前回のつづき
12月28日(月) 7日目
いつも通り朝4時に起床。
テントから顔を出してみると、満天とは言えないまでも、星空が見えています。
雪で真っ白ってこともないみたいです。
とりあえず、キャンプ場そばのミラドール(展望台)まで出かけようと思ったのですが、その前に携帯GPSで現在地のキャンプ場が地図で示されている場所とあっているかどうか確認してみました。
う~む、やはり。(わかりやすく加工してます)
昨日歩いているときに確認しておかしいと思ってました。地図で示されているキャンプ場(赤三角)と、現在私がいる場所(星)はかなりずれています。
展望台までは10分ぐらいで着くらしいので、日の出のタイミングにあわせるために、もう一眠りします。
そして5時前に起床。
本日の朝御飯。
プロテインを溶かした水とシリアル、そしてパン。
これでタンパク質、食物繊維、炭水化物を摂取したことにします。(あとマルチビタミン錠にアミノバイタル)
昨日、早朝に歩いたときに寒くて耳が痛かったので、今日は頭にタオルを巻いてから帽子を被ります。
さらにダウン上下を着込んで、その上にカッパまで来てから出発です。
もちろんザックには湯沸かしセット(ガスカートリッジも忘れずに)放り込んでおきます。(5:10)
まずはキャンプ場からさらに上へと登っていきます。
展望台って言うぐらいですから、それなりに登るのでしょう。
体が温まってきたので、昨日の反省を生かしてダウンはすぐに脱ぎます。
身軽なのでひょいひょいと登っていきます。
少し見晴らしの良い場所に出ました。
キャンプ場から歩いた時間で言うと、ここがミラドールのような気がするのですが、これまで読んだ旅行記ではミラドールと石にペイントしてあるらしいのと、その先(にも見晴らしポイントがある)は行けないようにロープか何かで塞いであるらしいので、ペイントも見つからないし、塞がれてもいないので、さらに先に進みます。
おお、雪渓越えですか!
踏み分け後があるので、ここであっているのでしょう。
さらに大きくて長い雪渓を登っていきます。
う~む、あそこの少し高くなっている場所がミラドールでしょうか?
雪渓にゴロタ石、かなり歩きにくい道ですし、すでにキャンプ場を出発してから30分経ってます。
完全に間違えているっぽいのですが、まぁいいやということで、その小高い場所を目指すことにします。
キャンプ場から登りはじめて35分、小高くて見晴らしの良い場所に到着しました。
まだまだ登れそうですが、切りがないのでここで朝日を待つことにします。
当然ですが、ここに来るまでに誰とも会っていませんし、ここに私以外の人間、もっと言えば動物の気配すらありません。
体が冷えきらないようにダウンを再び着込みます。
昨日、遠くに見えていた山々に大分近づいたんだという実感が沸く風景です。
さ~て、どんな日の出ショーを今日は見せてくれるのでしょうか?
そして、待つこと数分。
パイネグランデの前衛の山が赤く染まり始めました。(5:47)
レンズ雲にも光りが当たり始めています。
突然目の前のパイネグランデに光りが当たり始め、アルペングリューエンが始まりました。
これは綺麗!!
やはり、アルペングリューエンは雪で白くスクリーンを下ろしている山の方が綺麗に光り輝きますね。
と、言うわけで誰も居ないのでセルフタイマーで1枚。
背後の山々が輝くのはもう少し時間が経ってからなんでしょうね。
早朝はフランセス谷の奥までは光りが届かないようです。
(そういう意味では、ここに上がってくるのは晴れている日の夕方かがお勧めかもしれません)
本当はここで珈琲の一杯でもと思っていたのですが、見とれているうちにショーが終わってしまったので、一旦キャンプ場まで戻ることにします。
道らしき道は無いので、適当に下っていきますが、重要なところは登ってくるときに、しっかりポイントを記憶しながら登ってきたので、まったく迷うことなく下っていけます。
雪渓地帯も迂回できることがわかっていたので、下手に転ばないよう迂回して下ってしまいます。
雪渓直下の水が一番美味しいので、ここで水筒を満タンにしておきます。
そうそう、ここが怪しい場所なんですよ。
ちゃんとサインポールもありますし。
ん? あそこに何か書いてあるような・・・・
あ~、ちゃんとミラドールってペイントしてあった!
