※北宇治高校吹奏楽部 ソロパート争いについて再考する(香織視点)
https://minkara.carview.co.jp/userid/2700448/blog/44267028/
トランペットソロパートを争う2人の、
簡単なプロフィールをおさらいしておきます。
1年生 高坂 麗奈(こうさか れいな)

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
誕生日:5月15日 おうし座
身長:158cm
血液型:O型
好きな色:青・白
趣味:映画鑑賞
好きなもの:パスタ、柑橘系のジュース
嫌いなもの:納豆
3年生 中世古 香織(なかせこ かおり)

©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
誕生日:9月3日 おとめ座
身長:166cm
血液型:A型
好きな色:白
趣味:お菓子作り・あすかとカフェ巡り
特技:茶道と華道を年少から習っている
好きなもの:スイーツ・お芋
嫌いなもの:虫・人混み
麗奈の人となりを簡単に記しておきます。
(いずれ麗奈の事は詳しく纏めるつもりです)
麗奈は主人公・久美子と同級です。
黒髪ロングに大きな瞳を持ちスタイルも良く、進学クラスに在籍し成績も優秀で香織やあすかと並ぶ美人です。
香織先輩のような誰にでも好かれるような柔らかい雰囲気とは逆で、周囲に流されるような事はせず、自分に厳しく、自身のルールを守るというストイックな性格をしています。そういう事で気軽には近寄りがたい雰囲気を出しています。
しかし、気を許した相手にだけは、年齢相応の本当の自分を見せたりします。麗奈が顧問の滝先生の事を「ライクじゃないよ、ラブ」と久美子に告白した時も、「麗奈って、かわいいな~」と冷やかされたりしています。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
「響け!ユーフォニアム」という物語において、麗奈と久美子の絆はとても重要な要素を含んでいます。麗奈は主人公に匹敵するレベルの位置付けで、元々原作者の構想段階で麗奈を主役と考えていた時期もあったくらいです。久美子と麗奈は物語の両輪であると言っても過言では無いです。
麗奈の父はプロのトランぺッターです。自宅に防音室があるような環境で、幼少期から父親の演奏指導の下で育った事もあって、極めて高い演奏技術を有しています。
麗奈自身のストイックな性格も相まって、「特別になりたい」と一切の妥協を許さない姿勢で取り組んできています。コンクールで他人に負ける事があっても、それを他人のせいにしたりせず、「自分の努力が足りなかった」と、更に練習に打ち込みます。
麗奈は、周りの人間から孤立してでも「特別になりたい」と強く思い、自分に厳しく日々鍛錬を繰り返しています。
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そんな1年生の麗奈が、パートリーダーでもある3年生の香織先輩とソロパートを争う事になります。
香織先輩は去年、部員の大量退部事件でゴタゴタしていた吹奏楽部内の問題を収めるべく走り回った功労者でもあり、その事は部員達皆が知っています。
特にパート直属の後輩である2年生・吉川優子は香織先輩のそういう姿勢に惚れ、全面的に支持しています。
前顧問は産休になり、新顧問・滝昇(たき のぼる)先生が就任します。
これまで学年順でソロパートを決めていた北宇治吹奏楽部ですが、
今年から実力主義の方針に変わり、オーディションを実施しコンクールメンバーを決定する事になりました。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
揉め事が無いように自分より他人を優先させてきた香織先輩は、3年生最後のコンクールで「自分が吹きたいフレーズを思いっきり吹きたい、自分の為にソロをやりたい」と思っていました。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
オーディションが実施され、麗奈がソロパートを担当する事に決定されました。
しかし審査が密室で行われた為、部員達の間でオーディションの結果に疑念が生じる事態となっていました。
部の雰囲気が悪くなり、メンバーの集中力も落ちて練習に身が入らない状態が続きました。
顧問の滝先生にも決定打が無く時は過ぎていましたが、副顧問の美知恵先生の「良い音は良いと言わざるを得ない、音楽は嘘をつかない」という助言を得て、再度、公開形式でオーディションを行い、部員全員でソロを決定する という事を思いつきます。
麗奈と香織先輩のソロパート争いは、単純に個人vs個人の演奏技術比べという要素を超え、部内のバックグラウンドを含んだ、まさに麗奈vs部員全員 と言ってもいい構図になっていました。
ただ、演奏技術は麗奈の方がはるかに上手だという事を、香織先輩や優子は分かっていました。それに加え、今年の北宇治は”全国大会出場”という目標に向かって、全員が真剣に取り組んでいたという状況もありました。
それらを複合的に理解した上ですが、麗奈は先輩である優子から「それでもソロパートを香織先輩に譲って欲しい」と頭を下げられてしまいます。
※優子は香織先輩の事となると、理性を超えて盲目的になってしまう所があります。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
麗奈は優子先輩から、香織先輩が自身を犠牲にしてでも部を守ろうとした事や、優子自身が香織先輩を慕っている理由を打ち明けられ、麗奈自身の「特別になりたい」と孤高を貫いてきた意思に揺らぎが生じます。
