エクステリアに関するレビューが好評だったかどうかはさておき、引き続きインテリアや快適装備についてのインプレッションを書いてみることにします。
今回は156phase2との比較でレビューしてみたいと思います。
コレは147もコンポーネント共有したインテリアを多数使用していたことを考えても悪くない比較ではないかなと考えました。
前席から見て行きましょう。
■前席
室内の空間は156より広く感じます。
横幅が50mm増えたというよりも、エンジンの小型化によりフロントオーバーハングが短くなったことに起因するのかな?
全体的にゆったりとした印象です。
ヘッドクリアランスも大幅に向上しています。
ステアリング形状はMitoに引き続き8Cの系譜でしょうか?
最近流行の小径ステアリングではないですが、かっこいいです。
後々いくつも書きたいですが、ジュリエッタは実にコストダウンがよく考えられています。
例えばFIATグループ車に共通するこのキーもパーツ共有ですし、
かつてのコスト配分を余り考慮せずに生産したせいでクオリティがちぐはぐというよりもずっといいと思います。
前席シートはサポート性、ホールド性は若干甘めながら、ビジュアルは◎。
ダークグレーにレッドステッチと非常に演出力高いです。
このクラスとしては抑えておきたい前席シートヒーターなども快適です。
ただ、156のphase2で(TIなどとも共通の)利用していたセミバケットレザーシート(たしかRECARO製)と比較すると、形状はジュリエッタの方が好みですが、レザーの質はジュリエッタの方が見劣りする気がしませんか?
肌触りの感覚がしっとりしているとは言い難いです。
特にMitoや159オーナーの方でパックペッレフラウを入れている方は顕著にその違いを感じられることでしょう。
但し、国産同クラスのレザーシートとは比較にならない品質であることは断言できます。
シート調整は全て電動パワーシート、
スライドも上下もついに電動になりました。
メモリできるのもいいですね。
赤の刺繍が派手といえなくもないですが、
イタリア車をほしがるユーザーの趣向としてはこういうものですよね。
当然利用したことはないですがアクティブヘッドレストだそうです。
ジュリエッタQVオーナーの方が左を選択される一番の理由、
かなりはちゃめちゃな右ハンドルモデルのペダルレイアウトです。
おかしいところ
・フットレストがない
・ABCの間隔が狭い(特にAB)
・ABのペダルが高くヒール&トゥ、ローリングトゥともにやりづらい
・見た目はいいけど滑りやすいペダル
こんな感じでしょうか?
コレは慣れるしかありませんね。
順応性は低い方ではないのでおそらく慣れるでしょう。
156の時にUnicorse(?)から出ていた船のデッキに使われる滑らない素材のペダルをつけたいです。

アームレストです。
コレはあると便利ですが、高さの調整ができれば言うことないですね。
小物入れの蓋がマグネットで開け閉めできます。
マグネットを使ったことで、開閉時の質感がいいですね。MacBook Proみたいです。
ただ、アームレストを下げると後述のドリンクホルダーの上にかぶるのは若干違和感あります。

アルカボの力を借りずともドリンクをホールド出来るのが近代のアルファロメオです。
ただ、日本で売られる一般的なペットボトル径だと若干浮きます。
イタリアのペットボトル径って日本とちがったっけ?
余りそんな印象なかったけど…。
156から比べればついているだけマシと思えと言うことでしょうか?
デザインはいまいちかな?
けど、この特別なスイッチだぞ!という印象は好きです。
こういうわかりやすい演出力は実にイタリアっぽいなと。
スイッチの押下感覚も高級感があっていいとおもいます。
指摘されるまで樹脂に塗装したものであることに気がつきませんでした。
アルミのシフトノブだとばかり思っていました。
こういう部分でコストダウンがしっかりと計られているのは悪くないです。
気にくわなければ社外品がありますし、
パッと見た感じチープには見えないです。

ダイヤルの重さ、回した感じもいいです。
夏場に運転していないので解りませんが、エアコンの効きも156とは比較にならない快適さです。
たぶんそれでも国産他社製の車よりは効かないんでしょうね…。

コレはすばらしい。
このクリック感あるスイッチと押下したときのレスポンス感は実に気持ちがいいです。
スイッチ形状も含めてこういう遊び心があってこそのイタリア車ですね。

ドアのスイッチ類、樹脂パーツ、ドアハンドル、ノブなど全体的な品質が向上しています。
かつて経年で樹脂が劣化し、ベタベタになっていた悪しき伝統はコレで絶たれていると願いたいです。
高級装備といえばQVならではのBOSE9スピーカーでしょうか?
このフロントドアスピーカーは小型ながら高音から低音域までしっかり聴かせてくれます。
ちなみにサウンドは純正アンプに代わって、カロッツェリアのサイバーナビから鳴らしています。
音の劣化を心配し、純正アンプと同じソースを再生して比較してみましたが、
サイバーナビにコンバート後もBOSEスピーカーが作り出す音場は聴き劣りすることはありませんでした。
それどころか、EQや細かいリスニングポジション調整を行うことで、より好みな音に調整することができました。
ヘビーなオーディオマニアならその違いはあるのかもしれませんが、僕程度の耳ではコレで十分すぎます。
バスの強い曲ではドアが共振しますが、それによって音がぶれるようなことはなかったのでデッドニングはそれなりにされているように思います。

