
前回より999の話題。
予告通り、今回はスリーナイン号の編成を鉄道模型で再現すべく、編成を考察していきたいと思います。
アニメにはありがちですが、作画・シーンによって編成内容や車種が異なり、特に車種の割り出しは困難を極める場合が多いのですが、劇場版に関しては、幸い同じことを考えてる諸先輩方がある程度答えを出してくれていますので、それを参考にして組んでいきたいと思います。
さて、メーテルの正体と同じくらい謎なスリーナイン号の編成。
ちなみにメーテルは人間です。機械化人ではありません。
メーテルは非常に長い寿命を持つラーメタル星の出身。
母であるプロメシューム(機械帝国の女王)から永遠の命と、宇宙で一番美しい体とされている鉄郎の母の若い頃の体の授けられ、メーテルの運命、すなわち永遠に旅をするため、その体が老いれば、若い体に移し替えているようです。
メーテルの元の体は冥王星に眠っていますが、若い体のままなので、早いうちから体を移し替えていたものと思われます。
もっとも、長寿なラーメタル人なので、体の老化の進み具合も普通の人間よりもかなり遅いとは思いますが。
TV版では未来のメーテルと遭遇する話がありますが、一緒に旅をしている少年は西暦6万年(!)台生まれ。それでもメーテルの容姿は同じなので、別人の若い体に移し替えているのではなく、鉄郎の母の体を繰り返し使用している(クローン?)と思われます。
話をスリーナイン号に戻しましょう。まずは何両編成なのか。
劇場版1作目では、確実に確認できたのは14両、12両、10両。
2作目では9両の描写が最も多く、8両の描写もあり。
物語終盤の2両爆破後は7両になっています。
3作目では11両編成が確認できています。
多数派をとるのであれば9両編成ですが、いささか短すぎる気がするのと、1作目にも対応できるように10両に設定します。
模型的観点から、収納の関係でもそのくらいの両数のほうが都合がいいのです。
次に形式。まずは3等車から。
コレも作画に振り回されます。パターンとしては・・・

35系(オハフ33)

43系(スハフ42)

44系
外装では以上3種類が確認できますが、内装と照らし合わせてみると・・・

作中ではこの通り、3等車はボックスシートで描かれています。
つまり、この時点で44系はアウト。
44系は一方向の固定クロスシートなので、向かい合わせで座れません。
次に43系。
こちらは原作では特に43系風に描かれていることが多く、資料によっては43系で断定されているものもある?ような感じなので、正解に近いと思います。
ただ、コレも内装に目を向けてみると・・・

電灯に注目します。真ん中一列の配置。
43系では小型の電灯が2列に配置されているんです。
そうなると、内外装の作画の条件で一致するのが、35系という事になります。
劇場版3作目に限って言えば、60系です。

これはハッキリ車番が書かれていますが、特急に鋼体化改造のシートピッチが狭い60系をあてがうなんて・・・と思いますが。
続いて2等車。

いわゆる「特ロ」と呼ばれるリクライニングシートを備えた特別2等車。
座席配置はオロ35やスロ50系列、スロ60系列が該当しますが、天井を見るとオロ35はナシでしょう。
画は冷房化後のスロ54あたりが最も近そうですが、さすがに低屋根化+冷房が載ってるというのは、外観から判断するにちょっと厳しいものがあるので、冷房化前のスロ54が適任かと思われます。
ちなみにスロ60の場合、電灯は一列配置みたいです。
次に1等車。

シングルルーフの描写がほとんどなので、マイテ39は除外でいいかと(ただしダブルルーフっぽい作画も存在)
マイテ49と58は正直ほとんど差がないというか、正確に窓割が描かれることもないので、模型的に都合のいいマイテ58にします。
続いて食堂車。
外観が展望車以外すべて同じに描かれているため、パッと見た感じで広窓で3等車と外観の近い食堂車から選択。

