バイトを終え、オレは裏のパーキングに歩き始めた。
つい最近まではそこは女との待ち合わせの場所だった。
しかし、突然のサヨナラと共にそこはバトルへのスタート地点と化していた。
愛車は月の光を受けて鋭く光っている。癖のあるドアを開け、キーをひねる。
電磁ポンプがうなり終わるのを待ち、最後までキーをひねる。
FJユニットはこうして少し長めのクランキングから目覚めた。
オレは車を降り、煙草に火をつけながら形式上の点検を済ませた。
汚れたスニーカーで煙草を踏み消し、再び車に乗り込む。
4点式を締めると体と共に心までが締め付けられる。
重めのB&Bタイプを踏み、デフ、ミッションの軽いジャダーを感じながらそこを後にした。
オレは信号待ちをし、どれ位の時間を走っていたんだろうか…。
チューナーをオンにするとノイズに混じって懐かしい曲が流れてくる。
スイッチには、今は過去になってしまった女が作ってくれたお守りがぶら下がっている。
やっと青になった信号をオレはゆっくり目に走り出した。
するとオレのRSの横を一瞬にして面1で抜き去っていく1台がいた。
小さくなっていこうとするテールに、オレの心は決まっていた。
レッド付近まで引っ張り、シフトアップしていく。
カムに乗ったと表現するに相応するEXノートが響き渡る中、飛ばさないでと口癖のように言っていた女の顔がクロスオーバーする。
相手はTE’71だ。バトルの態勢に入る。昔流行のイナゴマルかな?かなりの加速だった。
マズイなと思いながら小さい71テールを追っかけた。そう、その先はブラインドコーナーだ。
71のマフラーが2度炎をふいた。オレも回転をあわせ、4、3、2とシフトダウン。
コーナーの奥にはひどい継ぎ目があり、ノーズは山側に向きブレイクしてしまった。
継ぎ目のことは知っていたのに…。
なんとかクラッシュをまぬがれ車を正面に向けその後の直線をフルスロットルで飛ばした。
が、71テールは見えない。多分オートレストランのパーキングだろうな。
そう思っていたオレの勘は当たっており、その中にTE71を発見した。
オレはTE71にはワンスペース空けた横にRSを止めた。
クルマを覗き込むがオーナの姿はなく、肝心のタイヤをチェックするとそれはゼラで、サイドまできれいに使いこまれていた。
顔を上げて周囲を探すと、自販機の方から2本の缶を持った男がこちらに来る。
その彼は1本をオレに差出し「FJ2.2リットル?」と聞いた。
オレは咄嗟に「フルノーマル」と答えていた。恥ずかしくてそう言うしかなかった。
TE71の方は2TGの2lメカだった。その後、30分は話は続いた。
TE71・One Night Recerさん、オレはまた会いたい。そしてバトルしたい。
OPT発売日の週の土曜日の深夜午前1時、あの交差点で待っている。
オレは常にアタックし続けることだろう。