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2017年06月27日 イイね!

りこむことなく

りこむことなくけがなかったなら、狂人として監禁されないように、わたしとて見つけだしたり推測したりしたことをこうして記したりはしないだろう。もちろんさまざまなものが寄せ集まった彫刻の信じられようもない初期の部分――五芒星形の頭部をもつ生物の他の宇宙、數碼通寬頻他の銀河、他の惑星での生活をあらわした部分――は、その生物の途方もない神話だとたやすく解釈することもできるが、そうした部分にも、数学や天体物理学の最新の発見に不気味に似ている、記号や図表がふくまれているので、どう考えていいのやらまったくわけがわからないのだ。わたしが発表する写真を見て、ほかの人びとに判断してもらわなければならないだろう。
 当然ながら、わたしたちの目にした彫刻の一つとして、一貫した物語の断片以上のことを告げることはなかったし、わたしたちが正しい順序でその物語のさまざまな段階を目にしはじめたわけでもなかった。広びろとした部屋の一部は、装飾模様に関するかぎり、独立したものである一方、他の場合には、連続する年代記がいくつもの部屋や廊下にわたって繰広げられていた。地図や図表のなかで最もすぐれたものは、古代の地表の高さよりもまだ下の恐ろしい奈落の壁にあった――それは広さがおおよそ二百フィート平方、高さが六十フィートにおよぶ洞窟で、どうやら何らかのたぐいの教育の場であったようだ。さまざまな部屋や建築物に、おなじ題材のものが数多く、いやになるほど繰返されていたが、ある種の経験や、種族の歴史のある種の概要か段階が、装飾をほどこしたものや棲んでいたものに、ことのほか気にいられていたためだろう。もっとも、ときとしておなじ主題がそれぞれ装いをかえて表現されていることもあり、これは議論の余地ある点を解決したり、空白部を埋めたりするのに役立航空った。
 わたしにはいまでも不思議なのだが、わたしたちはごくわずかな時間に、よくもあれだけ多くのことを推測したものだと思う。もちろんわたしたちは、いまですらおおよその概略を得ているにしかすぎない――そしてその多くはあとで写真やスケッチを調べてからつきとめたものなのだ。ダンフォースが現在神経病におちいっている、その直接の原因になっているのも、こうした後の検討によるものかもしれない――こうした検討によって、甦った記憶と漠然とした印象とが、ダンフォースの感受性の強さと、その正体をわたしにさえうちあけようとしない、最後に一瞥したらしい恐怖とともに作用したのだろう。しかしどうしても検討しなければならなかったのだ。わたしたちはおよそ可能なかぎり数多くの情報をも、知性に訴える警告を発することはできないし、その警告を発することがどうあっても必要なのだから。混乱した時間と異界的な自然法則をともなって、あの未知の南極世界にいまなおのこって影響をおよぼすものは、これ以上の探検調査を、ぜがひとも思いとどまらせるようにしむけるものなのだ。
 
 彫刻であらわされた物語は、これまでに解読されたものが、いずれミスカトニック大学の公式な紀要に発表されることになっている。ここでは、漫然とした言質《げんち》をあたえないやりかたで、顕著な最重要点だけを簡単に記すことにしよう。神話であれ何であれ、彫刻が物語っているのは、五芒星形の頭部をもつ生物が、宇宙空間から數碼通月費、まだ生まれたばかりで生命の存在しない地球に到来したということだ――彼らの到来だけではなく、ある時期に、宇宙の開拓に乗りだした数多くの他の実体の到来も示されていた。彼らは大きな膜状の翼によって星間宇宙を飛ぶことができたらしい――このことは、同僚の好古家がかなりまえに話してくれた、不思議な丘の伝説を奇妙に確証する。彼らは大多数が海中に棲み、異様な都市を築きあげ、未知のエネルギー原理を用いる複雑な装置を手段にして、名状しがたい敵たちと恐るべき闘いを繰広げた。明らかに彼らの科学や工学の知識は、現代の人間をもはるかにしのいでいたが、必要に迫られなければ、その知識をさらに広範囲に徹底して利用することはなかった
Posted at 2017/06/27 11:55:45 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2017年06月13日 イイね!

