【注意】
2月13日発売の小説「飛び立つ君の背を見上げる」を読んだ感想を書きます。
ネタバレの要素を含みますので、
未読の方はブラウザバックしてください。
以降の閲覧は自己責任です。
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原作小説「響け!ユーフォニアム」シリーズの最新刊「飛び立つ君の背を見上げる」が2月13日に発売になりました。
私は本と電子書籍の両方を購入しました。
本はまだ手元に届いていませんが、電子書籍は閲覧できる状況になりましたので、さっそく最後まで読みました。その最初の感想を書きたいと思います。
物語は、北宇治高校吹奏楽部の副部長を務めた3年・中川夏紀が、関西大会を終え、吹奏楽部を引退する所から始まります。
「私は今日、吹奏楽部を引退した」
私はアニメから「響け!ユーフォニアム」という作品に入ったので、基本的にアニメを主軸に捉えています。アニメに無いストーリーや設定は原作から拾うようにしています。
アニメ自体は京都アニメーションが原作者・武田綾乃さんと打ち合わせをして制作していますので、アニメと原作で大きく道筋を外れるような事は無いですが、細部に関しては設定など矛盾点が出てきてしまう事もあります。その場合は、私はアニメを優先させてこの物語を解釈しています。
今回、関西大会金賞を受賞しましたがダメ金で全国行きを逃しました。北宇治の夏はここで終わったのですが、関西大会後に夏紀が吹部を引退し卒業式を迎えた時までの期間が描かれています。
劇場版「誓いのフィナーレ」では描かれていない、夏紀達南中カルテットの4人がその後どうなったのか?という点について記述されていますので、欠けていた部分が埋まった形となります。
夏紀の回想という形で、中学の時の事から希美や優子と出会い、北宇治へ進学し吹奏楽部へ入部する所、そして希美達南中出身の子たちが3年生と対立し部活を辞めてしまった当時の事を、夏紀視点で描かれています。夏紀と希美の出会いについては、若干、アニメと違う箇所があるように思いますが、概ね、どちらも同じ道を辿っていきます。
今回、アニメからの逆輸入という形で小説に盛り込まれた要素もあります。
夏紀が所持するギターの機種や色などの設定がフィードバックされています。
夏紀がギターを始めた経緯や入手について明らかになりました(早速、以前私が書いたブログ記事に追記しました)。また、優子が楽器を始めた経緯についても語られており、こちらも優子の紹介記事を追記という形で書かなければいけなくなりました。
わざわざ吹奏楽の弱小であった北宇治高校へ、吹奏楽の強豪であった南中の人が進学した理由についても語られています。この辺りはアニメ(2期2~4話)辺りの話と若干のズレを感じますが、適当に補間する事で自分の中では解釈しようと思っています。
また、南中カルテット4人の、卒業後の進路についても語られています。
この点はアニメになっていませんので、原作通りの解釈を適用しようと思います。
物語全般を通して夏紀という人物の本質が描かれています。周りからの見られ方と、自身の自己分析に隔たりがあり、「周りは中川先輩は優しいと言うけれど、自分はちっとも優しくなんかない」という言い方をずっとしています。
自分を過小評価しすぎという点においてはみぞれと同じ属性のように思いますが、優子がそんな夏紀の心の支えになっていると思います。その逆も然りで、夏紀と優子の関係をあすか先輩が分析しています。
アニメの「自分達は、お互い合わないと思っている」という設定は表面上だけで、”裏の裏は表”という、自分達も実は心の奥底で相性が良いと思っている という演出になっています。この点については、アニメも同じ解釈をしなければいけなかった というのが本当なのかもしれませんので、今後はアニメでもそのように解釈しようと思います。(既に書いたブログ記事は、気付いた点は修正をかけていきます)。
夏紀から見た香織先輩の印象も小説に出て来ます。文字通り「マドンナ」であり神々しく直視出来ない(夏紀自身は、自分を悪と表現している)という印象を持っていたという事だったようです。確かに夏紀と香織先輩の絡みはアニメでも非常に少なかったように思いますが、そういった印象を持っていたことが原因だったようです。
アニメと若干の展開に違いはあるものの、夏紀は希美を庇い、優子はみぞれを庇うという形には変わりありません。夏紀は希美の退部を引き留めるどころか助長してしまった事を卒業する時まで引き摺っており、その時の自分をずっと許せないでいます。
「届けたいメロディ」開幕”プロヴァンスの風”の演奏シーンで希美のカットが入ります。その時、希美が思っていたセリフが今回の小説で、夏紀の言葉で語られています。
この辺りは、希美の紹介記事を書く予定にしていますので、その時に織り込もうと思います。
小説を読んでいてジーンとしてしまった話は、卒業式後の、久美子と夏紀の会話のシーンです。
自分的にも見たかったシーンであり、久美子の様子が目に浮かぶようです。
そしてずっと泣けなかった夏紀が、卒業式の翌日に家で一人になり、今まで打ち込んできた時間すべてが無くなったと実感し涙を流すのですが、このシーンは映像で見たいと思いました。
そんな夏紀を優子が励まします。夏紀と優子、お互いがお互いを尊敬し必要としているという事を再認識し物語は終わります。
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見たかったエピソードがたくさん詰め込まれていました。
この小説は、是非とも映像化して欲しいですね。
そしてラストシーンは、「部長と副部長が関西大会金賞の賞状を持ち並ぶ、卒業アルバムの写真」のカット、これで決まりでしょう。
※優子部長を支えた、優子を誇らしく想う夏紀副部長。これは「誓いのフィナーレ」で、優子部長を静かに見守る、トロフィーを持った夏紀 のシーンでも語られています。
©武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会
思いついたことを羅列しただけですが、1回最後まで読んだ現時点での感想でした。
この小説は繰り返し読みたいと思います。