桜も散って、葉桜状態のきびだんご県めばる市です(=゚ω゚)ノ
以前からうどん県のS将軍様に、KENWOODのTS-790Sを修理依頼で長期間お預かりして
ましたが、修理不能につきこの度、梱包して返却発送の準備をしてました。この無線機は144、
430MHzオールバンドですが別売りオプションユニットで1200MHzにも使える高級機で、本体の
発売時定価は、¥279000で、1200MHzユニットが¥72000でした。
144MHzのPLLアンロックで、コイル調整しようにもトリマー可変しません。同調コンデンサーが
完全に腐食して別の物体に成っちゃってます(´‐ω‐)=зおまけに各バンドのI F同調コイルも
全て相方のコンデンサーが腐食や何らかの理由で容量がコイルと一致しません。多くが容量が
減るならわかるけど、増加しちゃってます(´_`。)幾つかは基板から外して修理しましたが、全数
となると当時の回路図からもコイルの容量やカップリングコンデンサー容量の表記は無くて、
全部、設計上の周波数から計算して、それを再現しながら一つづつ試験しながらのことで、無理。
当然ながら調整見込んで丁度中間の値で落ち着くようにする必要があり、コイルメーカーでも
無い限り、手巻きでのチャレンジは無謀です。温度特性や周波数特性も当時に使っていたのと
同じ材質や材料は既に生産されてませんから、あくまでも誤魔化しです。
Q値、結合係数k、インピーダンス、コアの透磁率などから、とても大変な手間暇が必要であり、
上手くいかなければ線材を変えたり、巻き方変えたり、コア材質なども見直しです。
すんなりとメーカーコイルと置換えではありません∑(゚д゚lll)
そして、フロントパネルにこの時代の無線機は、タクトスイッチを多用しているのですが、構造上
長年の経年劣化とタバコのヤニ、砂埃侵入でそれぞれが接点不良だったり、チャタリング発生。
タクトスイッチぐらい交換すれば?と、思うかもしれませんが押した時の沈み込み深さや、バネの
反力など微妙な違いで適合しません。規格がある様で、実は各メーカーごとに違いがあり、既に
当時のモノは製造されていません。もちろん、図面添付して特注で頼めば生産してくれますが、
最低ロット数が決まっており、とてもコストが修理費として認められる範囲にはなりません。
1200MHzのユニットはメーカーでも修理したがらない当時の高周波回路で、PLLアンロックは
解除しましたが、送受信に至りません。また、各バンドのファイナルモジュールもくたびれて
いるのでしょう。144MHzは、FM送受信できますが、SSBはダメ。430MHzは、FM送信出来ます
が受信感度が-40dB以上悪くてダメ。SSBは当然ながらダメ。MAXパワー38W限界です。
特に重症な各バンドのI F基板を何とかしても、RFのファイナルモジュールは既にありません。
RIT/SHIFTボリュームも物理的にぶつけている以外に経年劣化で接触悪くて調整不可。
10KΩBカーブの2連ですが、RITはご存知のように中点がロックして±に調整できるタイプで、
これを交換するには特注でのロット生産購入に成ります。まあ、タクトスイッチに比べればロット
数少なくて作って頂けるので、2万円前後見とけばいいですが、そこまで1つのパーツに費用を
掛けるのは他が直る見込みがある場合だけです。
リファレンスマニュアルやらサービスマニュアルとにらめっこしながら回路図に穴が明くくらい
眺めてましたけど、今回のKENWOOD TS-790Sは、おっちゃんには修理不可能でした。
丁度、この時代の無線機から鉛フリーハンダが使われ出して、所謂、自動ハンダ装置による、
ハンダ付け不良や銅パターン喰われ現象、表面張力に因る部品浮き上がり不良。機械強度
不足での応力集中クラック等の電子回路に致命的な欠陥が出回っている現状です。
基板と回路図が在っても、そこに使われる部品の生産が終了してしまえばその製品寿命は
終わりです。