てっきり石にペイントと言うフレーズで、足元に転がっている石かと思っていたのですが、上を見るのをすっかり忘れていました。
でも、見逃してよかったです。
展望で言えば、間違いなく私が登った場所の方が抜群に良いからです。
では、スッキリしたところでキャンプ場まで戻りますか。
テントに到着すると、おもむろに食事袋を取り出します。
そう、カレーを食べるなら今だ! と思ったわけです。
お米はジップロックに入れた状態で持ってきてあったので、それに目分量で同じぐらいの水を入れます。
そのまま封をして、コッヘルに水を入れて一緒に20分煮炊きします。
20分経過したら取り出し、衣類で包んでさらに20分蒸らします。
アルファ米であれば半分の時間で出来上がりますが、アルファ米はどうも体が喜ばないんですよ。
蒸らして待っている間にフリーズドライの赤だし味噌汁を頂きます。
味噌は断然「赤派」なのですが、こういうとき愛知県出身なんだなぁって思います。
あと、タイミングを見てレトルトカレーを温めておきます。
ご飯の蒸らしが完了しました。
水が少し足りなかった気がしますが、気にしません。
カレーが出来上がりました!
スーパーで値段の高いレトルトをわざわざ買っておいたので、さすがに肉野菜がゴロゴロ入っていて美味しいです。
お米は多めに焚いてあるので、残った分にふりかけを混ぜてジップロックの上から握って「おにぎり」にしておきます。
食べ終わったら早速出発の準備をします。
本日はこんなコースを歩くつもりですが、昨日よりはコースタイムが少ないのと(展望台往復込みで10時間弱)、おいしいカレーライスでお腹一杯になったので大丈夫でしょう!
ちなみにWの真ん中の上の赤い○がキャンプ場(実際はもっと南)で、★印が最奥のミラドールなのですが、実際に私が登ったのは、この地図で赤丸で表示されているキャンプ場のあたりか、さらに南でしょう。
出発の準備をするためにテントから出ると、昨日の夜に少し話しをしたおじいさん二人が、風避け付きのバーベキュースペースで朝食をしている最中でした。
ちなみに風避けと言っても、そんなに立派なものではなくビーバーか何かが作った川のダムみたいに高さ1mぐらいまで木を積み上げたものです。
お祖父さんといろいろ情報交換をしたのですが、やはりサーキット(一周コース)は楽しいらしいです。そりゃぁそうでしょう。
特に峠(パソ)からの眺めは最高だとか。うらやまし~。
さて、テントを畳んでそろそろ出発するとしますか。
今回は安全な水を汲めるところで汲んでおこうということで、いつもより1.5リットル余分にザックに水を入れたので、せっかくカレーを食べてレトルト分軽くしたのに、昨日より重たくなっている気がします。(気がしますじゃなくて、確実に重たいです)
では、出発です。(8:45)
晴れている部分もあるのですが、全体的に雲が多い感じです。
よくよく考えてみると、出発前の天気予報では本日は雨だったはずなので、晴れ間が見えているだけでもラッキーです。
下り行程であることと、米をたらふく食べたおかげで、とりあえず順調に下っていきます。
昨日はこんな川を渡るための小さなアップダウンに苦しめられたなぁと思いながら通過していきます。
昨日のルックアウトポイントですが、本日はガスを被っていて見渡すことが出来ません。
綺麗な花が咲いていたので、たまには撮影を・・・
パイネグランデから続く岩山に太陽光が届いていて綺麗です。
ブリタニコキャンプ場を出発してから1時間ちょい、正面にノルデンスコールド湖が見えてきました。
右手にはパイネグランデの氷の岩壁が迫り、
左手にはパイネグランデが見上げる高さにそびえています。
