昨日、新幹線が「人と接触」したので、東海道新幹線~山陽新幹線までが運休となっておりました。
日本の大動脈ですから、これほどの範囲で運休すると大騒ぎであります。
じゃあ、新幹線と接触する・・・って、人体にどのくらいの衝撃が加わるのかを計算してみます。
中学の理科で「自由落下」を習い、
速度=加速度×時間=gt
移動距離=1/2×加速度×(時間^2)=1/2gt^2
という公式が出てきます。
ところが、JB15君はこの「移動距離」が全く納得できない生徒でありました。
で、理科の先生に「なんで頭に1/2が付くのか、キッチリ説明せいや」と詰め寄りましたが、まともな説明が有りませんでした。
高校生の時も同様の質問を、物理の先生にふっかけましたが、明確な説明は無しであります。
この2人のアレな先生のお陰で物理アレルギーを発症、工学部に進学した時はドエライ苦労をしたものです。
この1/2が付く理由が分かったのが、高校3年生の時。
自分で微分積分を勉強している時に、やっと理解できました。
で、上記の自由落下の公式は何故あのようになるのか、JB15君なりに説明します。
特にウチのお子様達は、熟読するように。
まず、加速度とは何ぞや・・・ですね。
速度の増加率でありまして、「1秒間にどのくらい速度が増すのか」という意味です。
「速度の増加率」ですから、速度の単位m/秒を「更に秒で割る」ということになります。
なので、単位は「m/秒^2=」となります。
この「速度の増加率」ってのは「地球がモノを引っ張るチカラ」なので、0秒だろうと100年経とうと一定でありまして、式で表すと
加速度=g=一定
となります。
表で表すと
時間と関係無く、ズーっと9.8という数字が並びます。
これをグラフにすると
1本の棒になります。
ここで、落下して1秒後の速度を計算します。
公式では「速度=加速度×時間」となりますが、グラフでは
この赤い長方形の面積を計算することになります。
長方形の面積=縦×横で計算できますね。
なので、赤い長方形の面積=1(秒)×9.8(m/秒^2)=となります。
秒は掛け算すると通分されるので、面積は9.8m/秒=となります。
これで「速度の単位=m/秒(m/sec)」になりました。
2秒後の長方形は
こんな形になります。
この面積を10秒後まで計算して表にすると
こうなります。
キリが無いので10秒後迄で勘弁してください。
これで「速度(m/秒=m/sec)が計算できました。
更に、この速度の表をグラフにします。
こうすると「一定の割合で速度が増している」ということが判りますね。
この一定の割合=グラフの傾きが「加速度」です。
ここからが本番。
更に、このグラフの面積を求めていきます。
まず1秒後の面積は
黄色の三角の部分ですね。
三角形の面積=1/2×底辺×高さ・・・で計算できます。
なので、黄色の三角の面積=1/2×1(秒)×9.8(m/秒)=となります。
お、ここでやっとJB15君を悩ませていたあの「1/2」が登場します。
移動距離に1/2が付くのは、三角形の面積を求める時の1/2だったんですね。
ここで、秒は「また通分」できますので、三角形の面積=1/2×9.8(m)=4.9mとなります。
やっと、距離の単位=m(メートル)が出てきました。
つまり、モノを自由落下させると、1秒後には4.9mも下に行っちゃうことになります。
さらに2秒後の面積は
こうなります。
この三角形の面積を10秒後迄計算して表にすると
こうなります。
10秒後には490mも落ちちゃうんですね。
逆に言えば、490mの高さから飛び降りると、地面に到達するのには10秒もかかることになります。
数字の増え方が想像の範囲を超えてきたので、これをグラフにします。
直線では無く、曲線になりましたね。
この曲線を「二次曲線」と呼びますが、何でこう呼ばれるかは後ほど説明します。
このグラフの面積は計算しないので、安心してください。
これまで、色々な「グラフの線の下の面積」を計算してきましたが、この一連の操作を「積分」と呼びます。
逆の操作を「微分」と呼び、グラフの傾きや接線が計算できます。
先程の「二次曲線」の「接線を求める=微分」すれば速度が計算できます。
ここで、自由落下の速度と移動距離の公式のおさらい。
・加速度(m/秒^2=m/s^2)=g=一定
・速度=v(m/秒)=加速度(m/秒^2)×時間(秒)=gt
・移動距離L(m)=1/2×速度(m/秒)×時間(秒)=1/2×加速度(m/秒^2)×時間(秒)×時間(秒)
=1/2vt=1/2gt×t=1/2gt^2
とこうなるわけです。
移動距離でt^2(tの2乗)が出てくるので、あの曲線は2乗の曲線=二次曲線と呼ばれます。
で、ここまで説明したので、走行中の新幹線と接触した時の衝撃を計算します。
アッシが子供の頃、大好きだった「
はしれちょうとっきゅう」では「時速250㎞」とあるので、走行中の新幹線の速度は250(㎞/時間)=250(㎞/h)と仮定します。
これをm/秒=m/sに変換します。
250㎞=250000m
1時間=3600秒ですから、新幹線の秒速は250000/3600=69.4m/秒=69.4m/secですね。
v=gtにそれぞれの数値を入れると
69.4=9.8t
t=69.4/9.8=7.086秒
これをL=1/2gt^2に入れると
L=1/2×9.8×(7.086^2)=246.047m
つまり、「250㎞/hで走行中の新幹線に接触するというのは、246mの高さから落下した時と同じ衝撃が加わる」という事になります。
これだけの衝撃が人体に・・・・となると、もう人間の形をしていなかったでしょうね。
片付けた方々、本当にお疲れ様です。
あと、最近JR在来線や私鉄でも「接触事故」が多発しているので、この衝撃も計算してみます。
アッシ、電車の運転の様子を観察するのが大好きなんですが、狭軌(線路幅1067mm)では、大体80㎞/hが最高速度。
秒速は80000/3600=22.2m/sec
22.2=9.8×t
t=22.2/9.8=2.265sec
L=1/2×9.8×2.265^2=25.14m
これも「バチコーン」って当たったら、そらもうアレよ。
バチコーンだけじゃなくて、車輪に轢かれたら、体中バラバラ。
手首みたいな軽い部分は、50mくらい飛び散っちゃうんだよ。
最後に・・・
「電車とバチコーン」はマジでやめて欲しい。
多くの乗客に物凄い迷惑が掛かるし、片付ける人も大変なんだよ。