みかためていたから

みかためていたからぬけの思いがけないものだった。わたしが一本の試験管から別の試験管に何かを注ぐかたわら、ウェストが淨水機、ガスのひかれていないこの建物で、ブンゼン・バーナーにかわるアルコール使用の小型発炎装置をまえにせわしく作業していたときのことだが、わたしたちが立ち去った闇につつまれる部屋から、いまだかつて聞いたこともない悪魔めいた身の毛もよだつ悲鳴が連続してほとばしったのだ。地獄そのものが開いて亡者たちの苦悶《くもん》が解き放たれたとしても、この混沌《こんとん》とした呪わしい音声ほど名状しがたいものではありえないだろう。間断なくつづく信じられない不快な音声のうちに、生命あるものの至高の恐怖と尋常ならざる絶望とがことごとく凝集していたからだ。人間であるはずはなく――人間にこんな音声が発せられるわけがない――ウェストとわたしは、つい先ほどおこなった実験のことや、それによって発見をなしたかもしれないことも失念して、おびえた動物のように一番近い窓にとびつき、試験管もランプもレトルトも押し倒し、田園の夜の星のちらばる深淵に、狂おしくとびだしたのだった。よろめく足でやみくもに街にむかっているあいだ、二人とも悲鳴をあげていたように思うが、街はずれに達したときには見かけだけの平静さは保っていた――酒びたりになってようやくふらふらと家路につく、酔いどれに見える程度には。
 わたしたちは別れることなくどうにかウェストの下宿にたどりつき、ガス灯をつけたまま夜明けまで声を潜めて話しあった。夜が明ける頃には調査のための理性的な考えや計画をたてることができ、すこしは気持もおちついたので、その日は終日眠るculturelle 香港ことができた――大学の講義はかえりみなかった。しかしその日の夕方、夕刊に掲載されたまったく関係のない二つの記事のおかげで、またしても眠ることなどできなくなってしまった。チャップマン農場の古い廃屋が不可解にも燃えあがり、見わけもつかぬ灰儘《かいじん》に帰してしまったというのは、倒れたランプのせいであると理解できた。もう一つの記事は、無縁墓地の新しい墓が踏鋤《ふみすき》も使わず無闇《むやみ》に手でかいたかのように、荒らされた形跡があるというものだった。わたしたちは念入りに土を踏、わけがわからず途方にくれてしまった。
 そしてその後十七年間というもの、ウェストが肩ごしにふりかえっては、気のせいか足音がするようだとこぼすことがよくあった。そのウェストもいまはもういない。
 十六年まえ、魔王イブリスの広間からとびだした有害な悪鬼たちのように、腸チフスがアーカムじゅうに蔓延《まんえん》した忌《いま》わしい夏のことは、生涯忘れることはないだろう。たいていの者はこの年を悪魔のような疫病によっておぼえているほどで、まさしく恐怖がクライスト・チャーチ墓地の墓穴に積みあげられた棺の上に、蝙蝠《こうもり》の翼のごとくたれこめていたのだが、わたしにとってはさらに大なる恐怖がある――ハーバート・ウェストが姿を消したいま、わたしだけが知っている恐怖だ。
 ウェストとわたしはミスカトニック大学医学部の夏期講習に研究科生として参加しており、わが友人は死者の蘇生に通じ植鬚る実験をつづけたために広く悪名をはせていた。科学の名のもとにおびただしい小動物を殺した後、異常な研究は懐疑的な学部長アラン・ホールシイ博士の命令によってうわべは中止させられてしまったが、ウェストは陰気な下宿である種の分析をひそかにつづけ、あの忘れられようもない恐ろしい一夜、無縁墓
Posted at 2017/06/13 12:17:39 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

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