Denso technical reviewによると、ブレーキングによる不安感はGの絶対値ではなく、躍度の絶対値にある(不安感と安心感を生じさせる境界は 3G/sec から 4G/sec の間とのこと)。「Motor Fan illustrated Vol.128 Gの真実」でも躍度がテーマとなっている。G変化の管理を意識した運転を心掛けたいものだ。
1. 減速度の大きさにより安心感と不安感が発生する.
2. 減速度が大きい場合と小さい場合とで比較すると,減速度が小さい場合の方が小さい減速度で不安を感じる割合が大きい.
3. 初期スピードが大きいほど,不安を感じ始める減速度は大きい.
4. 新たに導入した最大減速度をブレーキを掛け始めた時間から最大減速度に達するまでの時間で割った値,すなわち初期加加速度により不安を感じる値と安心を感じる値を分離できる.
また,Fig. 5(b) は,Sub5 の初期速度 30 km/h,減速度 0.175 [G] の時の減速度の時間変化を示す.この時のフィーリングレベルは -2 つまり,不安を感じたと回答している.
Fig. 2(a),Fig. 2(b),Fig. 2(c) に,それぞれ初期速度30 km/h,50 km/h,70 km/h の時の 10 名の被験者のフィーリングレベルの結果を示す.フィーリングレベルは,減速度の増加に伴い不安を感じる割合が多くなっていることがわかる.例えば,初期速度 30km/h の時には,0.125G 以下,もしくは,0.2G 以上の時には,安心感もしくは不安感の指標を申告した被験者が多数に及び,それらの間では混在していることが分かる.
Fig. 4 に,近似直線のフィーリングレベルがゼロの時の値,つまり,被験者が安心と感じる境界を示す.初期速度が大きいときには大きい減速度まで安心感を保っていることが分かる.つまり,初期速度が大きい場合には,強い減速度をかけたとしても,ドライバは不安を感じることは少ないと言える.
田中裕章, et al. "自動車の制動時の安心感に関する研究 (特集 自動運転を支える技術)--(システム技術)."
Denso technical review 21 (2016): 30-36.
https://www.denso.com/jp/ja/innovation/technology/dtr/v21/paper-01.pdf
Posted at 2017/09/16 13:47:27 | |
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