オレが今、助手席に乗っているこの車は、13Bロータリーに手を加え、ノンターボながらFC3Sをルームミラーに置き去りにする、そんなパワーを持つRX-3だ。フロントにはSA22Cのサスを移植し、エンドレスRをおごっている。ワインディング用にチューンを施したそのチューナーは、兼ドライバーとして今、オレの横でハンドルを握っている。
このクルマの暴力的な加速に酔っていると、自分のクルマの加速があたかも子供騙しのゴーカートのように思えてくる。
国分町の光を、独特なブラックボディーに反射させながら、ロータリーサウンドが街を駈け抜ける。
フォーラス前には、相変わらずの女を求める意味のない ”曲がることのできない”クルマ達がたむろしている。
400Wオーバーのマーシャルのライトが、いよいよ今夜のワインディングロードを照らしにかかる。2速にシフトダウン、タコメーターが一気に8000rpmにはね上がる。タイプDが悲鳴をあげ、リアがホップする。いつもの、そう、このRX3にとっては当り前の暴力的加速がまた始まる。
ドライバーの期待に応えるかのように、ロータリーサウンドが山に木霊する。
さまる右コーナー。パワーと横Gに絶えられなくなったリアタイヤが、左に突然ブレークする。ドライバーはこのピーキーなRX3を繊細にコントロールする。とそのとき、後方からハイワットな明かりが急激に近づく。そのEXノートもかなり元気がいい。
ドライバーはニヤリと笑う。オレは「AE86かMR2ですね」と答える。
ウィンカーを左に出し、相手を先行させる。そいつは予想どうりMR2だ。シャーウッドトーニングの4本出しマフラー、SCではないようだ。ヤツがハザードを2回点滅させ、RX3がパッシングで応える。さぁ、いつものようにバトルが始まった。
逃げるMR2、しかしロータリーモンスターのRX3は、強引にテールをプッシュする。タイトコーナーが目の前にせまり、パワーをもてあますRX3に対しMR2は機敏に駈け抜ける。短い直線、S字複合、ヘアピン、互いのマシンが持つ利点を最大限に活かし、トータルでの差は全くない。勝負を意識することなく、テールトゥーノーズのスリルあるバトルは終わった。
頂上のPへクルマを停める。MR2のドライバーが降りてきた。「あっ!」オレとドライバーは思わず声を出した。「バケモノRX3にはかなわないな」そういいながら男が近づいてくる。だだ懐かしさだけがこみ上げる。
数年前に約束したことが頭に浮かぶ。当時彼は、2輪でこの峠を攻めていた。そして幾度となくこのRX3とバトルを繰り広げた。
「2輪では勝負がつかない。1600DOHCのライトウェイトスポーツで勝負をつけようじゃないか...」
そして3年....
彼は約束通り、オレ達の前に戻ってきたのだ。そう、シャーウッドの弾丸を手に入れて。
宮城県仙台市 P