
「素人が考えるVマウントの問題点」をいくつか挙げてきましたが,今まで挙げた問題点は大きいもの小さいものいろいろありましたけど,それもこれもそれ単独なら工夫次第で回避できる問題。
でも,次に挙げる内容はVマウントにしようとする人はみんな本当は悩まなきゃいけない問題なのに,悩んでない・・・むしろ喜んでしまっているという大問題です。
一応今回でひと区切りです。
以下の内容を追記しています。
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さて,いよいよ本題に突入です。
実はここから先が本当に言いたいことですので,気合いを入れて書いています。
Vマウントにすることにより,エンジンルーム内のレイアウトを大きく変更しなければなりません。
変わるのはインタークーラーとラジエターだけではないのです。
他には何が?
一つはバッテリーですよね。
小型化か,もしくは室内への移設が必要になります。
小型化した場合でも,元通りの位置に置くことはできないものもあります。
その場合はエンジンルーム内での若干の移動が必要になります。
どこに移動?
さらに,バッテリーボックスを見たことある方ならおわかりと思いますが,インタークーラーのダクト側から穴が開いていますよね。
さてこの穴,何のための穴でしょう?
バッテリーの熱対策ってみなさん考えると思うのですが,Vマウントにした後って,どうしていますか?
ロータリーは消費電力が大きいとか,安定した電力供給が必要だとか言われていますが,バッテリーを小型化することによる弊害って,全くないと言えるでしょうか?
エンジンが動いている間はオルタネーターの発電で電力供給されているから大丈夫? じゃあエンジン始動時は?
ところで,その大事な大事なオルタネーターですが,あなたの車は大丈夫ですか? 容量足りていますか?
ハイブリッドカーだ,電気自動車だと世の中騒がれていますが,そもそも近代の車は電気で動いているのですよ。
ガソリンはただの餌。
点火するのは電気の力。
センサーだって電気で動いている。
制御だってコンピューターなんだからすべて電気信号です。
電気の重要性を軽視してはいけません。
家庭用のパソコンだって電力供給が不安定なら動作がストップします。
ガソリンが餌なら電気は血液や神経に例えることができるでしょう。
センサーの信号は神経。
動くための電力供給は血液。
貧血の車なんて元気に動けるわけないじゃないですかw
メーカーがなぜ,重量物であるバッテリーをわざわざそのサイズを選んでいるのか・・・考えてみましょう。
レースカーでドライバッテリーを使っているのは訳があるんです。
無駄な電力消費をするものは外してあります・・・エアコン,オーディオ,カーナビ・・・
まぁ純正でなぜそんな鼻先にバッテリーなんていう重量物を設置したのかは疑問視されても仕方ないと思いますが(^_^;)
ところで,最近の車はバッテリーはリアハッチの中にあったりするんですよね。
でもこのバッテリー問題は工夫すれば誰でも解決できうる問題です。
レイアウトを変更せざるを得ないもう一つのもの・・・それはエアクリです。
純正のエアクリや純正形状のエアクリを使うためには,もはやVマウントキットをポン付けではできません。
せっかくの大きなインタークーラーを小さいものに変更したり,位置を大きくずらしたり(そうするとパイピングも変更しなければなりません),どうやっても簡単には済みそうにありません。
そこで簡単に済ませるための選択肢として・・・むき出しタイプのエアクリ,いわゆる“毒キノコ”の登場です!
某ーシングサクションや某アインクスなんかが有名ですね。
ああいうタイプのエアクリは,確かに吸気効率はアップしますので,それだけでパワーアップもするでしょう。
多くの人はこれに大喜びして飛びつきます。
何の疑問も持たずに・・・
ですがですが,それってどこの空気を吸っていますか?
純正エアクリや純正形状のエアクリ(マツスピエアボックスクリやラムエアインテークやエアグルーブ)はバンパーの開口部から外気を吸いこんでいます。
むき出し毒キノコは?
エンジンルームの中の空気を吸っていますよね。
さて,その温度っていったい何℃でしょう?
何℃だったとしても,大きくなったインタークーラーで冷やされるから大丈夫?
そうではないことを身をもって証明してくれた方がおられますけど,その結果を見てもなお,あなたは大丈夫と言いきれますか?
一部の人はこう言います。
エアクリーナーの周りにボックスや遮熱板を作ったって,時間がたてばボックスそのものが温まって熱を持つから同じことだ,とか,
温まってしまってからはむしろその熱でエアクリが吸い込む空気が温められて逆効果だよ,とか。
実はこれらの説明は根拠のない真っ赤なウソです。
簡単に説明します。
ボックスの外の空気の温度が200℃だったとします。
ボックスは徐々に温められて,本当に200℃になってしまったとします。
さて,ボックスの中の空気は200℃になりますか?
ボックスの中は,絶えず空気の流れがあり,外気がエアクリに向かって吸い込まれています。
外気の温度が50℃だったとしても,絶えず入れ替わり立ち替わり新鮮な空気がそこを通過しているのですから,一瞬で200℃になるようなことでもなければせいぜいこの空気の温度は70~80℃に温められる程度がいいところでしょう。
もう一つ言えば,この内部に吸い込まれてくる外気は,ボックスを内部から冷やす効果もありますので,ボックスの外壁は200℃だったとしても内壁は200℃まで達していません。
では,このボックスを取り払うとどうなるかというと・・・エアクリは200℃の空気をもろに吸ってしまうことになります。
さぁ,これでもボックスの効果は全くないと言い切れますか?
