
ロータリーエンジンについて,車について,チューニングについて,いろいろ考え,書きとめていったことを整理すべく,
目次を作っていましたが,ここのところ目次を全然更新していなかったので,数日前にちょっと整理をしました。
で,アペックスシールについての考察が止まったままでしたねw
そろそろ本題に触れていかないといけませんね。
ロータリーエンジンにとって,アペックスシールは生命線です。
良くも悪くも,ここがどう機能するかによってエンジンの状態が大きく変化します。
それは事実でしょう。
RE Bros.でもアペックスシールについて取り上げられていましたね。
でも正直,僕はあれを読む気は起きませんでした。
だってね・・・
一般的なユーザーカーにおいて,アペックスシールがブローの原因だったりすることはないし,そこを強化すればブローが防げるなんて,そんなことは妄想に過ぎない。
現時点ではそう思っています。
そりゃ,2ピースよりも3ピースの方がペリフェラル排気のFCやFDには理想的です。
でもそれが効いてくるのは400psオーバーでの話。
300psそこそこではあまり関係ないし,メーカー純正の3ピースならともかく,高いお金を出して,実績のない加工品の3ピースにする必要がどれだけあるだろう?
それを組んだら,あなたの車のそのテスト車両の1台になります。
今現在,そうやって実績を積み重ねています。
本当の結果が出るのはいつですかね?
10万キロ超えた時にちゃんとデータが出るのなら,10万キロ使えるという意味でも意味はあったと言えるでしょう。
でも,ひょっとしたら1万キロしか持たないかもしれない。
その時に悲しい思いをするのは誰でしょう?
テスト車両になるということはそういうことです。
そして,メーカーのテストと違って,ショップのテストは,それぞれに仕様が全然バラバラの車両を使ってのテストになります。
統計に詳しい人ならわかるでしょう・・・n(サンプル数)が圧倒的に足らないのです。
そして,アペックスシール以外の不確定要素が多すぎて,実験としての精度が落ち,信頼度の低いデータしか得られないのです。
それはもはや科学ではありません。
圧倒的にエビデンスレベルが低いのです。
これは,何百ものサンプルを採取して実験を行い博士号を取得した一研究者としての立場から言わせていただきます。
最も信頼度が高く価値のあるデータは,メーカーのデータです。
10年も20年も前のデータでしょと言われるかもしれません。
でもね,最新の知見だからそれが正しいというわけではないし,過去から今までに積み上げてきた実績の方がはるかに価値が高いということは,みなさん,ご自身の職場でも経験されていると思いますがいかがでしょう?
新しいものを産み出してきた人と,それを細工する人と,そこにはどうあがいても埋められない圧倒的な差があるのです。
表向きは「メーカーはダメよ」「メーカー品はここが悪いから・・・」とか言いながら,いざとなったらメーカーには敵わない。
それはご本人たちが一番実感していると思います。
すいません,ショップを批判しているわけではないのです。
どう足掻いても越えられない壁があるのだということをお話したかっただけです。
いいものを作り出していこうとする努力や,その意欲は称賛されるべきものであり,今後も続けていただきたいと思っています。
その努力が,過去には超えられなかった壁を打ち破る可能性を見出すためには必要なのですから。
そして,なんだかんだ言っても,ものを言うのは実績であり,データ数です。
テストの結果から真実を突き止めるためには,n(サンプル数)を増やして検証していくしかないのも事実です。
そうやっていろいろ考えると,科学的見地から言うと,高いシールにお金を出すよりも,そのお金でセンサー始めコイルやソレノイドなどを新調した方がよほど有意義だと思えます。
現時点では。
それにね,400psオーバーまで行くと,アペックスシールどころか,他にもいろいろといじらなきゃいけないところは出てくる。
決してそれはシールだけの問題で解決することじゃない。
ちなみに,RENESISだと話は全く違ってくる。
3ピースなんて組んじゃいけない。
もし組むなら,ペリフェラル排気にしてください。
さて,シールの話でしたね。
結論だけ言います。
エンジンブローの原因はほとんどの場合において,アペックスシールのせいじゃありません。
アペックスシールが割れるのはあくまでも結果にすぎません。
そういう結果をもたらした何かが他にあるはずです。
それこそが本当のブローの原因です。
それを直さず,シールだけ強化したって何の意味もないんです。
また同じことを繰り返すだけです。
アペックスシールに限らず,他のどのパーツだってそうです。
壊れたから壊れにくいものにしようというのじゃあ解決しません。
壊れた原因を突き止めることが最優先されるべきで,それができてないのにごまかしのために強化パーツを組んだってダメなのです。
次はまたどこかが壊れます。
壊れるのには壊れるだけの原因が絶対にあるのです。
メーカーが過酷な環境の下で何十万キロもテストを繰り返して耐久性を確かめてきたものが,どうして数万キロで壊れるのでしょう?
