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イイね!
2017年09月29日

りも深いところに

りも深いところに もしもこの世におわしますなら、慈悲深い神々よ、意志の力もなければ、人間の抜け目なさがつくりだす薬物もない刻限に、わたしが深い眠りの亀裂に落ちこまずにすむようになさしめたまえ。死がありがたいものであるのは、二度ともどることはありえないからだが、夜の最下底の洞《うろ》から、知識を得て憔悴しきってもどった者は、もはや安息に恵まれることもない。かような是認されざる熱狂に動かされ、人間が分け入るべきではない神秘にとびこむとは、わたしは莫迦もいいところだった。愚者ないしは神と呼ぶべきか――わが唯一の友は、わたしを導き、わたしよりも先に行って、ついには恐怖のただなかに入りこんだが、それがわたしの運命になるやもしれない。
 思い返せば、わたしたちは鉄道の駅で出会い、わが友はあさましくも物見高い群衆に取り巻かれていた。意識を失い、痙攣《けいれん》のようなものを起こして、わずかばかりの黒衣に包まれた体を妙に硬直させていたのだった。そのとき四十に近い年齢だろうと思ったのは、青白くて頬のこけた顔に深い皺が刻みこまれていたからだが、その顔は楕円形をして実に端整なものであり、ふさふさした波打つ髪と、かつては漆黒であったこぶりな顎鬚《あごひげ》には、ちらほらと白いものがまじっていた。額はギリシアのペンデリコン山の大理石のように白く、その高さと幅はほとんど神の彫像を思わせるものだった。
 わたしは彫刻家の情熱を高ぶらせ、この男は古代ギリシアで造られたファウヌスの彫像であり、神殿の廃墟から掘り起こされて、どのようにしてか息苦しい現代に生き返らされたため、苛酷な時代の冷気と重圧を感じる羽目になりはてたのだと、そう自分にいい聞かせた。そして落ちくぼんだ炯々《けいけい》と輝く黒い大きな目が開いたとき、そのような目は通常の意識や現実を超えた世界――わたしが夢想のなかで慈しみながらむなしく探し求める世界――の威光や恐怖をつぶさにながめているにちがいないと見てとれたので、わたしの唯一の友――絶えて友人をもった試しのない者にとっての唯一の友――になってくれるはずだとわかった。そこで野次馬たちを追いはらってから、ぜひわたしの家に来て、計り知れない神秘を教え導いてほしいと告げると、ひとことも口にせずに同意してくれた。その後、わが友の声が音楽であることを知った――低いヴィオルと澄んだ天球の音楽だった。わたしたちはよく夜に話しこみ、昼間にはわが友のさまざまな表情を不滅のものにするべく、わたしは胸像に鑿《のみ》をふるったり、象牙に細密肖像を刻みこんだりしたものだ。
 わたしたちが研究したことについては、生きている人びとが想像するような世界のいかなるものともほとんど関係がないため、とうてい語ることなどできはしない。物質や時間や空間よりも深いところにあって、ある種の夢――普通の人間にはかなわぬとはいえ、想像力豊かな者の生涯に一、二度訪れる、夢を超越した稀れな夢――のなかでしかその存在を推測することもできない、模糊とした実体や意識の存する広大な慄然たる宇宙にかかわるものなのだ。われらの覚醒時の知識にある世界は、シャボン玉がピエロのパイプから生まれるように、かような宇宙から生みだされ、シャボン玉がピエロの気まぐれによって吸われるときに、その嘲弄《ちょうろう》する口もとにふれるようにしか、かような宇宙にふれることはない。学識ある者たちはほとんど推測することもなく、もっぱら無視している。賢人たちが夢を解釈して、神々に嗤《わら》われている。東洋人の目をもつ男が時間と空間は相対的なものだといって、皆に笑われた。しかし東洋人の目をもつその男でさえ、推測しているだけにすぎない。わ
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Posted at 2017/09/29 10:53:57

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