさすがに人のいるところではまだつなぐことはできなかったけど・・・。
相変わらず、緊張してがちがちになるけど、

キスもあれから数回だけど誰もいないところでしたりもした。

夏を迎えた。いよいよ高校受験が現実味を帯びてくる。

クラスの部活をやっていたクラスメイトも部活を引退し受験の準備に入っていた。

香澄も部活を引退して受験に備えて今まで行っていた学習塾に
よりいっそう通うようになっていた。

俺はというと大河と共に3年に上がると同時に
親に無理やり入れさせられた香澄と同じ学習塾に通っている。

勉強はいやだったが香澄と同じ塾だったのはちょっと嬉しかった。
香澄とは学力レベルが違う為にクラス自体は別々だったけど、
部活を引退した香澄と一緒に学習塾に行ったり勉強したりした。

もちろん大河も隣で一緒に・・・

「あぁ・・・夫婦が仲良くやってる隣で勉強するのは辛いはぁ~」

なんていいながら結局は一緒に勉強している。
ずうずうしくないかい?ちょっとぐらい遠慮したらどうだ?
そんな話をすると大河はよく言っていた

「お前たち2人だけにしたら何するかわからないから監視してるんだよ!!」

そういって邪魔をしている。剛にもどうやら俺ら二人が進展してない事を
ちょくちょく連絡しているらしい。進展しない原因はお前じゃないのか?大河さん!!

だいたい考えてみろって、頭悪い俺が香澄と同じ高校に行こうと思ったら
そんなことしている暇無いじゃん。

3人でなんだかんだと塾に通っていた。その塾に磯山彩香もいたから大河はもう大変・・・

塾のクラスが磯山さんと大河は同じになってもう大興奮。
そこから大河は勉強を口実に磯山さんと一緒に勉強することが多くなった。

しかし、二人だと緊張するからと磯山さんは香澄と吹奏楽部で
一緒だったのでとても仲が良かった。

だからなのかなぜか俺と香澄も一緒になって結局4人で勉強した。

4人で勉強をしているが気がつくと俺と香澄、大河と磯山さんとで話していて
Wデートみたいな感じになっていた。
デートを香澄としたことが無かったのでたとえ勉強のためとはいえ4人で
図書館に行ったりして勉強することがデートっぽくて嬉しかった。

そんな勉強会を4人でしていたがある時ふと気がついた。
磯山さんが大河となんていうか、お互いを理解しているような感じがする。
目と目を合わせてうなずき合ったり、並んで座っている二人の間が最初のころに
比べると妙に小さくなってるんだよな。
今にもくっ付きそうな感じだし、なんかいい雰囲気だと思った。

大河はそれからしばらくして俺の知らないところで磯山さんに告白したと、
俺には事後報告だった。

大河は思い切って磯山さんを放課後の屋上に呼び出して告白したらしい。
磯山さんは「わたしも」って言ってくれ大河は大喜びでその場で踊ったらしい。

より一層気持ちの通じ合った。大河、磯山さんそして、
俺と香澄ともに同じ高校を目指して受験勉強を頑張った。

この4人の中で一番危ないのはもちろん俺なんだけど・・・

俺だけ落ちましたなんてなったら恥ずかしいから頑張らなきゃ!!




続く     戻る
Posted at 2012/09/04 23:04:20 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小説01 | 趣味
2012年09月03日 イイね!

小説 幼馴染 第12話

今日は超短いです(^_^;)

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第11話







第12話  コンプレックス

小学校の4年の時から香澄と一緒に帰ることを誘わなかった俺が・・・

告白以来、誘って週に1回ほどだけど、香澄の部活が終わるのを待って一緒に帰った。

確かに今でも背のコンプレックスはある。俺より背の高い香澄と歩くとちょっと周りが気になる。

でも、それは香澄を好きで好きでたまらないことを香澄が知っていて、
香澄が俺のことを好きだということがわかったことで、

そのコンプレックスも小さなものになってきた。

そして、小さな目標を決めた。


「背を絶対に香澄より大きくなってやる!!」
「香澄の隣にいても似合う男になるんだ!!」


そう決めた日から毎日1L牛乳を飲んで、背が伸びると聞くとそれを実践した。

その効果が出たのか、成長期に突入したのかわからないが・・・

俺の身長は急激に伸び始めた。


でも、香澄との間は進展しない日々。


気持ちは通じ合っても、それ以上今までと大きく変わることはなかった。

そんな日々が続き・・・俺たちは3年生に・・・

そう・・・受験生になった。



続く     戻る
Posted at 2012/09/03 23:13:51 | コメント(0) | トラックバック(0) | 小説01 | 趣味

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