
コンパイ・セグンドの力強い声に乗せて、
1948年型シトロエン 15 Six 'Traction'が
波しぶきの上がる海岸沿いを走り抜ける。
オープニングからその世界に引き込んでいった
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」。
グラミーを獲得したアルバム制作から20年。
ライ·クーダーとヴィム·ベンダースが組んで、
キューバの黒人のためのミュージックホールの
伝説的ミュージシャンたちを探し出し、
彼らの奏でる奇跡的な音楽を記録したドキュメント映画ができてから、
もう18年も経つという。
ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブの音楽と画面の映像を通して、
キューバの魅力や歴史、クラシックカー大国だということも知った。
「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」の

続編となる「ブエナ·ビスタ·ソシアル·クラブ★アディオス」。

18年前でさえすでに高齢だったミュージシャンの多くは、
当然のことながら死んでいる。
コンパイ・セグンドも、

イブラヒム・フェレールも、

ルベ−ン・ゴンザレスも…。

あの人も、この人も。
ただ、彼らの命が尽きてしまった悲しさよりも、
歴史に埋もれてしまったかもしれない
名もなきミュージシャンたちが、
人生の最後の数年間で見事に花を咲かせて、
実力を出し切って生き抜いた姿に多幸感があった。
この18年の間にキューバの扉が開かれた。
その中で、ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブは、
キューバの歴史の一端を担っていただけでなく、
文化の面で扉の鍵を開ける役割も果たしていた。
映画は彼らの奏でた音が次世代へと引き継がれていくことを示して幕を閉じる。
タイトルはアディオスではあるけれど、決してさよならだけではなかった。
Posted at 2018/07/27 23:59:30 | |
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