このところ、神戸といった都会にでていくと新型CLSに出くわすことが多くなりました。今回のCLSは
sensual-purityという概念でもってデザインされており、新型Aクラスとともに次世代メルセデスの先駆けとなっています。
以前、
「アウディデザイン新旧比較 & メルセデスベンツのデザイン戦略 」というタイトルでチェックしていました。実車を町中でみた感想は、
後ろから近づいてきたときは、
いかついっ!はやそー!!
抜かれたあとにリアから見るときは
まるっ!!!
という感じです。正面はデイライトで格好良くというのは新型に共通するので慣れもあるのですが、CLSの魅力は他社にはまったくない丸みです。
これはマットカラーだから凹凸が見えにくいだろうということではなく、白色であってもこの
凹凸の無さがCLSであり、sensual-purityとのことです。このまるっとした感じはなかなかだせません。
911などのリアフェンダーの膨らみとは違い、必然性のないような部分まで凹凸がなくなっています。
以前アップしたデザイナーの弁を借りると
ワグナー氏「アウディやBMW、レクサスを見れば、どれも一本のキャラクターラインがボディサイドを貫いている。我々の初代CLS(05年)もそうだったけどね。デザインのビジョンを描くなかで、他のブランドと同じようなキャラクターラインを使うのはどうしても避けたかったのだ」
というのがドロッピングラインを採用し始めた2013年8月の話。その後、2017年3月にはセンシャルピュアリティ2.0というものを語ったとのこと。
P44~45
ワグナー氏「折れ線の時代は終わった。折れ目やラインを極限まで減らしたとき、残るのはフォルムそのものだ。我々は勇気を持ってこのピュアリティを実行する。」
「いずれにせよ我々は、ラインでキャラクターを語ることをやめた。フォルムの基本にあるのは、我々がコアラインとよぶものだ。立体を作るには面と面との間に角度付けなくてはいけない。たとえばショルダー面は空からの光を受け、サイド面は横からの光を受ける。その光の違いで立体を見せるのだ。2つの面に挟まれたコーナーがコアラインになる。」
まさに、「折れ目やラインを極限まで減らしたとき、残るのはフォルムそのもの」という言葉はCLSをみると説得力を持ちます!まだ
生まれたてのデザイン哲学ではありますが、新しいステージ、土俵を既に作り上げてしまった感があります。これからは各車追随していく可能性が高いと思っています。
また、逆スラント(傾斜)と言うそうですが、ボンネット先端が突き出た形状になっており、これまた鉄仮面のベンツというイメージからすると勢いが感じられます。鉄仮面=平面、という印象がなくなっていますね。CLSだから出来たのでしょうが、Sクラスが今後どうなっていくか要チェックです。
ヘッドライトの付近もまるっとしていて凹凸が感じられません!アウディやレクサスは凹凸だらけですから真逆のデザインです。全体の印象が全てまるっとしているので違和感は感じられなかったですね♪
ひとつ気になる点といえば、前モデル共通ですが、矢印で示した部分。ボンネットに境目をつくるのはどうかなと・・・。ここはマイナスポイントと思います。ベンツのことだから何か安全性の思想があるかもしれませんが。
動画をおいておきます^○^
さて、翻ってアウディデザインはどうか。現行のデザインは確実に「折れ目やライン」をばっちり生かした製法です。CLSのライバルであるA7をみると
去年の10月末アウディ世田谷でA7,A8を見たのですが
この切れ味。
ボンネットの局面など、アウディがナンバーワンではないかと思っています。清廉さとでも言いたい感覚です。
これはA8のボンネットですが、
アウディの最も優れているエクステリアはどこかと聞かれたらボンネットと答えるかもしれません。
この角度ですとグリルの開き方もそれほど気になりませんが、真正面からみると少し大口すぎると思います。
アウディのデザイナーはこんな風に語っています。
リヒテに新型A6のコンセプトを訊ねた。
「A8はプレステージやエレガンスを、A7ではスポーティさを表現しましたが、A6はちょうどその中間に位置します。この3台は、そのデザインフィロソフィーを決めるのにいちばん苦労しました。結果的には、これまでアウディで30年間ほど引き継がれてきた直線的なショルダーラインを低い位置に移すとともに、前後輪の上側に"クワトロブリスター"と呼ぶ筋肉的で3D的な膨らみを設けました。これによってクワトロ=4WDであることを視覚的に表現したのです」
ショルダーラインを低くするのは視覚的重心を下げる効果を生み出し、クワトロブリスターは力強さを想起させる。いずれもスポーティなイメージに結びつくものだが、これとともに表現されたというエレガンスはどこに現れているのか?
「筋肉質なボディに対し、その上に流れるようでスリムなキャビンを乗せることでエレガンスを表現しました。後方に向けてルーフがなだらかに下降する、まるでクーペのようなデザインだと思いませんか? ここが私たちのメインコンペティターとの大きな違いです」
「彼らは後輪駆動を採用するためにキャビンがボディに対して後ろ寄りとなり、ストレートなルーフラインに続いてファストバック風のリアウィンドウをつけようとすると、トランクルームのスペースがなくなってしまいます。これがアウディとコンペティターのプロポーションに大きな違いを生み出しているのです」
引用元は
ここ。
他にも
アウディマガジンでは
「バランスは優れたデザインへの出発点。Audiのバランスのキーはquattro。私にとってquattroはドライブコンセプト以上のもの。4輪駆動に由来する力強さはAudiのデザインにも反映されています」とも語っています。
「歴代のアウディを振り返っても、ウエッジしたクルマはない。どれもほぼ水平のプロポーションだ。ワイドで力強いボディの上にやや低いキャビンを載せるのも、アウディらしさのエッセンスだ。これは今後も守っていく」
引用を続けましたが、センシャルピュアリティのようなデザイン論上の哲学ではなく、機械的な哲学を土台とすることがアウディの信条のようです。技術による先進を標榜するメーカーですので、
デザイン思想が先んじているわけではなく、あくまで車本体が持つテクノロジーに見合ったデザインが与えられていると感じました。
Posted at 2019/01/23 22:21:42 | |
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デザイン | 日記