
俺はいろんな事を職業にしてきた。
解体屋兼部品屋のフロントマン、整備工場のメカニック、量販店のピットスタッフ…
そしてガソリンスタンドの店員だ。
GSは整備工場や量販店よりも、一般の人も行き来しやすい。旅の途中での緊急点検ってのも結構あったし、気軽に相談された。
俺は人1倍クルマを触ってきたし、走らせ、壊し、直してきた。
クルマが何を求めてるのか、それを伝えたかった。
でも…俺は先日、27歳を迎えた。
俺はもっと高みを目指したい。そう思うとガソスタを辞めるのに抵抗はなかった。

もう「エンジンオイル交換は何故必要なのか」みたいなレベルから話すのに疲れたのよ。
第一、俺はクルマが好きで仕方ないからメンテナンスに関して「高い」とか言っちゃうような人間とは口を聞きたくもないわけだ。
エンジンオイルなら、最低でもリッター当たり1000円が基本だと思ってる。
名ばかりで性能が伴ってないカ〇ト〇ールなんてお話にならないし。
俺は来月から、某自動車メーカー直営の指定整備工場に勤務する事なった。
それに伴い、クルマを車検に適合する「合法化」が必要になった。
そこでトップ画像の純正マフラーが必要になったわけだ。
それまで装着していた、自作のセンター出しデュアルの爆音マフラーは

もちろん車検には通らない。
このマフラーは自分の手で処分した。
…じゃあ、何時間もかけてマフラーを作り、走り回った事は「無駄」だったのか?
俺は、そうは思わない。
改めて純正マフラーにした事で何がメリットで、何がデメリットだったのかハッキリした。
マフラーを作る上でパイプ径や取り回しは考慮したつもりだったけど、やはり4000rpm以下の領域でのトルクは純正マフラーに敵わなかった。
逆に一番馬力が出る6000rpm付近のパンチは自作マフラーに軍配が上がる。
途方も無い時間と手間をかけて分かった事がそれだ。
無駄な事してると思うかい。
俺にとっては「何をしたらどうなるか」が少しでも知りたいのよ。
改造車に乗るならさ、やっぱりそういう経験の積み重ねって大事だと思うのよ。
じゃないと「大して速くなってないのにクルマの寿命を縮めてる」なんて事になりかねない。
俗に言う「改造してるつもりが改悪してる」ってやつ。
結構見るのよ?
燃費を良くしたくて0w-20等の低粘度オイルに変更して走り続けたらタペット音がデカくなってきて…とか。
逆に、サーキットを走るわけでもないのに無駄にミッションオイルの粘度を上げて「ミッションの寿命が伸びるから」なんて言っちゃってるような場合とかさ。
長くなったけど、何が言いたいかって言えばさ。
メリットにばかり目を向けて、デメリットから目を背けちゃいけないよって事。
クルマをいじる上で「メリットしかない」って事って、ほとんど無いんだ。
ボディに補強パーツを入れて足回りにピロを使い、シャープなハンドリングを得たとして。
ボディの思いもよらない箇所にクラックが入ったりするんだよ。
吸排気を一流メーカーのパーツで揃え、吹け上がりが早くなった!として。
実は全然クルマが前に進んでなかったりするんだよ。
俺は純正より太い205幅のタイヤを履いてるから轍にハンドルを取られやすいし、燃費だってあまり伸びないけど…そういうデメリットを差し置いてもコーナリングでの安定感を求めた。
ブレーキローターの寿命は確実に短くなるけど、クルマに命を預けてサーキットを走るために強力なブレーキパッドを投入した。
…みたいな。
俺のクルマってサーキットで走ってるわりに、ほとんどノーマルじゃねーかよっぽい思った人もいるんじゃないかな。
ちゃんと理由はあるんだよー、ホントに。
Posted at 2016/09/28 05:25:01 | |
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