雨があがってホォ~ッとした。もし止まなかったら・・・しばし一人砂場でお手製の着せ替え人形で遊ぶ。ドレスの生地は三着とも雑誌の切り抜きだがRisaのイマジネーションにかざして見るとミスユニバースの美女がまとう極彩色にきらめくドレスになる。勿論ドレスを纏うのはRisa本人である。それでもお腹のベルじゃなくランチタイム終了のベルが早く鳴らないかなぁ~とも思う・・・。食欲を猛烈に刺激する香りをイマジネーションで噴き飛ばし、はしゃぐクラスメートたちの声が一段落するのを待っつ。ミス・ユニバースのRisaはランチは食べない。毎朝4:00から6:30まで働いている。市場での仕事は気に入っている。魚を洗ったり、牡蠣をむいたり、井戸でバケツに水を汲み市場の床を流し洗う仕事以外は・・・。臭いのや様々な食材の切れ端がドロドロに散乱しているのは我慢できるけれど、天秤棒で運ぶ二つのバケツに水を汲んで雑踏の中を100mも10回は運ばなければならない。様々な人たちで込み合う市場の人ごみの中を運ぶのでなければ・・・渾身の力でポンプを引き下げて汲んだ水が半分以上もこぼれなければ・・・。転ぶ時だってある・・・怒鳴られる時だってある・・・でも一番困るのは転んだ時にTシャツやショートパンツが破れてしまうことだ。洗って洗ってどの生地も薄く繊細になっているのだから・・・。市場には様々な音楽が流れているし運のいい日には様々な食べ物が貰えたり、届けようにも届けられない裸のお札が落ちていたりする。いつか教会の前で蝋燭売りのお婆ちゃんの手伝いをした時に、持ち主を探せない落ちてたお金”の処遇を恐る恐る聞いたことがある。すると「神様がRisaに下さったのだよ」と話してくれた。それからは、拾った場所に一番近いお店のセニョールに渡すのをやめた。毎日Risaに、その日の仕事を言いつけてくれたセニョールかセニョリータが、もし朝食をご馳走してくれたなら、帰ってからの自分の朝ごはんを4人の小さな怪獣たちに分けて食べさせてやる事が出来るし、それが運が良ければ日曜日の夜にだけ食べれるかも知れない“肉”のおかずだったなら食べる素振りをしてそっと持ち帰ることだって出来る。そんな日のRisaの朝食の一番のおかずは4人のチビたちの笑顔だし、自分が食べれなくたっていつも傍にいると信じているお母さんやお父さんが褒めてくれる気がして誇らしくさえある。「食べ物が無い日は花をつまんで水を飲むとお腹がいっぱいになるんだよ」って教えてくれた。そして今日もRisaは笑ってる。・・・・・・・To be continued.