そんな中を気分良く歩いていると、パイネグランデに張り付いているフランセス氷河の方から突然「ドーン!」という音が響いてきました。そちらを見ると、今まさに雪崩が起きた瞬間でした。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、写真中央の雪煙が上がっているところがそうです。
テレビや映画で見るのと、例え少し距離があっても生で見るのでは迫力が違います。
かなり感動しました。
最初、コケかと思っていたのですが、後で調べてみるとエアプランツの仲間なんですね。
ゴロタ石の河原のところまで下ってきました。
たぶん、朝にクエルノス小屋かパイネグランデロッジあたりを出発したであろうトレッカーとすれ違うようになってきました。
最後まで順調に下り、10時40分にイタリアーノキャンプ場に到着。
ん? 下りできっちり2時間かかってる。ペースを落としたってことはないのですが。
トイレを借りたり少し休憩したりして、11時にイタリアーノキャンプ場を出発。
昨日は渡らなかった橋でフランセス川の対岸に出ます。
そう言えば、イタリアーノキャンプ場の注意書きに「フランセス川で食器を洗わないでください」って書いてあったなぁ。
(知らない人は知らないですからね、山のお作法なんて)
フランセス川に降りて、顔を洗います。
しばらくは川沿いに下り、
やがて林間コースになります。
灌木(たまに刺が生えていてひっかきキズが出来る)地帯を通過したり、
湿地帯を通過したりしながら進んでいきます。
ブリタニコキャンプ場を出発してから約3時間、少し空腹を感じたのでふりかけおにぎりを半分程ぱくつきます。
(お米0.5合分をひとつにしているので、かなりボリュームがあります)
さて、この辺りから本格的にトレッカーの団体さんとすれ違うようになりました。
道幅があるわけではないので、単独行動の私が脇に寄って通過を待たなければなりません。
そして、ほぼ全員と
「オラ~」
と、挨拶。
イントネーションもまちまちで、「ラ」の音程を上げる人、下げる人、「オ」と「ラ」の音程を変えない人や、「ラ」でとめる人や「ラ~」と延ばす人(女性に多い)、「オラオラ」と繰り返す人(男性に多い)。
どう見てもあなたアルゼンチンの人じゃないでしょ(例えば東洋人)と「オラー」と挨拶するのも不思議な感じ。
なんとなくの結論として、男性は「ラ」の音程を下げ気味にして最後は伸ばさないのが渋い感じです。
あと、日本ではすれ違いには登り優先なんて暗黙のルールがあるのですが、こちらではそれは無いような気がします。
だいたいは登り下りに関係なく(平らな部分が多かったりもしますが)私が先に譲ってしまいますが、若い子はわりと、「それが当たり前」って顔で通りすぎて行きますし、御年配の方は私が譲るより先に譲ってくれることがあります。また、譲った場合はちゃんと丁寧なお礼を言ってくれます。(年の功ですかね)
あとは道を譲ってくれる時に首をちょっと傾けながら、手の甲を見せて手前にクイクイって引き寄せるジェスチャーで「行けよ」って合図してくれるおじさんも居ます。
とある中年男性が道を譲ってくれたので、「グラシャス」とお礼を言ったら、英語で一言「プレジャー」と返してくれたのが最高にかっこよかったです(笑)。
なので、こちらが道を譲って「センキュウ」と英語でお礼を言われた場合は、「プレジャー!」と英語で返すように決めました。
(しかし、言われた瞬間に「デナーダ」と返すか「プレジャー」と返すか決めなきゃ行けないので、これがまた難度高いわけです)
「オラオラ街道」はあまりにすれ違いが多いので、そんなことを考えながら湖の畔を南下していきます。
この辺りから急に風が冷たくなってきて、どこからか飛んで来たのか雨もパラつきます。
少し座って休憩しようかと思っていたのですが、この天気では休憩処ではありません。
黙々と次のチェックポイント(パイネグランデロッジ)に向けて歩き続けます。
