
昨日のブログに図を追加して内容も後半に説明を追加しました。
念を押しておきますが,ここ数回の話はあくまでも概念的なものです。
初心者向けの説明と言ってもいいでしょう。
ここから枝葉を増やして知識を深めていってくださいね。
そしてぜひ僕にフィードバックをwww
昨日の続きから考えましょう。
主役は2ローターのロータリーと6気筒のレシプロです。
同じエンジン回転数なら・・・という話でした。
では,今度は回転数をどんどん上げていきましょう。
1000rpm・・・2000rpm・・・3000rpm・・・4000rpm・・・5000rpm・・・
まだまだ何も起こりませんね。
6000rpm・・・7000rpm・・・8000rpm・・・9000rpm・・・
まだまだイきましょうw
10000rpm・・・11000rpm・・・
さてそろそろ,きりのいいところで12000rpmにしましょうか。
この時,エンジンの回転は毎秒200回です。
点火回数は何回でしょう?
ロータリーは毎秒400回,レシプロは毎秒600回。
なんと!毎秒200回も差がありますね!
ということは,ロータリーエンジンはまだまだ余裕で回転を増やせる!
つまり,高回転まで回せるロータリーが有利!!!
・・・
・・・
・・・
いいえ,違いますw
あくまでもこれは燃焼室側から見た数値です。
点火するのはどこですか?
そう,プラグです。
点火回数が毎秒400回ということは,ロータリーの場合,プラグが4つありますから各プラグの点火回数は毎秒100回・・・じゃないですよwww
各プラグの点火回数は毎秒200回です。
一方,レシプロの場合はプラグが6つですから毎秒100回です。
実は点火回数は2倍ですね。
プラグの消耗はロータリーの方が早い理由の1つはこれですね。
ロータリーエンジンは高回転まで回せると聞いていたのに,なんで?違うの?と思ってしまいますね。
プラグの点火については,実は他にもさまざまな要素がからんできます。
これはまた機会がある時にお話しできればと思いますが。
忘れてはならないことは,エンジンはただ回っているんじゃないということです。
エンジンの中で動いているものは機械部品だけじゃありません。
燃焼するのはなんでしょう?・・・混合気です。
混合気の流れを無視して考えることはできません。
エンジンの回転数が速くなればなるほど,各々の行程に要することができる時間が短くなってきます。
先ほどと同じ,12000rpmで考えましょう。
1回転に要する時間は1/200秒=0.005秒です。
レシプロでは吸気,圧縮,膨張,排気の時間は大雑把に1サイクル(=2回転)の1/4ずつとして,0.0025秒です。
ロータリーでは1サイクル(3回転)のうち吸気に約1/3,圧縮に約1/6,膨張に約1/4,排気に約1/4ですので,吸気は0.005秒,圧縮は0.0025秒,膨張と排気が0.00375秒ずつです。
この中で一番差があるのは・・・吸気時間ですね。
ロータリーではレシプロの倍の時間で吸気ができます。
ロータリーが高回転に有利といわれる所以は一つにはこれです。
当たりまえですが,「空間がある」ということと「気体がある」ということとは意味が違います。
エンジンのように高回転で動き,しかも限られた隙間からガスの出し入れをするような機関においては,混合気の流れを甘く見てはいけません。
そこに空間があるからといって一瞬で混合気で満たされることもなければ,その内部が均一になることもありません。
以前述べたように,混合気は音速の何分の1~何十分の1かの速さでの移動を要求されますし,複雑な気流を生じています。
それは気体に質量があるからです。
そして,質量のある物体の運動にはエネルギーが必要になりますし,時間も必要です。
空間から空間にワープするなんてことも(通常は)ありません・・・それが可能になれば内燃機関の概念も大きく変わるでしょうw
吸気,圧縮,膨張,排気という行程の中で,圧縮と排気はピストンやローターの運動によって無理矢理押しつぶしたり押し出したりすることができますし,膨張は混合気の燃焼によって発生した熱エネルギーによってピストンやローターに運動エネルギーが与えられる行程ですが,それらに比べて吸気というのは実に制御が難しい行程だと思いませんか?
「良い混合気」「良い圧縮」「良い点火」がエンジンには必要です。
吸気という行程は「良い混合気」をいかに多く取り込むかに大きくかかわり,そしてそれが「良い圧縮」にも結び付きます。
エンジンチューンは吸排気チューンだと言う人もいます。
タービンだって,吸気を高めるためのものです。
どれだけの吸気ができるかがエンジンの性能にも大きくかかわってきます。
ロータリーはその点,吸気時間を長く取れるという点で非常に有利なのです。
だからこそ,高回転で回すことも可能になってきます。
そして,混合気を多く取り込めることによって大きなパワーも得られるのですね。
あ,でも先ほどの・・・点火の問題は避けて通れませんよ。
とはいえ,レシプロだって研究,改良が進んでいますので,その差はますます埋まっていく Orz