本国ナビが収まるらしき小物入れ。
仰々しいポジションにある割に小さいスペースですが、無いよりなしですねー。

ただでさえAピラーの極太さ、サイドミラーの大きさから視認性が低いのに、
視界のど真ん中にこの巨大なミラーがはいることで偉く邪魔です。
もう少しスマートにして欲しかったですが、質感も形状も悪くないです。
安全性も考慮に入れてるんでしょうね。

メーター類はスポーティですね。
やはりドライバーズカーはこうでなくてはいけない。
156時代の赤いイルミネーションもよかったですが、視認性を重視して白というのも悪くないです。

さすがにこの世代のフューエルメーターは正確ですね。

シンプルで視認性が高いです。
6500回転からレッドというのはすこし寂しい気がします…。
ドライブコンピューターのインフォメーションもこの位置に出る方がわかりやすいです。

ハザードスイッチは面白い形状ですが、あまり他のデザインとの共通性が乏しく、ちょっとピンと来ない形状ですね。
■後席
リアシートも156より快適です。
すくなくとも大人二人が座って長距離移動をしたとしてもつらくはない快適性はあるかなと。

後席のエアコンのルーバーは一つ。
コレで後ろがどれくらい冷えるのか?夏場は若干不安です。
コレはとてもいいですね。
リアアームレストにもちゃんとドリンクホルダーがついています。
後ろのドリンクホルダーのが使い物になるのが面白いです。

リアドアもフロントドア同様ですがこのデザインとても気に入っています。
これ見よがしな高級感の演出ではなく、綺麗なシュプールで分断された複雑な面で構成されています。
8Cからのインスパイアだとしても、あえてそのまま持ってこずに、文法を上手くコンパクトカーに昇華しているようおもいます。
逆にここにもう少し高級なマテリアルをのせたら数段階上のインテリアになっていたように思いますが、それをあえてしないのもまた意図的なのかなという気がします。
結論:
■ラグジュアリー感
ジュリエッタのインテリアは高級そうにみえるが高級か?と言われるとじつはそうでもないのかもしれません。
156のドアハンドル(エクステリアですが)のように明らかに一部分だけが
オーバークオリティである代わりに、チリが全然あっていないとか、
樹脂が安っぽいなどのアンバランスさはありません。
だって400万円前後の車は必ずどこかでコストとクオリティのトレードオフが強いられるわけで、
ジュリエッタはバランス良く最低限のクオリティを底上げする代わりとして、
高級感あるパーツがおごられている印象はありません。
ただ、だからといって安っぽいか?チープかといわれるとそうはおもいません。
それを上手く演出(ごまかしている)ようには思います。
例えば、アルミ風の質感を上手く使っていたり、多層コートでプラスティッキーな印象を殺していたり、パンチングレザーやレッドステッチなどでレザーの質感を上手く見せています。
おそらくCセグメントのライバル車に乗る人を同乗させれば(ドイツのアッパークラスは別かもしれないけど)ジュリエッタは高級感があるという印象を持ってくれるはずです。
だからオーナーは気になるのであれば、ノブやシフトブーツを本物のマテリアルのものに交換すればいいわけです。
個人的にはこれはこれでイタリア車らしいかなと思うのです。
例えばKartellやMAGIS、ALESSIなどのイタリアのモダン家具メーカーはポリカーボネートや
アクリル、樹脂の特性を活かし、自由度の高いデザインを行い、上手く高級感有る雰囲気に魅せるセンスを持っています。
マテリアルをどう見せるかにも気を遣われている印象は逆に好感です。
※ビニールっぽいシフトブーツはイマイチ
フラウばかりがイタリア家具ではない。
個人的にはArtemideやALESSI、Kartellのような旧来のマテリアルに頼らない、
イタリアモダンなインテリアをもつ車が出てきてもいいのではないかと思っています。
残念ながらジュリエッタはその方向ではないですが…。
■形状、デザイン
8C由来のインテリアデザインも一部アイデンティティを欠くパーツ類もあるものの概ね車格以上のものを感じさせます。
デザインスケッチから形をそのまま起こしたようなドア周り、インパネの面構成は特に気に入っています。
逆に、(装備の都合上なのでしょうが)視界内に入るオブジェクトが多く、ゴチャゴチャしすぎているのは、デザイン的にも視認性的に大きくマイナスです。
■快適装備
はっきりと快適であると言えます。
156とはここが一番比較にならないでしょう。
近年の車開発は走行性能の向上よりも快適性能の向上にこそ向けられていると思います。
ただ、この辺はドイツ勢、国産勢が最強なことを考えると、
アルファロメオとしては良くやってる方かなと。
他車から乗り換えて、え?あれないの?これないの?といわれても気にしない方がいいですねw
ドアミラーすら手動で開いていたことを考えれば十分すぎるほどに現代に近づいていますし、快適です。