ふと振返ると、フランセス谷とパイネの角から大分歩いてきたことがわかります。
快晴だったらさらに絶景だったでしょう。
ノルデンスコールド湖の色合いが見る角度が違うからか、全然違う色に見えるなぁと思っていたら、違う湖でした。(スコッツバーグス湖)
なんか秋田県の田沢湖を彷彿とさせるような色合いです。
上を見上げるとパイネグランデの方角から勢いよくガスが吹き上がっています。
やはりパイネの方は雨までは降らないものの、雲の多い天気ですね。
スコッツバーグス湖から離れていくあたりで陽がさしてきました。
すると今度は急激に気温が上がってきて暑くなります。
なんともまぁ、忙しい話です。
せっかく暖かくなってきたので、大きな石の上に腰をかけて休んでいると、バカっ速なペースで若い西洋人の女の子が歩いてきました。
何か違和感を感じでよく見ると、彼女は前後にザックをかついでます。
どういうことかと言いますと、後ろに巨大なザックを背負いつつ、体の前にも小型のザックをつけているのです。そして、本人はザックのショルダーベルトに付けたiPodから流れる音楽をイヤホンで聞きながら、すごい勢いで目の前を通過していきました。
20歳前後なんでしょうかね? 日本との分化の違いを感じます。
(しかも、この後男女関係なくこんなスタイルの若者を数名みかけました)
、
さて、パイネグランデの方からガスが吹き上がってますし、そろそろ行くとしますか。
湖から離れてしばらく進むと、小さな丘を越えるようです。
丘を越えたらパイネの角が見られなくなっちゃうかなと思い、振返って記念撮影。
(小さくトレッカーが写っているので、大きさの程が伝わるかと)
丘を越えたところで、次の湖が見えてきました。
一昨日レンタカーで対岸を走ったペオエ湖(Lago Pehoe)です。
そして、あのペホエ湖のほとりに次の目的地のパイネグランデロッジがあります。
もう一息です。
本当に綺麗なエメラルドグリーンです。
そして、ついにパイネグランデの小屋が見えてきました。(写真右に小さく)
ペオエ湖とのコントラストが綺麗だったので撮影。
珍しくキク科の植物がたくさん咲いていて、ちょっとした花畑みたいになってます。
ようやく近くに見えてきました。
手前の小屋、地図にあった公園管理人の小屋です。(14:10)
コースタイムが2時間~2.5時間の所を3時間以上かかってしまいましたが、これは明らかにすれ違い待ちのロスが大きかったと思います。
入り口のところに天気予報がホワイトボードに書かれていたので、早速チェックします。
とりあえず今日は曇りと雨、明日明後日は天気がまぁまぁで31日が曇り雨、で、なぜか12月1日に戻って(1月1日の間違いでしょう)まぁまぁの天気、と。
う~ん、パイネにしてはけっこうツイてるんじゃないでしょうか。
31日は休憩日みたいにして使えば問題ないし。
天気予報チェックついでに中に入って管理事務所のスタッフの方に、ガソリンがどこで売っているか確認してみました。
すると、ホステリア・ラス・トレスの受付でも言われた反対側のホテルか国境の街(セロカスティージョ、私が売っている人を見つけられなかったところ)との返事。
う~む、困ったなぁ。
ひとまずロッジで腹ごしらえをすることにします。
レストランに行き、若い女性スタッフに何か食べる物はないか尋ねると、彼女は英語がかなり苦手な様子で、何かをこちらに伝えようとしてくれるのですが、さっぱりわかりません。
どうしたもんかと思っていると、彼女はお客さんの西洋人のおばさんに話しかけ、その西洋人のおばさんが「肉とチーズのバーガーサンドイッチがあるって言ってるわよ」って通訳してくれました。
というわけで、それを「ウーノ(1つ)」頼みます。あとジュースもつけてもらって5500ペソを支払います。(約1000円)
これ、お世辞抜きに美味しいです!!
