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時に西暦２１９９年。
謎の星ガミラスの攻撃により、今や地球は滅亡の危機に瀕していた。
放射能による地球の最後は、あと１年を残すのみであった。
一方、ガミラス星と奇妙な双子星であるイスカンダルの女王スターシャは、
宇宙の平和と幸福を願い、地球に放射能除去装置、コスモクリーナーを渡すというメッセージを送ってよこした。
全人類の希望を一身に背負い、地球最後の宇宙戦艦ヤマトは、一路イスカンダルへ向け、飛び立ったのである。

敵の魔の手を振り払い、冥王星にあるガミラス前線基地を壊滅させたヤマトは、
今や太陽系に別れを告げ銀河の大海原にその進路をとったのである。


「ヤマトへ、ヤマトへ。こちら地球防衛軍司令部。緊急連絡有り。沖田艦長どうぞ」
「こちらヤマト、了解。サイクル００３に修正するぞ」

地球からの交信は途切れがちだ。

「沖田艦長、沖田艦長、地球から緊急連絡です。おいで下さい」

安定した状態で交信するために、相原らの通信担当が気ぜわしげに動いている。

「このサイクルでキープして下さい。
　遠方のため大変周波数が合わせにくくなっています。
　１回に５分です。それ以上は無理かと思います」

第一艦橋に降りてきた沖田が静かに言った。

「大パネルへ切り替えろ」

地球防衛司令部の藤堂平九郎司令長官が、沖田の正面にある大パネルに映し出された。

「沖田君、ずいぶん遠くまで行ったな。どうかね、ヤマトは」
「ヤマトは健在です。しかし長官、通信はこれが最後で、これからは途絶えることになると思います」
「う～ん、そこでだ。最後に地球のことをもう一度知らせようと思う」

長官の声は沈んでいる。

「地球は今、絶望の縁にいる。一片の望みを君たちに託している。これを見てほしい」

そこにはかつての美しい地球とは思えない、赤土の大地が覆う荒野の映像があった。

「地上に生き残るものは無に等しい。その汚染は徐々に地下都市にも波及しつつある。一部でも混乱が起こっている。
　絶えず、来たるべき最後の恐怖におののいている人々が、我々に救いの道を求めてやってくる」

地下都市の様子も、放射能に徐々に汚染されているのがわかる。

「しかしヤマトが遠くなるにつれ、人々はヤマトに不安を抱き始めてきた。
　人々はヤマトの帰還の可能性だけを話し合い、その余りにも困難な旅に絶望しつつある。
　沖田君、ヤマトのことが知りたい。ヤマトのすべてが・・・」

映像が途絶えた。

「出力調整のため、５分ほどの猶予を下さい」

立ち上がって大パネルを見ていた森雪が乗組員の考えを代弁するように言った。

「ヤマトは必ず帰るわ、必ず・・・」

沖田が続けた。

「そうだ、それをみんなの口から伝えよう。乗組員諸君の家族へ、諸君自身で伝えるんだ」