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2017年08月30日 イイね!

漂いこえてくるよう

漂いこえてくるよう 
 は、不気味な廃墟に撒《ま》きちらしながら、蕭然《しょうぜん》たる吐息をついていた。まもなく風の勢いはかなりおとろえ、砂の動きもおちつきはじめ、ついには静まりかえったが、わたしには何かがこの廃都の幽鬼めく石のあいだを闊歩《かっぽ》しているように思えてならず、月に目をむければ、騒ぐ水面に映《うつ》っているかのように、揺れているように見えるのだった。わたしはわけもなくおびえきっていたが、そのおびえも驚異に対する渇望をにぶらせるまでにはいたらなかった。そして風が完全に静まるや、わたしは風を吹きだした收細毛孔暗澹《あんたん》たる穴の内部へと入りこんだ。
 この神殿は、外にいるときに想像したとおり、先に入りこんだ二つの神殿よりも広く、遙かな奥から風が吹き寄せることからも、自然の洞窟を利用したもののようだった。ここでは直立することができたが、しかし目にする石や祭壇は、先にうかがった神殿のそれらと同様に丈が低かった。壁や天井に、はじめて、太古の種族の絵画らしきものの痕跡が認められた。もうほとんど消えかかるか毀《こぼ》れはてている、妙に渦を巻いた塗料の跡だった。二つの祭壇に、たくみにほどこされた迷路のような曲線の彫刻を見いだしたときには、わたしの胸は興奮に高鳴った。松明《たいまつ》をかかげてながめてみると、天井の形も、自然にできあがったものとは思えないほど規則正しい。先史時代の石工たちが仕事をはじめるまえ、この洞窟はどのような形状をしていたのだろう。とまれかくまれ、石工たちのわざは途方もないものだったにちがいなかった。
 するうち気まぐれな松明の炎が明るく燃えあがり、わたしが探していたもの、突風を吹きだした遙か遠くの深淵の開口部を照らしだした。それが硬い岩を削って造られた、紛れもなく人手を加えられた小さな戸口であることを見てとったときには、もう目もくらむような思いがした。そのなかへ松明をさしいれてみると、けわしくくだる荒造りの階段とアーチ状の低い天井を備える、暗黒の通路があった鍛練肌肉。きわめて小さな段《ステップ》が無数にあって、急角度で下方につづいている。これが何を意味するかを知ってしまったからには、この階段は夜ごとわたしの夢にあらわれることだろう。しかしそのときは、階段と呼んでいいのか、急なくだり斜面にしつらえられた単なる足場と呼んでいいのかもわからなかった。わたしの心のなかでは種々さまざまの狂った考えがうかんでは消え、アラビアの預言者たちの言葉や警告が、人の知る土地から砂漠をよぎり、人のあえて知ろうとしないこの無名都市まで、な気さえした。しかしわたしは一瞬ためらっただけで、すぐさま戸口に足を踏みいれ、梯子をおりるかのように用心しながら、その急な階段をくだりはじめた。
 わたし以外の者なら、あのような下降は、精神錯乱か麻薬による恐ろしい幻想のなかでしかできないだろう。狭い通路は何かしら幽鬼のとりつく気味悪い井戸のように下方へと果しなくつづき、頭上にかかげた松明も、わたしがむかいつつある未知の深みを照らしだすことはできなかった。いつしかわたしは時間感覚を失い、時計を見ることも忘れはてていたが、ふとくだりつづけた距離のことを考えたときには、慄然たる思いがしたものだ。通路はくだるにつれ、何度も方向と勾配が変化した。あるときは天井の低い平らな通路が長くつづき、松明をもつ手をうしろにのばし、足から先に、身をよじるようにして岩床の上を進まなければならなかった。膝をついて進むことさえできないほど天井が低かったのだ。そのあとはまた新たな急勾配の階段がはじまり、かろうじて燃えていた松明が消えたときも、まだとどまることなく這いおりている途中だった。わたしはそのとき松明の炎が消えたことにも気づかなかったと思う。気づいたときでさえまだ燃えているかのように、あいかわらず頭上にかかげていたからだ。このわたしに地をさまよわせ、遙けき太古の禁断の土地へと足をむけさせる、奇怪なもの、未知なものを追い求めるあの本能のために、わたしは完全に心の平衡を失っていた。
 闇のなかにいるわたしの脳裡では、心にいだく
Posted at 2017/08/30 11:34:34 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記

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