全部食べられるような量でもなかったので、食べ残しはすべてウェストポーチに入れておいたチャック付きのビニール袋に入れて持ち帰ることにしました。
明日、ここまで戻ってきて目の前の桟橋から船に乗る可能性もあるので(この時点では決めていませんでした)、船のチケットの買い方(船の中で買えます)と出港時刻をフロントで確認しておきます。
ついでに、今一釈然としないガソリンを売っている場所の件もあわせて聞いてみます。
すると、「ホステリア・ラス・トレス」で手に入るよとの返事。
やはり、スタート地点のホテルで手に入るのです。
しかし、当のホステリア・ラス・トレスのフロントでは売ってないって言われたしなぁ。
う~む、聞く人によって言うことがまちまちで結局よくわかりません。
まぁ、ここで考えても仕方がないので先に進むことにします。
地図で見ると現在地は星印の場所。
てっきりこのままロッジの先に進むのかと思って歩き始めたら、なんか雰囲気が違います。
これは違うということはわかったのですが、肝心の正解ルートがどこにあるのかさっぱりわかりません。
10分ほどウロウロしてからロッジまで一旦もどり、玄関正面の看板を確認すると来た道を一旦戻るということがわかりました。(これは最初にチェックしておくべきでした)
でも、戻ったところで分岐はあったかなぁと思いつつ、公園管理人小屋の方へ戻ると、小屋の脇にありましたが。
小屋とロッジしか目に入っていなくてまったく気がついていませんでした。
では、気を取り直して本日宿泊予定のグレイキャンプ場を目指します。(15:00)
コースタイムは4時間になっているので、一応19時到着予定です。
最初はこんな谷を進んでいきます。
この辺りは花が多いんですね。
谷を越えて少し登っていきます。
登りきったところで現れるロスパトス湖。
小さな湖です。
こんなかわいらしい橋を越えていきます。
倒木の所に猛禽類の鳥が停まっていたので、まずは広角で保険で一枚撮影しておき、望遠レンズにつけかえようとしていたら、背後から何やらにぎやかな音が・・・・
なんだろうと振り向くと、おじさん二人組が歩いてきます。そのうちの一人が首からiPodとスピーカーをぶら下げ、デカイ音でロックを流しながら歩いて来るじゃないですか。
こりゃまずいということで、レンズ交換を急いだのですがちょうど付け終わったか付け終わらないかというタイミングで鳥は飛びだっていきました。
その直後、おじさん二人組が笑顔で「オラ~」と言いながら私の背後を通りすぎていきました。
もしかしたらひきつっていたかもしれない笑顔で挨拶した後、鳥がどこに飛んでいったか目で追いかけると、突然鳩ぐらいの鳥が飛び出してきて、この猛禽類(の方が大きい)を追いかけ回し始めました。
そして、最終的には猛禽類の鳥は二回り以上小さな鳥に追い払われる形で飛び去って行きました。
日本のカラスとトンビの関係に似てますね。
これはこれで面白い生態観察になりました。
この鳥、たぶん購入した地図の裏に掲載されている
チマンゴカラカラだと思います。
ハンターではなく腐肉を食べている辺り、小鳥に追いかけ回されるのも無理はないって感じです。
しばらく、こんな感じの道を進んでいきます。
パイネグランデロッジを出発してから1時間、横にグレイ湖が見えてきました。
樹林帯の中を抜けたり、
ちょっとした岩場を越えたり(こんな箇所はほとんどありません)、
パイネの山々を眺めたり、
グレイ湖を眺めたり、
ちょっとした花畑を愛でなが、ひたすら歩いていきます。
そして、出発してから1時間45分、丘を越えたところで、
巨大なグレイ氷河が目に飛び込んで来ました。
全長28kmあるらしいので、ここから見えているのは終端の一部だけなのでしょうが、それにしてもすごいスケールです。
少し進んだところにミラドール(見晴らし台)があったので、岩場を登ってみます。
お~、すっげ~!!
