5月15日午後7時、私は屈辱を味わうことになった。私の愛車はソアラ3.0GTリミテッドだ。
仕事の帰りに一関ICから東北自動車道に乗る。一関から仙台まで比較的高速コーナーが続く、なかなか私の嗜好にあったルートである。特に途中の古川~三本木のストレートは最高速のチャレンジにもってこい。友人の多くもここでテストを繰り返している。ソアラはATだが、街乗りと高速を多用する私にはパワフルでなかなか頼もしい。
古川~三本木までのストレート、デジタルメータは190Km/hを指している。ナカミチのサウンドが心地よい。と、その時遥か後方からパッシング。いつものパターンである。私はこの瞬間が好きでソアラに乗っている。ATでも高速では負け知らず。相手を確認してから後方よりバトルと洒落こもうじゃないか。
そいつはシルバーのCR-Xだった。音がやけに元気だ。1.6リットルでは相手に不足ありだが、まあ、良いとしよう。追い越し車線に戻りフルスロットル。そしてキックダウン...三本木PA手前の緩い左コーナーで、予想通りあっという間に追いつく。高速ではCR-Xもソアラの敵ではない。PAを過ぎて緩い下りの左コーナー、テールツーノーズだ。CR-Xが逃げにかかる。ここから右に左に高速コーナーそして大和IC前のストレート。ソアラのデジタルメータは200Km/hを指している。どうやらCR-Xはリミーターカットのみのノーマルのようだ。お気の毒だが、次のストレートでパスさせていただく。鶴巣SAの前の左コーナー、CR-Xがポンピングブレーキからフルブレーキング。オービスだヤツもここのルートは充分に詳しいらしい。
ペースダウン...「LINE TEACER」のステッカーが確認できる。このCR-X、いつかバトル模様に出ていた奴なのだろうか? 確かにステッカーが貼ってある。CR-Xがフルスロットル。またとないチャンスだ。CR-Xをちぎれば、今度はキミがバトル模様に投稿する羽目になるのだ。そしてこちらもキックダウン、ステアリングを持つ手にも自然と力が入る。
泉IC前の左の右コーナー、テールツーノーズだ。走行車線へ...。冗談じゃないぜ。ここで降りられたら、俺の立場はどうなるんだ。頼む...CR-Xよ。もう少し付き合ってくれ、力いっぱいのパッシングとハザードを送る。
と、どうだ。なんとヤツは再び追い越し車線に戻るではないか。「だからOPTを読んでいるヤツは好きなんだ」と私は心の底から嬉しかった。しかしその喜びは束の間だった。ジリジリと開き始めたではないか! 泉PA付近ではタイトコーナーが続きしかもアップダウンが多い。スピードは160~190Km/h。なんてヤツだ。下りのコーナーではキチガイのようなスピードで降って行く。200Km/hはでていないだろう。ヤツは最速の走りをしているだけだ。私にこれ以上アクセルを踏むテクニックはない。パワーは有り余るほどあるのに....
そしてヤツは視界から消えていった。車内に流れるナカミチサウンドだけが、私を慰めてくれる唯一のものだった。仙台宮城の料金所で「お疲れさまでした」の声がやけにやさしく響いた。
1.6リットル・ツインカムを侮った自分が恥ずかしい。ソアラをベストな足回りにした後、再度バトルに期待する。
宮城県仙台市 バトル模様に載り損ねたSOARERより