もちろん,ボックスの存在はそれ自体が吸気抵抗を産み出すことになり,パワーダウンは避けられないでしょう。
ですが,ボックスがない場合にはいきなり高温に熱せられた空気を吸気することによって,結果的にエンジンに吸気される吸気温も上がり,パワーダウンしてしまいます。
どちらがエンジンやタービンにとって優しいでしょう?
吸気効率ばかりに目を向けて宣伝しているむき出し型毒キノコには,このような弊害があるのです。
特にFDのエンジンルームのレイアウトでは,むき出し型のエアクリに置換した時に,外気の取り入れ口からエアクリまでの距離が遠くなりますので,他の車よりもその悪影響が顕著に出る可能性があります。
なお,ボックスの周りの空気の温度が200℃だなんていうのは例え話ですので,本当に200℃なんだとか思わないようにwww
ナイトスポーツさんはこれに対する一つの答えを示してくれています。
「Vマウント用エアグルーブ」
最強のクーリングシステムであるVマウントに,なぜ追加してこういったパーツをつける必要性があったのか・・・
もうおわかりですよね。
さすがナイトスポーツさんは,Vマウントの持つ様々な問題点をわかっているのです。
そして,それに対するナイトスポーツさんなりの答えを用意してくれています。
ナイトスポーツさんだけではなく,他社でもこの問題に対する様々なアプローチをしています。
そこら辺りの問題に気付いているショップであればVマウントを取り付ける際にエアクリでの吸気温度をいかにして下げるかの工夫をしてくれています。
ダクトを引いたり,エアクリの接続部を延長してできるだけエンジンルームの前方に近づけたり,遮熱板を設置したり。
そこら辺の理解のないところであらば,ラジエターとインタークーラーへの導風板を設置する際に右サイドも完全に塞いでしまってバンパー開口部からエアクリへの空気の流れを遮断する・・・なんてことも平気でやっているかもしれません。
僕のFDはここのところにエアクリに向かうように吸気口を作ってもらっています。
バンパー開口部から覗き込むと,ちょうど黄色い毒キノコが見えますwww
どうなっているのかは整備手帳をご覧になって探してみてください。
実はむき出し型エアクリの持つもう一つの問題点があるのですが,それはこの方のブログをご覧になってくださればおわかりいただけると思います。
さいごに。。。
以上,Vマウントの弱点とも欠点とも問題点とも取れるテーマについて,ど素人なりに考察しながら綴ってきました。
実はまだまだ細かい点を含めれば様々な問題点があるのだと思います。
このシリーズはここで終わるつもりはなく,何か発見,発展があればまた追記していこうと思います。
誤解のないように念を押しておきますが,Vマウントシステムは現在のところ間違いなく最強のクーリングシステムです。
Vマウントを非難したり否定したりするつもりは全くなく,むしろ僕は賞賛しています。
僕自身もこのシステムを愛車に採用しており,さらに言えばもしまた次にFDを手にすることがあれば真っ先に導入しておきたいシステムです。
Vマウントシステムを開発されたナイトスポーツさんの功績は偉大であり,いちユーザーとして素直に感謝し,尊敬しています。
他社でもこのシステムを改良,発展させたものが次々と出てきていますが,それについてもナイトスポーツさん同様に賞賛しています。
僕がこのシリーズで訴えかけたかったことは,Vマウントシステムのいいところばかりに目を向けて盲目的にインストールして使用し,そこに潜む問題点に目を向けないか,あるいは知らないふりをしていることは大問題であり,そのことによって大切な愛車を傷つけ,壊してしまうことになるのだということをユーザー自身も知る必要があるのだということです。
ど素人がちょっと考えれば思いつくようなこういった問題点を,わかっているチューナーもいればわかってないチューナーもいます。
通常,ちょっとやそっとのチューニングでは車は簡単には壊れません。
ただしそれは,メーカーがあらかじめ車に用意しておいた“予備力”の範囲内にあればという条件付きです。
チューニングを積み重ねていくと,いつかはその予備力を越え,最悪の場合はブローという結果を招いてしまいます。
そうなる前に,「それをすることによってどんないいことがあるのか」だけでなく,「それをすることによってどんな弊害が生まれるのか」を考えていきましょう。
そうしないと,予期せぬ失敗,予期せぬ故障,予期せぬブローを生じることになります。
・・・ですが,その予期せぬ事態は,改めて振り返って考えてみると,決して予期できなかったものではないことに気付くはずです。
あなたの愛車はあなた自身の手で守ることも必要です。
そのためには無知でいてはいけません。
何もかも人任せ,ショップ任せではいけません。
一流のドライバーほど,車の構造,システム,コンディショニングなどについては詳しく,シビアにチェックしているのです。
それができないなら,もうあなたはRX-7に乗る資格はありません。
そういう危機感を持って乗ってください。
なお,考えるヒントはその気になれば簡単に手に入ります。
みんカラ内を散策してみてください。
きっとあなたも見つけられるはずです。
ですが,考えるのはあなた自身であることを決して忘れないでください。
あなたが愛するRX-7のために。
あなた自身のために。
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Posted at 2009/04/22 17:04:46 | |
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