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最近、車種別掲示板でフェアレディーの板をよく読んでんいるのですが、酷く荒れてますねぇ。。。
 ヤツはオレの前にいた。そぼ降る氷雨の彼方に映る純白のシルエットは、まるで獲物を探すシャチのよの様に。デジタルメーターは140Km/hをさしている。静かにアクセルを踏みこんでいく。TD04の過給音が心地よい。追い越し際に視線を移すと、男は無表情に煙草を燻らせていた。

 ルームミラーからヤツが消え去った後で、140Km/hの巡航速度に戻り、中国自動車道のワインディングをクリアしていく。岡山県に入る地点から山岳路になり、雨はみぞれまじりの雪へと変わっていく。もう明日から3月だというのに、とつぶやきながらも夕闇せまる銀世界に俺は魅せられていた。

 最初は何が起きたのかわからなかった。クォーンと腹のそこに響くエキゾーストサウンド。黄白色の閃光。ヤツは俺を追いぬきざまにシフトダウンし、強烈なバックファイヤーを浴びせたのだ。メカチューンか?路面の飛沫で視界が極度に落ちる。ハザード2回点滅、こちらもそれに応える。

 ナビがいればと思った。VVCに手が届く。AIC,EGC...。燃料系点火時期調整に少し不安があった。前方視界、我ら以外車影無し、ギアを3速に落とす。ブースト計の針が大きく右に振れる。追撃だ。横一文字のテールがやけに挑発的だ。

 走り屋はアウトローなのかと、ふとそんな考えが脳裏をよぎる。速度規制50Km/hの表示が目につく。法規制の4倍近い速度で走る狂気。正気を約束するものは冷めた理性のみ。熱いハートは冷たいデザートを好むのだ。

 路面のシャーベットを吹き飛ばしながら2匹はじゃれ合う。じゃれているとしか見えないだろう。ズルッ、ズルッとテールが左右に滑る。漆黒の闇から雪が放射状に叩きつける。ヤツは教本通りのコーナリングワークでセーフティーマージンを稼ぐ。速い...。そしてスキを見せない。

 突然レーダーディテクターが鳴る。一瞬、アクセルオフ。対行車線のオービスだった。一気に差をあけられてしまった。かすかなノッキング音が気にさわる。

 広島県堺を通過、もう止まらない。俺は、ラリーだなこはと笑ってみる。道路凍結、事故発生の表示。ここまでか、前方にきらめく黄色の灯火照明。中山トンネルだ。緩い左カーブで道は別世界に吸い込まれていく。勝負!手前の橋梁は凍り付いているはず。インに入り込み、フルブースト。メーターはとっくに超えてしまった180Km/hで静止し続けている。

 間近に見るワイドボディは実に精悍だ。メインステージに響くサウンドは下手なロックより溺れられる。流れる照明が非日常的なのが嬉しい。高密度な時間がこの時はゆっくりと流れていった。

 静寂の時が戻った。近くのSAに入る。男は大阪のT会病院に勤務するドクターであった。今度会う時もと。男が言った。閃光を挑戦状にすると...。

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