空の色が湖に落ちて、まさにグレイ(灰色)。
(名前の理由がそうかどうかはわかりませんが)
ここからしばらくはグレイ氷河を正面に見ながらの歩きが続きます。
見晴らしの良いところを歩いてきましたが、ここから下っていくようです。
樹林帯に入ってしまいました。
そして、地図に示されていたとおり、後半はグレイ湖に向かって降りていくようです。
グレイ湖の畔を歩くのかと思ったら、全然遠いですね。
しかもグレイ氷河はまったく見えません。
加えて雨までぱらついてきました。
時計で確認すると、コースタイム4時間だとすれば、あと30分ぐらいで到着のはずです。
パイネグランデロッジを出発してから3時間40分、何やら看板が見えてきました。
期待しながら近づいていくと、まさにグレイロッジとグレイキャンプ場の案内看板なのですが、まだ到着というわけではないようです。
脇道に入り、キャンプ場を目指します。
さらに脇道に入るとミラドールがあるみたいですが、今日は天気も良くないのでまっすぐキャンプ場を目指します。
先ほどの分岐から15分、3時間45分でグレイ小屋併設のグレイキャンプ場に到着しました。これで「W」コースを3日(実質2.5日)で歩き通したことになります。
まず、トイレを借りようとテントサイトをウロウロしていたら、若い男性に
「どうしたの?」
と、声をかけられました。
「あ、トイレを使わせてもらおうと思って」
と、答えると
「今日はテント泊? だったら、後で受付済ませてね」
どうやら男性はここのスタッフだったようです。
ひとまずトイレをお借りしてから受付を済まし、さっそくテントを張る場所を探します。
(1泊2500ペソ(450円))
テントはおおよそ10張りぐらいでしょうか。
グレイ湖の畔の一番良い場所はすでに埋まっていたので、ちょっと奥まった山も湖も両方見られる場所にテントを張ります。
下が砂地なので、テントの中の座り心地は抜群です。
あと、今日は風が吹いていないので、テントを張る方向も自由に決められます。
テントを張って写真を撮っていたら、30歳ぐらいの女性に声をかけられました。
「すごいテントね! 組み立てているところを見ていたけど、シンプルでとってもクール!」
テントを誉められたのはこれで2度目です。
たしかにこのテントは設営が楽で、すぐに組み上げられます。(日本製はどれもそうですし、これよりもっと設営を楽にすることにこだわった製品もありますが)
見たことがない人にはクールに見えるのでしょう。
そして、首からぶらさげているデジイチを指差し、「カメラ貸して」と、急に言われ、
わけもわからず、なぜかテントと記念撮影している私。
(しかも、いつもなら向こうを向くのですが、この時はそんなことを考える間もなく正面を向いて写りました)
もし、何か事故が起こってカメラだけが残ったら、この写真が最後の記録として残るのかなぁと、そんなことを考えながらカメラを受け取ります。
このテントはゴアテックスだからフライも基本的には必要ないし、設営や撤収が楽で軽い日本製のテントだと説明すると、大きくうなずいていました。
ひとまずテントに入って、パイネグランデロッジで買って残しておいたサンドイッチをグレイ湖に沈み行く夕陽を眺めながらパクつきます。
食べ終わって落ち着いたので、グレイ湖の畔に散歩に出かけます。
氷河のかけらが沢山流れて来ているので、小さめのやつを一つ拾ってみました。
気のせいでした。
全然小さくありませんし、激重です。
小さく割ってから、少し噛ってみました。
氷河の味、というか、氷の味がしました。
キャンプ場の裏手はこんな感じに山々がそびえています。(方角からしてパイネグランデの西にある山塊)
右下に私のテントが写っていますが、テントの小窓からこの山を見上げることが出来ます。
パイネにしては珍しくショウジョウバエが飛んでいますが、血を吸ったりするわけでは無いので、それほど気にはなりません。
しばらくテントから陽の当たる山々を見上げていたのですが、夕陽が山に当たる前に雲に隠れてしまうようだったので、夕飯の準備をすることにしました。
まずはレフヒオ(小屋)の方に顔を出します。
中に入ると、むちゃくちゃ暖房が効いていて、ポップミュージックがガンガン流れていて、若者がレストスペースに溢れ返っています。まるでパーティでもしているかのような光景です。