再オーディションの直前、麗奈は親友の久美子と話をします。
麗奈は優子の言葉で、迷いが生じていました。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
しかし、久美子から
「麗奈は特別になるんでしょ 麗奈は誰とも違う 人に流されちゃダメだよ」
と訴えられます。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
麗奈 「でも今 私が勝ったら悪者になる」
久美子「いいよ その時は私も悪者になるから」
久美子「ソロは麗奈が吹くべきだって言う 言ってやる!!」
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
ここからの麗奈と久美子のやり取りが、
二人の絆がより強く結びついて行く事に繋がっています。
麗奈 「そばにいてくれる?」
久美子「うん」
麗奈 「裏切らない?」
久美子「もしも裏切ったら 殺していい」
麗奈 「本気で殺すよ」
久美子「麗奈ならしかねないもん それが分かった上で言ってる」
久美子「だってこれは 愛の告白だから」
このシーンは、大吉山で麗奈が久美子へ”愛の告白”(=生き方において、お互いを高めあう、真の友になる)をした事を受けての、久美子から麗奈への”愛の告白”(=返事)であると思います。
麗奈は”久美子の本気”を確認します。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
久美子の本気を受けて自信を取り戻した麗奈は、迷いが晴れ、
自身の道を突き進む事を決心します。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
いよいよ再オーディションが始まります。
麗奈は自分が持つ全ての力を演奏に込めます。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
ホールの後ろまで突き抜ける音色は、
部員達を認めさせるのに十分過ぎるものでした。
良い音は、良いと言わざるを得ない―ー
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
両者の演奏後、ソロパート決定の投票が行われます。
香織先輩には優子と晴香の2票が入りました。
麗奈には、誓った久美子と、同じく行動を共にする葉月の2票が入ります。
同点となりました。
滝先生は香織先輩に「あなたがソロを吹きますか?」と優しく問いかけます。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
麗奈は、「あぁ…先輩がソロになるんだ」と諦めかけます。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
しかし、香織は
「吹かないです 吹けないです ソロは高坂さんが吹くべきだと思います」
と、晴れやかな顔で麗奈に視線をおくります。
この瞬間、香織先輩から麗奈へ全てを託されました。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
滝先生「高坂さん。中世古さんではなく、あなたがソロを吹く。いいですか?」
麗奈 「ハイっ!」
香織先輩から麗奈へ託された想いと優子の想いを噛みしめ、更なる鍛錬を積む事を麗奈は改めて決意します。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
この再オーディション後、麗奈の音色が大きく変わります。
これまでのストイックな「特別になりたい」という突き進むような破壊力ある音に、香織のトランペットに対する想いや先輩の託す想いと、香織の”他人を思い遣るやさしさ”が音色に加わります。
(麗奈の演奏を担当した”中の人”の表現力を称えてください)
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その後、関西大会を経て全国大会へ進んだ北宇治高校吹奏楽部ですが、銅賞におわってしまいました。
この時、麗奈は香織先輩に謝罪します。当初の”全国大会出場”という目標は達成したものの、再オーディションの時に託された想いの全てを自身が出し切れていなかったという思いから出た謝罪であったと思います。ストイックな麗奈らしい姿勢と思います。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
香織先輩は、
「高坂さんが謝ることじゃない これが私たちの実力だったんだよ」
と返します。
その様子を横で見ていた優子は 「高坂、来年 金賞取るよ」 と、
このままでは終われない、共に戦おう!と決意します。
ここから新たな物語がスタートします。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
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再オーディションを経て新しく成長した麗奈の音色の変化を是非、本編で聴き比べて確認して頂きたいと思います。
※当ブログで引用している画像・その他データの権利は 武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会 に帰属します。
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Posted at
2020/08/22 16:53:45