もう何時間寝たのだろうか...
目覚めると、もう外は夜を向えたいた。オレは何かを振り払う様に熱いシャワーを浴びる。
マンションの一室を後にし、駐車場へのアプローチを降り、オレの本当の部屋へのドアをノックインする。昨日の余韻の残る部屋の中、まどろんだエアーを深く吸い込み、心を落ち着けると、水温もアップし、上機嫌なアイドルになる。最近入手したカセットテープをねじ込み、自惚れた街にブラックマークを刻んだ。
いつの頃からか、孤独になりたい時は、あてもなく走るようになっていた。ここ、日本の都会は孤独だという人もいるかもしれないが、絶え間無い雑音、眠らぬネオンサインも、オレの心を隔絶させはしない。遠くで揺れている高速の街燈も、はるか彼方に聞こえようとしている。サイレンの音さえも...そして今日は ”ヨコハマ”にノーズを向けていた。
秋の忍び寄る気配を予感させるここ、第三は、楽しかった夏の思いでも悪戯に忘れさせる。オレの部屋はアベ150+αで流れる。スの似合う女など乗せることを拒絶する、西独産独立ダンパーの乗心地も、この速度域ではシティホテルのコンコース絨毯の上をウォークスルーしているようだ。
タバコをくゆらせていた時の漂う白い雲間のあけくれてきた頃、後方から青白い閃光がスクランブルしてきた。ヤツはエアダムに設置したペンシルスポットをオレに照射した。ミラーを通してしかみることのできないその虚像は、ハレーションを起こし、車種の判別がつかない。
このまま加速したなら、ヤツに手の内を見せることになると思い、ほんの少しスローダウンする。ヤツは横に並ぶと、同様の車と判断してか、ホーンを放った。ヴィヴィッとなバーガンディレッドに包まれたZ31のシルエットは、外国産のペイントをプロのガンマンが吹いたに違いない輝きを見せ、ここ第三の水銀灯を切り裂く。
オレは手を上げ、社交辞礼もそこそこに済ませ、サードへとシフトを移した。ヤツのZは大容量のシングルらしくかなりのラグがあるように見えた。オレの5MGも+K27/3064Gでいい勝負だ。Zはリアコンバージョンをつけたためか、バンパー下にナンバープレートを擦りそうな位、リアにトラクションをかけて加速した。ブーストの上昇と共にオレのアドレナリンも増量した。
3速リミットまでは同等だ。一瞬、ピレリのレーシング、7番も悲鳴をあげる。Zもシフトしているが殆ど挙動変化を見せない。なんだ?プロのゼロヨンファイターさながらのシフトだ。
ブースト 1.1キロ、6200rpmで5速にシフト。デジタルメーターの表示限度域をというに超えた。この200km/hオーバーの速度域空間ではリトラクタブルライトも風圧でいうことをきいてくれなくなっている。
ヤツは突然にブレーキングした。一台のタクシーがバトルレーンに乱入してきたのだ。その予想だにしなかった状況にもかかわらず、ヤツはテールを小さく振ってハットトリックを演じていた。ヤツはハザードを点灯させ、短かったバトルゾーンを脱出した。オレはスローダウンした。
ヤツはゲート先のP・Aサイドで待っていたが、オレが無事くるのを見とどけると、ウエストゲートの残響音を残し、消えていった。オレはP・Aに車を停め、ボンネットを開ける。
数時間前、あれ程孤独を渇望していたのに、空虚さに溺れていく自分に嫌気がさした。今のオレいは何事もカンフル剤にはなり得ない。ゲートからフル加速で出ていくエンジン音も、真紅に焼けたK27タービンでさえも....
東京都港区 カルロス・アキラ