日本の山小屋とはえらい違いで、大自然のど真ん中に居ることを忘れてしまいそうになる空間です。(実際、ここはトレッキング慣れしていない人が「ツアー」でやってきて泊まる場所ですから、場違いなのは私の方です)
受付に行き、コーラを1本注文します。
スタッフの女性から「1本で1500ペソ、2本で2000ペソだけど本当に1本でいいの_?」と何度も確認を受けますが、そんなにコーラばかり飲むつもりはなかったので、1本だけ注文しました。
(後でよくよく考えたら、明日の分として注文しておくという手もありましたね)
次にスパゲティを作る準備に取りかかります。
キャンプ場の受付小屋の裏に水場があって、そこで水を汲みます。一応フィルターを通してはいるのでしょうけど、グレイ湖の水を利用しているらしく、少し白く濁った水が出てきます。
そこで水を汲んでいたら東洋人の女性(40歳ぐらい)に
「ライターかマッチを持っていませんか?」
と、声をかけられます。
どうしたのか事情を聞くと、今日がトレッキングの初日でレンタルのガスバーナーの火がつけられないのだとか。ついでにバーナーの使い方も一度説明を聞いたけど忘れちゃったので教えて欲しいとのこと。
お安い御用と引き受けて、いったん二人で一緒に私のテントまで行き、ザックからライターを取り出し、彼女が持ってきたバーナーを組み立ててカートリッジをセットし、ガス栓をひねってからライターで着火してみました。
これで火がつかなかったら相当かっちょわるいのですが、無事に火がつき内心では一安心。
今日がキャンプの最終日だったらライターはそのままあげてしまってもよかったのですが、まだ続くのでひとまずライターを貸して上げることにしました。
彼女がお礼を言って立ち去った後、私もお湯を沸かし(私のバーナーは何回かチャレンジすれば自力で着火できます)、スパゲティを茹でて、タラコスパの元をふりかけて、
グレイ湖の畔で頂きます。
雲の中に沈んでしまったようですが、こんな夕焼けも神秘的でいいですね! (21:30)
テントに戻ると、先ほどの東洋人の女性がライターを返しに来たところでした。
少し話を聞いてみると、香港から来た方で仕事を辞めて6か月間の休養期間を作ったのだとか。
女性一人で道具をレンタルしてパイネでキャンプなんて度胸がありますねぇ。
寝る前にトイレに行き、手を洗おうと水場に行くと、到着した時にテントを誉めてくれた女性と鉢合わせになりました。
彼女の話しも聞いてみたところ、イタリア人の方で今はケベック(カナダ)在住。こちらが日本人だと言うと、「知ってるわよ」との返事。そう言えばテントを誉められたときに、日本のテントだと説明したんでした。だいたいこういうとき、「何日旅行するの?
」と聞かれるのですが、この時もそんなことを聞かれて「2週間」と答えたところ「長いじゃない」と意外な返事が返ってきました。
日本人の休みが少ないこともご承知ってところでしょうか?
そんな会話をしていたら、水を汲んでいた彼女の蛇口の水流が急に弱くなり、最後には水が出なくなってしまいました。
私が使っていたところに移ると、こちらもかなり弱い勢いでちょろちょろ出る感じ。
もしかしたら、フィルターで濾すペースが追いつかずにタンクの水が枯渇しそうなのですかね?
こりゃぁ、今日はホットシャワーを浴びるのは辞めておいた方がよさそうです。
まぁ、どうせ明日はアルゼンチンのエルカラファテに戻る日ですから、どこかで浴びられますしね。
彼女と挨拶をしてテントに戻りました。
さて、明日はどうしましょう。
今日ちょっと心残りだったのは、本格的に雨に降られなかったものの、晴れた状態で景色を見ながら歩けなかったことです。
ここから船に乗って一気に戻るという手もあるのですが、明日は晴れるらしいので、できれば今日歩いた行程の後半部分を明日の午前中に歩いて、パイネグランデロッジの前から船に乗って、バスを乗り継いで駐車場に戻るというのが良さそうな気がします。
いずれにしろ、朝の天気を見て決めることにします。
そんなことを考えながら地図を眺めていたら、眠気が襲ってきたので、シュラフに潜り込みました。
おやすみなさい! (23:00)
つづく
0 1 2 出発・移動
3イグアス
4 5 6パイネまで移動
7 8 9 10パイネトレッキング
11 12 13パイネからエルカラファテ
14 15ブエノスアイレスへ
16 帰国