
どの車両も,純正のサーモスタットは80℃付近,RX-7 FD3Sなら82℃で開弁するようにできています。
もうちょっと詳しく言うと,82℃から開き始めます。
かたやローテンプサーモは,65℃とか,68℃とか,70℃とか,71℃とか,75℃とか,76℃とか・・・純正よりも低い温度で開きます。
ですが,純正の表記とはちょっと違うところが・・・市販されているローテンプサーモは,表記されている数値よりも早くから開き始めます。
純正サイズのものから,中には内径の大きいものもあります。
さてさて,ここから先は以前僕が他のブログで書いていた内容ですが,一部改変して転載します。
改変したのは・・・考え方が変わったからです。
根本的なところは差はありません。
むしろ,以前よりもより疑問を抱くようになったというべきでしょう。
~~~~~
エンジンにとって適正な温度を保つために,
水温は80~90℃が望ましいとされています。
水温は低すぎても高すぎてもいけないのです。
オーバークールを防止するのがサーモスタットの本来の役割です。
そのためにサーモスタットは設定温度以下では閉じており(正確には「設定温度以下から徐々に開き始める」),ラジエターに冷却水が循環するのを防いでいます。
「水温管理グッズ」であり「冷却グッズ」ではありません。
通常の走行ではオーバークールを防止することを考えればローテンプサーモは使わないほうがいいと言えます。
ではなぜローテンプサーモが存在するのでしょうか。
それはサーキットやジムカーナ走行での水温上昇を抑えるためであると推測されます。
さっきは「冷却グッズではない」と言ったくせに何言ってんの?と思われるかもしれませんが。
早くからサーモを開弁しておくことにより,あらかじめラジエター内を冷却水が循環することができ,水温上昇の立ち上がりを抑えることができるということのようです。
こういった環境ではエンジンは高負荷を強いられており,放っておけば温度はどんどん上昇してオーバーヒートしてしまいます。
ラジエターによるクーリングは絶対に必要な状況です。
オーバークールなんて起こりえない環境であり,むしろオーバーヒートが問題になる環境です。
もはやサーモが閉じる必要なんてこれっぽっちもないのです。
水温上昇の立ち上がりを抑えることができれば,オーバーヒートにいたる時間を伸ばすことができる・・・ということでローテンプサーモで早くから開弁してラジエター内に冷却水を循環させるのです。
ラスト1周が水温上昇のために完走できなかったのが,完走できるようになるということです。
開弁温度を下げることの意味合いとしてはそのくらいに捉えておいたほうがいいかもしれません。
もう一つ突っ込んでいうと,サーモスタット外せば?という人もいるかもしれませんが,それには一つ問題点があります。
サーモスタットが閉じている時に冷却水を循環させるバイパスがあるのですが,サーモスタットはこのバイパスへの弁も兼ねています。
開弁時はバイパスへの弁を閉じるのですが,サーモスタットを外すとバイパスへは常時冷却水が流れることになり,その分だけラジエターへの流量が減るばかりでなく,バイパスされた冷えていない冷却水が循環することによって,逆にオーバーヒートしやすくなるのです。
サーモスタットを外す場合はいっしょにバイパスを閉じる必要があります。
と,もっともらしいことを書いておきながら,
実は以上の考え方にも大きな問題があります。
特にRX-7 FD3Sの場合について。
純正ROMでは水温を基準に,80℃を境にしてマップが切り替わります。
また,それに加えて水温に応じて補正が入ります。
水温が低ければ低いほど,多くの燃料を噴出します。
当然ですが燃費は激しく悪化します。
ヘタをすると半分にまで,つまり,倍の燃料を消費します。
なぜそんなことをしているでしょう?
それはひと言で言うとエンジンを保護するためです。
以前書いたように,アペックスシールの反りの問題,エンジン内部のクリアランスの問題等々・・・エンジン内部は適正な温度環境に保たれることでよいクリアランスを得られるようになっています。
エンジンを高温に晒すのもよくないですが,低温に晒すのも良くないのです。
ローテンプサーモを使うと,低温に晒した状態で高負荷をかけることになりますから,エンジンは激しく消耗します。
ラスト1週がどうのこうの言いますが・・・80℃~130℃で使用していたのを,ローテンプサーモをつけることによって70℃~130℃になるだけで,低温での消耗を増やしているに過ぎません。
そこらへんを理解した上で,それでもエンジンは傷んでいるということを認識した上で,壊れるのは自分のせいだということを自覚した上で,壊れることを納得した上での使用なら止めませんが,一般ユーザーが走行会に出る程度の使い方であれば絶対に必要のないものです。
最後に念を押しておきますが,ローテンプサーモは冷却グッズとして捉えないことです。
水温を管理するものであって,水温の上昇しはじめを抑えることはできますが上がってしまった水温を下げることはできません。
開いたあとは何にもしていないのです。
流量が増えて冷却効果が上がることは実は副産物に過ぎません。
本格的に水温対策を考えておられる方はラジエター交換など,他の方法を考えたほうがよいですよ。