もし本当にそれが原因で壊れるのなら,それはリコールの対象じゃないですか?
絶対に原因がある,そう思って原因を突き止めなくてはダメです。
他の原因が全て否定されたのなら,部品そのものの耐久性が問題になるのです。
テストでいい点が取れなかった。
その原因は?と聞かれて,普通はどう考えるでしょう?
勉強不足。
大多数の人はそう答えるでしょう。
でも中には,問題が難しすぎたと答える人もいるでしょう。
どちらが的を得ていますか?
でもね,勉強不足と答えるだけじゃあダメです。
勉強不足になった原因は?
遊び過ぎて時間がなかった?
クラブが忙しかった?
病気で入院していた?
じゃあどうしたらいい?
普段からコツコツと積み重ねることで,勉強不足はかなり解消できると思いません?
急に病気になったって,クラブの試合があったって大丈夫。
毎日コツコツやっていれば,遊ぶ時間だって十分につくれる。
試験勉強なんて試験の直前に徹夜してやっちゃう大学生に一番欠けているものですよねw
勉強方法だって見直さなきゃいけない。
無駄な勉強をしているかもしれない。
例えば,テストの範囲を間違っていたらダメですよねw
そういったことすべてを見直して,それでもテストで点が取れないなら「頭が悪いから」って言われるんでしょうが。
でもね,ほとんどの人は,上手に充分な勉強ができていないからなんですよね。
小学校の時に解けなかった算数の問題,今なら解けるでしょ?w
自分の趣味や仕事で必要なことなら,難しいことでも考えられるし,覚えられるでしょ。
同じことだと思いません?
最初にいきなり「頭が悪いから」って言われたら・・・
最初にいきなり「アペックスシールが悪い」って言われたら・・・
はっきり言います。
雑誌なんてどこもレベルが低いです。
未だにアペックスシールがどうのこうのと言っているようじゃあ・・・
正直,RE Bros.には失望しました。
このままだといつまでたっても「だからロータリーは・・・」と言われ続けるのです。
ルマンでもデイトナでも優勝したという実績があるにもかかわらず・・・
こうやって辛口のメッセージを発信することが,僕なりのやり方です。
これを読んでみなさんがどう感じるかは自由です。
あっ!そうなのか!と思う人がいれば,こうやって書いた意義があると思いますし,えっ!違うよ!という人がいても,それがそれで意義があると思います。
反論するにも頭を使うと思います。
考えると思います。
それが大事なのです。
僕はみなさんに考えてもらいたい。
全てを鵜呑みにするのではなく。
もっとたくさんの疑問を持ってもらいたいし,自分なりに説明できるようになってもらいたい。
ユーザーの底上げと,ショップの底上げがしたいのです。
自分で考え,自分で確かめる,その努力は惜しまないでください。
それがロータリーの未来を救うと思います。
ホント,ロータリーに関して偏見や間違った考えを持っているショップも多いんです。
例えば,クラッチから変な音がしているのに「ロータリーだからこんなもんですよ」っていう中古車屋,ありえない!!!
そういうお店はレシプロすらまともに扱えないんでしょうけどね。
あ,あと,ロータリーは中低速のトルクが細いから太いタイヤはダメって,ホントですか???
太いタイヤ履いている人の方がタイムいいんですけどwww