
月曜からの天気は、春のそれらしく気まぐれらしい。
オープンカーフリークにとって『天空神の聖断』はガソリンの価格以上に精神に影響を与える。
金曜の夕方の釈放まで、ため息を吐きながら何回カレンダーを確認するだろうか。
やっと迎えた安息日の朝には、祈るような気持ちでカーテンを開ける。まさに神の審判の日の心境・・・。
この聖断にあたっては、地位・名声・財力・ルックス・話術・ファッションセンス・・・もネオン世界の様には通用しない。無力である。聖断なのだ。
ベランダから街を見下ろす。雑多なストリートの灰色にアクセントをあしらったかのように、街並に『桜リボンのストライプ』気のせいかもしれないが吹き抜ける風も甘い香りが溶け込んでるようだ。
急き立てられるような衝動にかられ、クローゼットの戸を開ける。
機密室を持たないレシプロ時代のパイロットほどではないけれど、オープンカー乗りにはレザージャケットがいる。あまり会いたくない砂利トラやスタットレスタイヤからの速射砲で、運悪く出した腕への「名誉の負傷」からも守ってくれる。
気温差の激しい高原のワインディングロードでも必須アイテムだと帰依信仰している所以だ。
今日は一枚300円のHanesTシャツに、8年着てやっと体に馴染んだAvirexのフルレザースタジャンにする。バックのUSAのロゴ以外は気に入っている。
メタボリックの体型にはお世辞にも似合うとは言えないのだが、好きなものは仕方がない。
いつものようにB6を暖気する。異音なし。満タン。妻も搭乗。
ピンクのストライプ沿いに走ろうとゲートをでるが・・・思いのほか車が多い。
確実にサンディードライバーも繰り出している。
急にNA自慢のセカンドのフィールが楽しめる路を探して、ピンクのストライプから逃走する。
途中で目を奪われたのはやはり桜。植えられた華やかな桜並木ではなく、以外にもまだ緑さえない灰色の山肌に「ぽつん」と咲く一人ぼっちの桜。近づくほどに美しく華麗な自生の桜だろう。
きっとその姿を愛でて花見をしに尋ねる人もいないだろうに・・・。
快速のロードスターに手を振ってくれたあのときの少女のようだ・・・。
いつしかロードスターは裏磐梯へ快走する。
五色沼周辺の道端には灰色ながらまだ光を反射して残雪が座っている。冬将軍の命令に従い最後まで寒風の橋頭堡を身をもって守っているかのようだ。
それにしても『美くしま』のワインディングロードとその景色は素晴らしい。
桜もまだ蕾を膨らませながらも時を待っている状態だから、天敵の観光バスも、スイングしない乗用車にも遭遇しない。
大小多彩なログハウス・北欧風の洒落たレストラン・著名な避暑地のそれに見劣りしないリゾートホテルの数々・スコットランドの古城を彷彿させる博物館。
此処、裏磐梯リゾートのグレードを裏づけするかの様に世界に冠たる優良企業の保養施設の数々。
白のベントレーがしなやかにはしる。レンジローバーがクルーザーをリフティングして駆けてゆく。シルバーのZ350のロードスター。キャンピングカーを並べた
コテージ。オフロードバイクを積んだピックアップトラック。
出会う光景が目にも楽しい。金満信奉者ではないが満ち足りた気分になってくる。
ロードスターは自慢のフットワークで『桧原湖』を周遊する。5台のドゥガティーが先導してくれる。彼我の鮮やかなコーナリングに惚れ惚れする。
暖冬とは言え山すそには残雪がしっかりと鎮座している。
桧原湖の観光ポートに滑り込む。
20台前後のシルビア編隊が駐車場を覆っていた。この桧原湖の周遊路は絶好のステージに違いない。さすがに居並ぶシルビアは鑑賞に値するマシンばかりだ。
カーボンボンネットで武装したシビックからはドライビングシューズを履いたドライバーが下りてくる。一戦の後なのだろうか・・・。
さあ、帰ろう・・・。どのコースで帰ろうか・・・。
観光キャッチコピーはまんざら経済導入ワードではないと実感する。
『美しま福島』とロードスターに敬意を表して・・・。
Posted at 2007/04/15 21:29:22 | |
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ロド☆ライフ | 日記