
クラウンの再定義に挑んだ意欲作ですが、
非常に保守的で堅実な製品である事を日々実感しています。
今のトヨタブランドで鍛えられた主力装備を詰め込んで、
それはもう堅牢に組み立てられた保守本流Eセグメントセダンです。
セダンがモノコックシャシーを得たゼロクラウン以降、クラウンは高い加速性能と操作性などのスポーツカーの文脈でドライバーズカーとして構成されてきた一方、
超低燃費性能のプリウスや、
エスティマからアルファードで培われたハイトミニバンの、
快適な居住性で高い評価を得て市場を席巻してきた新しい文脈が、クラウンがずっと守ってきたベルベットな高級感とFRを配した堅牢性のパッケージを差し置いて、物凄いスピードで成長して凌駕してしまいました。
今回はプリウスやアルファードといった今のトヨタが支持される文脈の上にクラウンを乗せ直した製品という理解をしています。
まず運転した感想は、ドライバーズカーでは無いという感覚。
ハンドルは軽くてシートはふんわり。
シフトはHEVで進化した最新のびよーんとバネで戻るエレクトロシフトマチック。
エアコンはナノイー内蔵、ハンドルヒーターは標準。
本革らしいけどカサカサしてる新感覚のハンドルの感触。
フル液晶のセンターメーターには
スピードメーターより目立つエコジャッジメーター。
エンジンボタンを押せば憧れのロボットのコクピットの様に、シートが前に進んでハンドルが掴み易い位置に伸びてくる。
走り出せばスーッと滑らかに車重を全く感じさせない軽快な加速感。
走行中は40km/hだろうが100km/hだろうがスーッと水平に進むクルーズ感覚で速度感がない。
それでいて加速性能も車体剛性も限界を感じない高性能感。
県境の狭いヘアピンコーナーやブラインドコーナー含む険しい峠道では、ゆーらゆーらとワインディングをスキール音無く進む。
駐車場ではアラウンドビューモニターと四輪操舵DRSで、
200mm短いマークXより軽快に駐車出来てしまう軽やかな操作感と車幅感の掴みやすさ。
停車すればアナウンスされる今回の燃費20km/L!
スポーツカーのロジックでエンジン車を乗り継いできた私にとって隔世の感です。
25年前に生まれたエコカーが、
鍛え上げられて洗練されて、メインストリームを奪取しました。
よく見れば、クラウンを構成する技術は実績のある枯れた物ばかり。
THS2は登場した2003年から数えて19年目(2022年発売)
エンジンは2017年に登場したA25A-FXSで
カムリ、レクサスES・NX350h・NX450h+、RAV4、ハリアー
アルファード・ベルファイア
搭載実績充分過ぎる2.5L NAダイナミックフォースエンジン。
TNGAプラットフォームTNGA-K
フロントがFFパッケージでサスペンションはストラット
リアはダブルウィッシュボーンをマルチリンクに変更して新開発
リアだけ新開発ですが既存の組み合わせですので、
やはり信頼と実績です。
更に先進安全機能トヨタセーフティセンスは、ハンドルにもブレーキにも介入します。信号も見ています。高速道路でのレーダークルーズは、フロントに引っ張られて牽引されている様な感覚を覚えます。自動運転が目前まで来ている事を実感します。
FFベースの4WDで、4WDの欠点である燃費の悪さをE-Fourというモーターと電子制御で克服したパッケージで発売されたクラウンは非常に魅力的でした。
実用車としての性能と、HEVの枯れた技術の耐久性、容易なメンテナンス性を求めた選択がクラウンになりました。