
アウトランダーの1週間のモニター期間を終えたので総括をしてみたいと思います。
まずは、簡単なスペックから
全長 4,655 mm
全幅 1,800 mm
全高 1,680 mm
車両重量 1,780~1,830(グレード・装備によって異なる)
エンジン
排気量 1,998 cc
最高出力 (kW[PS]/rpm) 87[118]/4500
最高トルク (N・m[kgf・m]/rpm) 186[19]/4500
過給機 なし
燃料 レギュラー
燃料タンク 45 L
モーター
最高出力 (kW[PS]) 60[82]
最高トルク (N・m[kgf・m]) 137[14]
燃費
JC08モード 18.6 km/L
EVで60.2km走行可能
とまぁ、こんな感じ。
簡単に言ってしまえば、2LのエンジンのSUVで重さが1.8tくらいのプラグインハイブリッド車。
ハイブリッドとの大きな違いは、EV(電気)走行で更なる燃費向上を図った車ということだ。
2014年8月現在、プラグインハイブリッドのカテゴリーはプリウスPHVとアウトランダーPHEVの二車種のみ。
PHVとPHEVと呼称は微妙に違うが、基本的なジャンルとしてはガソリンでも走るし、充電してバッテリーでも走るという意味ではユーザーからしたら同じと思っていい。
それでも大きく違うのがバッテリー容量だ。このバッテリー容量で大きく変わるのがEVでの走行距離。当然、バッテリー容量が大きい方がより多くの電気を蓄えることができるので、走行距離も伸びるという訳だ。
ボディの大きさは私が以前に乗っていたハリアーハイブリッドよりも、全長で100mm長く、全幅で45mm狭く、全高で10mm低いが、乗った印象は角張っているデザインからか同等か少し大きく感じる(ボディカラーの影響もあるかと思うが)。
インテリアデザインは極めてシンプル。
少し武骨な印象だが、この辺りは慣れれば気にならいし、操作系も申し分ない。ただし、最近の他社のSUVと比較すると簡素な感じは否めないのが正直なところ。
走行性能は・・・
エンジンは、もうスッカリ定着したプッシュスタートボタンを押すとハイブリッドらしい静かな起動をする。バッテリーの充電具合や、エアコンなどの電装品による消費電流が大きいとエンジンが始動する場合もある。
コンパクトなシフトレバーは電気的に繋がっているので、(普通のミッションのようにギアと機械的には繋がっていない)抵抗は一切なく任意のギアにはいる。リバースは『P』ボタンを押すだけ。この辺りは先進技術を感じる部分でもある。
走り出すとハイブリッド車特有のモーターのトルク感でスムースに、そして非常に静かに速度が上がっていく。もちろん、必要にアクセルを更に踏み込めは強力なモーターのトルクに加えエンジンもサポートするのでその時にはEV車ではなくPHEVに乗っていると感じる場面もある。
ハンドリングに関しては、
初日のドライブでも、
伊吹山でのドライブ、奥飛騨へのドライブなど、モニター期間のかなりの割合で山間部を走っていたので、タイトなコーナーやアップダウンの続くSUVでは正直辛いシチュエーションが多かったのですが、不要なロールもなく非常に安定して快適。
実は
以前に別の機会でアウトランダーの試乗会に参加する機会があり、その時のパイロンスラローム試乗でハンドリングはSUVの中でも優秀と感じたのですが、PHEVとなってバッテリー重量が増えて不利なはずなのに、搭載位置による低重心化が効いているのがわかります。
このモニター期間は前線を伴った豪雨に見舞われた環境で、モニター後半の旅行では山間部で道に20cm以上の水が溜まっている場所も何度か・・・後ろを走っていたセダンは、バンパーが見えなくなるほどの状況で突っ込んだ後に慌てて減速していましたが、こちらはSUVの車高と高い走破性でなんの不安もなく通過できました。
各種安全装備は・・・
納車日のブログにも書きましたが、衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)、車線逸脱警報システム(LDW)、レーダークルーズコントロールシステム(ACC)などのハイテク装備が満載。
それぞれ感じた印象を少しだけ。
レーダークルーズコントロールシステム(ACC)
これは今では普通にあるレーダークルーズコントロールで、任意の車速を設定して楽チン運転ができるシステムに前車との車間距離を一定(3段階)に保って走れる機能。任意の車速よりも車間距離の方が優先されます。
設定は一番短い設定でも十分かと思います。逆に一番長い車間距離だとよく進入される事の方が多いかも(^^ゞ 進入されると更に車間距離をあけるので、どんどん入ってくる・・・(^_^;)のんびり安全に走るにはその方が良いのかもしれないですが・・・・
気になった点は、急なカーブや車線変更などで先行車が急にいなくなった場合に、車速の設定速度が高いと急に加速する場合があるという事。この辺りは、もう少しマイルドな加速をするか、LDWのレーダを巧く使ってカーブの場合は加速を抑えるシステムになると良いなと思います。
ちなみにACCの車速の最高速度は115kmです。
車線逸脱警報システム(LDW)は
これは脇見運転などによるクルマのふらつきに効果的という事ですが、車線幅のタイトな道では常に警告音が鳴る場合がありチョット五月蠅い事もしばしば。不用時はOFFにできるのでワイディングなどではOFFでも良いのかなと思いました。
衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)
各社が積極的に取り入れている衝突防止機能ですが、以下の条件が必要となる。
●相対速度30km/h以下で、衝突を回避します。
