前回、audison Prima8.9bitの導入について書き、一つだけ残念なことがあると最後に記しました。
それは、ケーブルのことです。
見積りの段階からStinger製のケーブルを使うことが記載されていて、その時何度も目を通したはずなのに全然気づかず、たぶん、いやきっとお値段ばかりみていたのでしょう(笑)
最近まったくオーディオに無縁な生活をしていたため、すっかり感覚も鈍っていました。
オーディオ関連のケーブルは、ここ20年ほどPCOCC(単結晶状高純度無酸素銅)が主役だったと思います。ところが2013年、市場の縮小から製造元の古河電工が生産停止を決定し業界そしてユーザーに激震が走りました…。
わたしのPCOCCとの出会いは学生時代と古く、自宅オーディオの硬質な音を変えたく秋葉原の電器店のお兄さんに相談したのがきっかけでした。そこで勧められたのがaudio-technicaのARTLINKシリーズで、PCOCCとOFCのハイブリッド仕様のバランスのいい音色が特徴の製品でした。
そのスピーカーケーブルに換えたとき、ケーブルだけでこんなにも音が変わるのか!と驚き、嬉しくなったことを今でも鮮明に覚えています。それ以来、PCOCCを早くから採用しコストパフォーマンスに優れたaudio-technicaの製品を長く愛用してきました。

※今も使用中のARTLINKシリーズ ラインケーブル
PCOCC消滅後、危惧されていた線材選択の後退に歯止めをかける救世主として、2014年にPC-Triple Cが登場し、現在採用メーカーと製品が増えている状況にあります。
そのPC-Triple Cは古河電工の子会社であるFCM㈱が開発・製造した、PCOCCとは構造のまったく異なる線材です。元々PCOCCは導体の単結晶化により導通性を上げることを目的としたものですが、PC-Triple Cには結晶粒界が存在します。銅線を同じ方向に弱い力で多くの回数叩く方式により(クルマ好きにお馴染みの「鍛造」です)、バラバラの結晶粒界を長手方向に連続して揃えることで、導通性向上につなげています。
これは同時に、PCOCCよりも高純度のOFCを使い製造されますが、結晶粒界の存在がかえって外部ノイズや振動を吸収する空間として作用し、ケーブルトータルで見た場合、シース(被覆)にそれほどナーバスにならなくて済むメリットもありコスト面で劣ることもないようです。

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① ②
↓

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③ ④

※(上)PCOCCケーブル:シースにチタンを配合するなどノイズ、振動対策が施されていて、径が太い
※(下)SAEC SPC-850:シリーズ中最も径が太いが、それでも上より細い
実際自宅のオーディオにSAEC製SPC-850をつなげて聴いた感想として、それまで使っていたPCOCCのケーブルと価格面で差があり単純比較はできないものの、音の出だしから明らかに違いがあり、中音の厚みと奥行きが大きく増したことは間違いありません。一般的にPCOCCはハイ上がりと言われますが、比べるとそれがよくわかります。特にチェロの音域におけるリアリティの向上が顕著と言えばわかりやすいでしょうか。
そして、話は戻り、audio-technicaは車載オーディオ用の製品も数多く製造・販売していて、調べてみるとなんと!カーオーディオ用スピーカーケーブルにPC-Triple Cを採用した製品があったのでした。もしかしたらaudio-technicaさん、ホームオーディオ用のケーブルより早く採用してませんか?
いったいPC-Triple Cのケーブルを接続していたら、わたしのD5の音場はどのようなものになったのか、すごく興味があります。あの時もう少しアンテナを高くしていればと思ってもあとの祭りです。でもこのためだけにまたお金をかけるのもバカバカしいと思いながら、またしばらくたったらデッドニングと一緒に頼んじゃうかも、と思う自分もいてチョット恐いです(笑)
最後に、すでに導入済みの方や、これから施工予定のみん友さん、PC-Triple Cが車にどんな空間をもたらすか教えてください。よろしくお願いします。
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Posted at
2016/11/05 20:52:33