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本日の宿は大湯の前にあるまるほん旅館
奮発してアワビコース

(肝心のアワビは写真を撮る前に食ってしまった…)
さて、ウニとアワビを堪能した後にお風呂へ


潜り戸のような入り口
中に入ると階段が
どうやら地下に温泉はあるらしい
くだる温泉にハズレなし

むほ

むほほ


あ〜ん
共同浴場と同じ職人が作ったのだろう、板張りの洗い場の真ん中に生簀流用の浴槽
湯に浸かる
大湯と同じ源泉だが、引湯距離が違うのか、こちらは適温42℃
底に湯の花が溜まっているので足で攪拌

おお、白濁りの湯だ
この湯を独占

下北半島の先っちょ、鄙びた旅館の地下にある温泉に一人静かに浸かりながら、井上靖の海峡の一節をスマホで探す

「ああ、湯が滲みて来る。本州の、北の果ての海っぱたで、雪降り積る温泉旅館の浴槽に沈んで、俺はいま硫黄の匂いを嗅いでいる。」

雪降り積もりはしていないが、雨のしとど降る中、俺はいま温泉旅館の地下の浴槽に沈んで硫黄の匂いを嗅いでいる

なんという旅情を掻き立てるシチュエーションなんだろう！

まるほん旅館
青森県下北郡下北郡風間浦村大字下風呂下風呂113
0175-36-2330
500円
時間は問い合わせ

酸性・含硫黄-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉(硫化水素型)
(低張性・酸性・高温泉)
成分総計3.6112g/1kg
pH2.19
泉温64.0℃

大湯の向かい、駐車場は4台分

下北半島の先にある下風呂温泉
東北勤務が決まってから必ず行くと決めていた
まずは大湯へ

地元の人がひっきりなしに来る大人気温泉

板張りの浴室、湯船はなんと生簀を流用している
硫黄の酸性泉なので、腐食しない生簀を使っているのだろう

右手がぬるめ、左手があつめ
写真で見ても分かる通り、ぬるめの浴槽の周りは濡れているが、あつめの方は入る人も少ないので床が乾いている。そう、ここは全国指折りのあつ湯なのだ
ぬるめでも44℃くらい、地元の人は入れていたが観光客はかけ湯で戦意喪失

さあ、私はあつめに

かけ湯をしようと掬ってわかった、これは入れない。50℃超えてるよ…
ぬる湯の方の先輩に尋ねる「これは誰も入れないでしょう」
「いや、」洗い場で背中を向けている青年を指差す「あの兄ちゃん入ってたで」
ほんまかいな
仕方なく湯べりに陣取って湯をぺったんぺったんかけ湯していると、番台のおばちゃんが温度計片手にやってきて、手を差し込むなりこれは入られへん、周りの客にこの湯誰か入ったかと尋ねた
さっきの青年、「ん？俺も入ってへんで」そりゃそうだろう、こんなん入ったら石川五右衛門になるぞ。「ほんならええな」湯口に栓をしてじゃんじゃん加水し始めた
湯べりを囲んでいる私ともう一人の青年は湯もみ係

温度計を借りて測ると47℃、もういけますよと言うがまだあかん、体に悪いでと加水を続けるおばちゃん
あまりぬるくなったら値打ちなくなる、と内心思っていると、なんと先に青年が湯に飛び込んだ
一番槍ならぬ一番湯を取られた
遅れをとってなるものか、者どもつづけ！ポワウワ〜！ポワウワ〜！
私もざぶんと入る。腹に力を入れ、こぶしを握る。北信に伝わるあつ湯入浴法をこの下北半島の先っちょで披露するとは
地元の青年は1分も経たない間に上がってしまった。もはや独壇場、悠々とあつ湯を楽しむ
硫黄泉だが硫化水素型ではないので、強烈な硫黄臭はない。口に含むと酸性泉らしく酸っぱい
湯の底は確認できるくらいの薄い白濁り
それにしても熱い、私以外誰も入ってこない
周りの浴客からの羨望の眼差しが集まっている
(気がした)

※文中、大阪弁に変換しているところがありますがご容赦ください

大湯
青森県下北郡風間浦村大字下風呂下風呂97
0175-36-2824
350円
7:00〜21:30

酸性-ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉
(低張性・酸性・高温泉)
成分総計4.266g/1kg
pH2.19
泉温56.5℃

R279から下風呂温泉街へ
道は狭く、急坂のため低車高車はリップ擦るかも
駐車場はカオス、向かいのまるほん旅館の宿泊客の車の前、大湯の建物の横、そして券売機の正面と色んなところを使って8台分

(下北半島です。何故か牡鹿半島と間違って記憶していた…)
その名前は子供の頃から知っていた
恐山、死者と話せる場所
学生の頃は誰だっけ、イタコにジョンレノンを呼んでもらい、貴方はジョンレノンですかと尋ねたら「んだ」と返したとか聞いて笑ってたっけ

そんなに高くない山だし、有名な場所だから赤城や榛名のように道は整備されているだろうとたかを括っていたが、最後は逆落としのような急坂を下る
三途の川を過ぎ、山門前へ
平日だし雨降ってるし、駐車場はまばら


