年末から進めていた、自転車用サスペンションフォークのオーバーホールが完了しました。
作業メニューは、各種シール類とフォークオイルの交換、そしてクリーニングです。
このフォークは、1998年にサスペンションメーカーのSHOWA(ショーワ)が発売していた、ダウンヒル用マウンテンバイクに向けたダブルクラウン仕様のフロントフォークです。
それまでも、ショーワ製のシングルクラン仕様のマウンテンバイク用フロントフォークは、ヤマハブランド、ペレグリンブランド、RS-タイチブランドや、そのままズバリのショーワの名で発売はされていました。
シングルクラウン仕様として有名なのは、
◎ストローク73mmの「XR」(エアスプリング仕様)
◎ストローク90mmの「グラビエ-DH」(コイル&エアスプリング仕様)
◎ストローク45mmの「グラビエ-MP」(エアスプリング仕様)
等があり、「XR」と「グラビエ-DH」は私も愛用しているモデルで、いずれも90年代中期の製品です。
90年代中期の当時、自転車用サスペンションは新規参入のメーカーも多く、未熟な構造の製品が殆どで、オートバイに準ずる満足な耐久性、作動性の物は、上記のショーワ製かイタリアのマルゾッキ製の製品位でした。
そのような背景の中、ショーワ製のフォークは圧倒的な精度、スムーズな摺動性(ストローク感)、ダンピング、耐久性、剛性で人気を得ていました。
その後、90年代の終盤にかけて、MTBはダウンヒル競技に特化した前後サスペンション仕様のモデルが注目され、サスペンションのストローク量も100mm~120mmとどんどんロングストローク化していきます。
ロックショックスやアンサーマニトウといった海外メーカーがロングストロークフォークのラインナップを展開し始める中、ショーワがロングストロークモデルの投入を検討するのも自然な流れでした。
そして1998年、自転車用フロントフォークの歴史に名を刻むことになる
「98 ショーワ DHモデル」の発表、発売となるのです。
これは当時、発売前に詳しい情報を求めてショーワを訪問して開発担当者からお話を伺った際の資料の一部ですが、実際に製品化される段になって仕様変更もありましたが、おおむねこのままの姿で製品化されることになりました。
結局のところ、私は購入を見送り、新規参入メーカーのテックイン(ホンダの関連メーカー)製のフォークを導入することにしましたが、それからだいぶ後になってから中古品を入手する機会に恵まれて、その後今回のタイミングでようやくにしてオーバーホールを行うことになった次第です。
なにしろ製造から20年も経ちますから、オイルシールやダストシールや内部のフォークオイルも劣化が進んでいることは想像に難くなく、一応そのままでも使用できる状態ではありましたが、遅かれ早かれ損耗の度合いが大きくなってオイル漏れやインナーチューブの摩耗が進むことは明らかでした。
取り外したオイルシールと新品のオイルシール
当然のことシール類などの部品も純正部品としては出ませんが、これまでに集めてきた情報をもとに同規格の部品を調達しそれがこの年末にいよいよ揃ったので作業を実施することになっています。
取り外したダストシールと新品のダストシール
オイルシールの圧入作業は、シールの圧入される部分が特殊な分割構造になっているので、二人掛かりで行いました。
シール類は、新品時と同じNOK製の国産品を使用し、シール類組み付け時に指定されているグリスも準備して少しでも新品時の性能を取り戻せるように配慮しました。インナー、アウターの摺動の要のスライドメタルの摩耗も心配でしたが、無視できる状態でしたのでそのまま使用しています(もちろん今後に備えてメタルの刻印は控えて部品の取り寄せはできるようにしています)。
艶やかにみなぎるような柔軟さを取り戻したシール類。
電動アシスト自転車の、ヤマハPAS-ブレイスに取り付けて試乗してみましたが、フォークオイルの油面数値やオイルの番手の情報が得られなかったので、今回だけでは適正なセッティングにはなりませんでした。
年明けに、オイル番手と油面の数値変更、コイルスプリングへのスペーサー追加で乗車時に適正なプリロードとサスペンションサグを出そうと思います。
今回少しだけ乗ってみて、あまりにも作動がスムーズでストロークしていることすら感じられない程に滑らかな乗り味で、まさにショーワクオリティ、メイドインジャパンを感じられるものでした。
◎ストロークは160mm
◎フリーバルブによる減衰力発生機構
◎オープンバス式フォークオイルによる、ダンピングと潤滑
◎テーパー状のシートパイプによる、位置依存式減衰力可変機構
◎アルミ製インナーチューブ、特殊硬化潤滑処理済み
◎正立、リーディング構造
◎金属コイルスプリング+エアスプリング(エアは0㎏/㎠~0.5㎏/㎠の範囲で設定)
といったスペックになっています。
以上、フロントフォークのオーバーホール完了の報告でした。
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Posted at
2018/12/31 00:43:05