窓割がヒント。テーブルの位置に窓が1枚。
コレに該当するオーソドックスな外観の食堂車はマシ35あたりでしょう。
ココからは結構厳しい・・・医務室・浴室・ランドリー車(便宜上保健車という事で)
ハイ、もうこれは実在形式がありません。
まだ上記のうちどれか一つであれば、3等車あたりの端っこにつけてもいいのですが、さすがに3室も必要となると、1両丸ごとの調達になりそうです。
これはもう諦めて架空形式を設定しますが、特殊車両ということから、食堂車と同じく出入口は設置されてなくてもいい・・・という事で食堂車をチョイス。

また、ご覧の通り車内は片側通路のため、食堂車の厨房部分を延長改造したという事でいいでしょう。
種車は悪評高いマシ35のオール電化版マシ36を改造し、特殊車両という事から車両記号は「ヤ」を設定。スヤ36形としました。
そして最大の難関、寝台車。
寝台車も存在はしているらしいのですが、はっきりソレと分かる描写はありません。
ただ、コレが寝台車だとしたら・・・

片側通路の個室。コレが寝台車だとすると、さらにオーソドックスな外観で判断するに、スロネ30。
なんとか使用車種が出揃いました。
次に編成順序。

まず、鉄郎とメーテルの乗車車両は3等車。
ハッキリ2号車の札がささってます。

画像がダブりますが、2等車。コチラは5号車。
編成長的にも、2両くらい連結されているのが妥当でしょうか。

保健車は後ろから3両目。すなわち10両編成ならば8号車。
当然展望車は最後尾10号車で、寝台車は9号車あたりに入るのが妥当?
食堂車は基本的に1等や2等の近くに連結されていることが多いので、両方から近い7号車あたりでしょうか。
そして残りを3等車とすると、以下の編成が出来上がります。
ようやく車種編成が決まったところで、模型化していきます。
まず、今回模型化するにあたり、大前提として全車室内灯を装備すること。
それに伴い、極力同一メーカーの完成品を使用する、という事にします。
マイクロエースは却下、TOMIXは旧型客車系はほぼ3等車と荷物車のみのラインナップ。
そうなってくると、やはりKATOに軍配が上がります。
嬉しいことに上記のほとんどの形式が完成品で製品化されているので、バラ売りや中古を駆使して調達。
保健車も、結局はマシ35を使用するので、問題ナシ。
だた、スロネ30だけはどうにもなりません。
いっその事近い車両でごまかそうとも思いましたが、広窓片デッキなんぞ、そもそも近い車両がないので、やはり手を動かさなければなりません。
偶然にも、窓幅がマシ35と同じように見えたので、GMのキットを駆使し、切り継ぎで作成。


マシ35を2つと、スハ44のデッキと窓の一部を使用。
床下はKATOのスハ44のツメを削ったりして、GMのボディに無接着で嵌まるようにしました。
室内も簡単に再現。

遠目に見るとそれっぽく仕上がっているように見えますが・・・切り継ぎ跡とかが気に食わず、結局作り直すことに。


まさかの真鍮キットですよ。
ハードル高そうですが、案外サクッと組めました。
組み立てよりも、塗装に気を使いますネ。

完成。
コンバージョンキットで、KATOの床下がそのまま使えるので、室内灯ももちろんつきます。

セットはこんな具合に。
1両別枠になってるのは、3作目の鉄郎乗車車両、オハ61-819。
続いて機関車。
機関車は原作及び劇場版ではC62の48号機。
どうやら松本零士氏が実物の48号機のプレートを所有しているからだそうな。

模型はKATOのC62東海道型を使用。
ナンバーはタヴァサを使用、ヘッドマークは自作。
さらに、原作では予備機として49号機の存在が明らかになっています。
作品内では単純な連結ではなく、合体します・・・
模型ではさすがにそこまでする気になれないので、単純に49号機を制作。

こちらは実車に則り、常磐型を使用。

ケースも仕上がり、いよいよスリーナイン号が完成しました。
当初は軽い気持ちで作り始めましたが、なんだなんだで本気になってしまいました・・・かなりお金かかってます。
今回使用した車両
C62東海道型
C62常磐型
オハフ33
オハ35×3
スロ54×2(青大将のバラシ)
マシ35×2(つばめセットと旧製品の単品←スヤ36)
スハ44(スロネ30の種車として)
マイテ58(つばめセット)
いざ完成してみると、TV版の編成も作ってみたいなと・・・