参拝料を払い境内へ

山門をくぐってすぐに湯小屋が見えてくる



他は瓦葺きの立派な建物なのに、湯小屋はとても質素な板葺
これが薬師の湯で、本日の男湯
失礼しますと中に入る
板張りの浴室には長方形の湯船が二つ

(奥側から入り口に向かって撮影)
ぷんと鼻をつく硫黄臭

奥の浴槽の湯べりに先輩が一人
地元の人だろう、洗面道具をよくあるプラスチックの籠に入れている

かけ湯をして手前の湯船に入る
熱い、45℃はあるか、指先が痺れる
「いや熱いですね」
「水入れなよ、こっちはだいぶ入れたぞ」
温泉あるある、水入れろと言われたら逆に我慢
湯口から掬って口に含む
うへえ、酸っぱい！これは歯が溶ける
湯ざわりはキシキシ系

そうこうしていると、二人組の先輩がやってきた
関西弁、少し柔らかいのは京都あたりか
奥の湯船に入るが「うわ！あっつー！！◯◯さんこれはあかん、水入れよ」
「わ！手前の方がもっと熱い！兄ちゃんよう入れますな」
さすが関西人、すぐに絡んでくる
なんでも醍醐寺の側に住んでいるそうだ
「私西国回ってたんですよ、醍醐寺って駐車料金千円取るところですよね」
「せやせや、拝観料は3点セットで有無を言わさず900円とるところや」
「一昨年の台風で境内の林が全部根っこから倒れてました」「せやで、あれ直すのに6億かかるらしいわ」
「うわ、駐車場2千円になる前にまた行かなあきませんわ」「せや、わはは」
ああ、東北は大好きだが、なんだこの心地よさは
故郷というのは良いな
大町桂月よ、何故温暖で風光明美な故郷の高知を離れて、本州の北の果てを終の住処にしたのだ
あの疑問がまた頭をよぎる


恐山を後にして、本州最北端の大間崎へ
駐車場を探してうろうろ

コロナの影響もあって人はまばら
和歌山の太陽に焦されたような岬とはまた違う、しっとりとした岬

東海の小島の磯の白砂に　われ泣きぬれて　蟹とたはむる

さあ今日の宿へ向かおう

恐山薬師の湯
青森県むつ市大字田名部宇曽利山3-2
0175-22-3825
500円(拝観料)
6:00〜18:00

酸性・含硫黄・鉄(Ⅱ,Ⅲ)-ナトリウム・塩化物・硫酸塩泉(硫化水素型)
(低張性・酸性・高温泉)
成分総計4.848g/1kg
pH1.89
泉温74.2℃

本文中もある通り県道4号線はカーブとアップダウンが続く見通しの悪い道路。猿が出るらしいので注意
駐車場は停め放題

むつ市の郊外に、トドが集う温泉があるという
しかし遠くさ来たもんだ

ここは温泉の他に、キャンプ場やゴルフ場も併設する市民の憩いの場
早速中へ
昭和の匂いがプンプンする

風呂は大盛況、沢山のトドがいるぞ
それもそのはず
ここの泉質は高張性の塩化物泉、そして泉温52.7℃
湯当たり必至の力強い湯
そして

(ネットより)
投入量300ℓ/分を誇る大量掛け流しの湯は、湯船をオーバーフローして盛大に洗い場を流れていく
その方向や全方向、まさにトド寝のために設計されたようなもの
そしてトドでもクラクラする御仁向けにキンキンの水風呂ポリ浴槽が二つ置かれているではないか

もうね、朝から晩までここにいる先輩ばかりでしたよ

私も洗面器を枕にトドってみましたが、なるほど背中を流れる湯のなんと気持ち良いことか

むつ矢立温泉
青森県むつ市大字田名部矢立山49-1
0175-22-8211
450円
6:00〜22:00

ナトリウム-塩化物泉
(高張性・中性・高温泉)
成分総計18.32g/1kg
pH7.6
泉温52.7℃
湧出量300ℓ/分
県道から脇道に入るがよく整備されている
駐車場は沢山

今日は下北半島の先っちょまで行くのだ
そのため後ろ髪を引かれる思い(ないけど)で蔦温泉を後にする
生憎の雨、蔦川沿いの道はまるで田んぼのよう。対向車が盛大にあげるしぶきを真正面から受けながら進む
十和田市から東北町に入り、本日一湯目となる姉戸川温泉にたどりついた

なんの変哲もない建物
中に入ると子供の頃みた百科事典売りのセールスマンのような風体のおじさんが番台にいた
「いくらですか？」
「にひゃーくえーん」
顔に似合わない甲高い声
まさかこの人が百科事典売りではなくキテレツ大百科だとは…

湯銭200円を払い中へ

ゴボボボボー！！
なんだ？？

パイプから勢いよく湯がかけ流されている！！
こんなの初めて見たぞ！
そうか！打たせ湯の機能を持たせているのだな

昔のパチンコ台みたいに、根元の郵便受けみたいなところからもジョボぼぼと湯が出てる
なんだこれは！

そしてよくご覧下され、湯船の手前は緑色でしょう？ここは寝湯ゾーンになっておって、寝ると丁度良い塩梅になっておるのじゃよ、フォッフォッフォッ

ああ、このアイデア満載の高機能温泉を思いついたのはあの番台のおじさんだな
肝心の湯もツルスベ感の強い良泉
勿論泡付きも良い
ここは素晴らしい温泉ナリ、なるたけ早く行くナリよ

姉戸川温泉
青森県上北郡東北町大字大浦中久根下98
0176-56-3529
200円
9:00〜20:30

単純温泉
(低張性・アルカリ性・高温泉)
成分総計0.281g/1kg
pH8.6
泉温44.5℃
炭酸イオン35.5mg

県道8号線は幹線道路
駐車場は10台分ほど