ダッシュボードのデジタルが1:50と青く光る。通りすぎる対行車のライドで、相棒がうとうとするのが分かる。オレ達は予定の警らを終え、仮眠を取るため本署へ向けアクセルを踏む。
デジタル無線機のスピーカーが他署のパトが本署で閉局することを告げられている。対面の信号があ化になり、停止。サイドの相棒が目を覚まし、「今日は信号無視が5件と飲酒運転が2件...あと酔っ払いの保護が4件もだぜ。早く布団に入りたいよなぁ」そう言いながら灰皿にタバコを揉み消した。「まったくだ」このオレのあいづちをさえぎるように、相棒が眠気をふっ飛ばすような声で叫ぶ。「おー、信号無視か!」右前方から2つのライトが、黄色から赤になろうとする交差点めがけて突っ込んでくる。
10m手前で赤に....が、ヤツはブレーキを踏まない。オレは無意識にギアをろーに叩き込み、赤色鐙とサイレンのスイッチをONにする、と同時に左右の安全を瞬時に確認し、クラッチを一気にミートする。驚いたことにヤツはリアから紫煙を吐きながら、フルカウンターで右折し、オレ達にそのテールを見せつける。
「おいおい、OPTステーっカーを張ったスープラの3リッター、オマケに初めてお目にかかるターボAだぜ!こりゃあけっこう楽しめさてくれるか?」相棒がマイクを握りながらオレを見てニヤリと笑う。「どうだか?」オレは笑い返す。
ヤツはオレ達のパトがクラウンでアることに気づいたのか、相棒の停止命令を振りきるかのようにフル加速に移る。速い!さすがに国産最強というだけある。、みるみるその差が開く。
「しょうがねぇなぁ。やるぜ」、そう言いながら相棒はおもむろにグローブボックスを開け、SCの電磁クラッチのスイッチをONにする。ブロアの音が車内に低く日歩苦ような錯覚を起こすほどの加速を始める。すかさず2速へ。「これでどうだい?」相棒が2本のタバコに火をつけ、1本をオレの口に差し込んだ。「OK、十分だね」。
ヤツとの差が徐々に縮まる・カムシャフトに弾みがつき、タービン音が車内に入り込む、どうやら電磁クラッチが切れ、過給はSCからTD07に移ったようだ。
ヤツとの差が一気に縮まる。ヤツの驚きと焦りの顔が見えるようだ。ヤツのリアスポに赤色鐙が反射する。3速、ウエストゲードの音がガードレールにこだまする。「一気に抜くか」オレの問いに応えるかのように、相棒の左手がグローブボックスの右隅に光るVVCのノブをまわす。
右車線へ移る。と同時に暴力的な加速がオレ達をシートに抑えつける。何度味わっても最高だ。ヤツが夢でも見ているかのような顔をこちらへ向ける。「終わりだよ」相棒が立てた親指をさかさまにし、ヤツに合図する。ヤツの肩から力が抜けていく。ルームミラーでヤツのクルマが左にウインカーを出すのを確認し、オレはヤツの前へクルマを止める。オレは知らぬ間に落ちた制服の上のタバコの灰を払う。相棒は静かにグローブボックスを閉める。「カチッ」。
その音でオレは目を覚ました。相棒がクローブボックスからタバコを出しながら「おい起きろよ、信号が青になったぜ!」とつぶやいた。
愛知県豊橋市 豊橋の白ネコ