●停止車両に対しては、自車速度30km/h未満で衝突を回避、30km/h以上の時は警報で注意を促します。
●停止保持機能がないため、停車後約2秒でブレーキは解除されます。停止を続ける場合は、ブレーキを踏んでください。
●路面状況により停止距離は異なります。
渋滞時のノロノロ運転時に使えたりすると、もっと便利になると感じるのと、停止保持機能が無いため2秒でブレーキが解除されるのをもう少し長めにしてもらえるとより便利な気がしました。とはいえ、あくまでサポート機能なので、FCMで多くの事をするのは前提にしていないんでしょうね。
充電について
これに関しては、まだまだ発展途上だなと感じました。
誤解の無いようにして頂きたいのは、PHEVとしての機能に不満がある訳ではありません。PHEVとしては、プリウスPHVとは比較にならない程優秀だと言えます。
ぶっちゃけプリウスPHVは満充電での航続可能距離は、JC08モード走行の場合で26.4Km。アウトランダーPHEVは60.2Kmとその差は歴然です。
それを表すかの様に、アウトランダーPHEV発売直後のトラブルでリコールがあった時でも受注はあったようですし、何よりその時のユーザーは充電をしなくてガソリンを入れて走っていたのと、その時の自家発電としての燃費性能がなかなか優秀だったと聞いたことがあります。それを実感するような今回の燃費も13~16km/Lの燃費。
実はこれが裏目に出ているのでは?と思うのが充電設備の普及の悪さ。
日産はリーフがEVとして全世界に普及させるためにDので充電も24時間可能だったり、充電にかかる費用も昔は無料だった(今は登録制で年会費?)のようですが、ガソリンで発電ができるPHEVはDでの充電設備がない所も多かったりします。三菱にもi-MiEV(アイ・ミーブ、アイミーブ)があるんですけどね・・・。
Dに充電設備がなくても、高速のSA/PA、道の駅などや、都心部では駐車場やコンビニにも充電設備が徐々に広がりを見せていますが、問題はその料金。
事前登録がないと高い所では1000円を越えたり、Dでも一回500円程度。
EVでは、一回の充電で100~200km走るでしょうが、PHEVではせいぜい20~60km。
どうみても走行距離に対してのコストが高すぎる・・・
PHEVの普及をさせるにはこの辺りのコストを安くして欲しいですね。
まとめ
1週間での走行距離1800km。
走行区間の割合は都心部:山間部(2:8)
満タン状態での航続可能距離は550km程度。(これは、充電設備がなかったので、充電は急速充電の80%チャージを2回のみでEV走行が殆どないのと、山間部での走行が大部分を占めるので平野部に住んでいる場合は700~800kmという声もある。一説には900km走行も夢でない??)
平均燃費13~16km/L(これは、充電設備がなかったので、充電は急速充電の80%チャージを2回のみとなるため最低限の燃費と考えて良いと思う。当然ながら充電を巧く活かせば更に伸び、往復が50km以内の使用であればPHEVの燃費を最大限に活かせる)
パドルシフトの回生レベルを巧く使う事でEVへの回収率がかなり変わってくる事を後半になってつかめた。長い下り坂ではパドルシフトをONにする事で、エンジンブレーキのように使用できる以外にも、市街地でも1~2にする事で、DレンジではアクセルOFFで減速してしまうシチュエーションでもアクセルを踏み直すことなく走り抜ける事が可能となる。(感覚的には普通のATのNレンジに近い感覚←これは普通のAT車では絶対お勧めできる方法ではないが、機械的に繋がっていないEV走行ならでは。)
走行性能に関しては、大人3~4人の乗車でも、殆どのシチュエーションでエコモードで不満を感じる場面はない。登坂車線があるような場合や強力な加速を必要とする場合はノーマルモードで走れば、今では珍しいパワーハイブリッド。
エクステリアは、巷では不人気ということだが、それ程の違和感はなく個人的には悪くない。欲を言えばテールランプを最近の車のようにテールゲートまで伸ばしたり、もう少しデザインされると更に魅力的。
インテリアは、質実剛健といえば聞こえが良いが、400万オーバーの車としてはもう少し華やかさがあっても良いのかも。不満が出るのはナビ周りからメーター周りのカクカクしたゴツさでしょうね。とはいえ、この辺りは暫くすれば見慣れる気がします。定員は5名だが、大人4人の乗車では十分な広さで長距離移動も快適。ラゲッジスペースも必要十分。
ハンドリングは、高剛性なボディとバッテリーレイアウトの低重心に加え、車両運動統合制御システム『S-AWC(Super All Wheel Control)』で峠道でも車両の姿勢や挙動をコントロールしてくれるので、運転していて楽な上についついスポーティーな走りをしてしまう(^^ゞ
上記のような体験を踏まえ、アウトランダーPHEVは非常に魅力的な車でした。
個人的に購入するなら『G Navi Package』以上のモデル。
ロックフォードのオーディオシステムは絶対ではないが、純正OPのなかでは音質はかなり良いのでスピーカー交換などをしないのであれば一番上位モデルを選択します。とはいえ、ナビはサウンドナビに絶対換えますが(笑)
そして希望をあげるとしたらクリーンディーゼルでPHEVを出して欲しい!!
三菱は元々はディーゼルでも高い人気を誇っていたモデルを多数輩出していたのに、最近ではディーゼルというとマツダの印象・・・ぜひディーゼルを出せば、昔のパジェロファンなども含め多くのユーザーが見込めると思いますよ。
来年辺りにはRVRのPHEVも出るなんて噂もあるので、今後の三菱のPHEVには目が離せません。