
これは僕の話ではありません。
僕の大切な友人の話です。
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某社の車に乗る友人は,僕と同じ時期にサーキット走行にはまりまくり,某サーキットではその車種での当時のベストラップを叩き出したりして頑張っておりました。
基本的に足周りからチューニングを開始し,最近ではフルエアロで武装したり,ついにはエンジンチューンまで行うという気合いの入れよう。
さて問題はここから。
どうも車の調子が良くないらしい。
それも,いろいろ調べてみても原因不明。
症状は絞り込めてきているけど,じゃあなぜそうなるのか,何が原因でそれが起こっているのかは分からない。
エンジンチューンのプロフェッショナルやコンピューターのプロフェッショナルをもってしても容易に解決できていない。
困り果てた友人は,ネットでみんなに助けを求めた。
自分の車に関する情報を載せ,症状を書き連ねた。
同じ症状を見た人,経験した人,直したことがある人,そういった人たちの目に止まれば,何かしら情報が得られるのではないかと考えた。
一人の情報では解決が困難でも,同じような車が何台かあれば,共通点を探っていけば解決策が見つかるかもしれない。
そういう思いもあった。
案の定,何台か同じような症状の車がいることが分かった。
でもまだ決定打はなく,原因検索は始まったばかり。
それでも,前に進む手掛かりが見つかったような気はしてきた。
ところが,あるトラブルがあり,友人から相談を受けた。
相談内容は書きませんが,僕が思ったことを以下書き記します。
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あのね,思うのだけどね。
チューニングショップって,車のチューニングさえしていればいいの?
オーナーから依頼を受け,細かく打ち合わせをして,車を預かり,手を施していく。
完成した車に不具合がないかをチェックして,オーナーに納車して,もちろんその後にトラブルがあればそれに対応していくのだけれども・・・
1.自分が依頼された仕事を,100%こなしているかどうか?
ひょっとして,メインの仕事に集中するあまり,何か忘れていやしませんか?
2.依頼されたこと“だけ”しかやってないことはないですか?
気のきいたチューナーなら他に不具合がないかチェックしますよね。
もしかしたらそれが原因で自分の仕事にも不具合が生じるかもしれないしね。
ショップ同士の仕事のやり取りなら余計なところまでいじらない方がいい・・・それがお互いの信頼関係かもしれませんが,ユーザー相手の仕事の場合はそれとちょっと違いませんか?
例えばだ・・・タイヤを交換した時に,エンジンの中までチェックしろなんて言わないけど,ブレーキパッドが減っていますよって言ってくれるだけでも,この人はそういうところまでチェックしてくれる人だという安心感がユーザーには生まれる。
3.その車がオーナーにとってどういう車か理解していますか?
ショップにとってみればそれは数多くある車のうちの1台かもしれないけど,オーナーにとってはかけがえのない1台なのですよ。
その大切な1台の車を“お預かりする”という意識に欠けてはいませんか?
オーナーと同じようにとは言いませんが,少なくとも,オーナーの車に対する愛情を理解し,大切にしてもらいたいと思いますが,いかがですか?
4.納車後にトラブルが出た時の対応は?
何が原因であれ,納車後にトラブルが出た,あるいは残っていたとしたら,ショップとしてどう考え,どう対応していますか?
ショップに責任があるとかないとか,そういったことではなく,オーナーと一緒になってその原因を考えようとする姿勢がありますか?
「もともとあったんじゃないの?」とか「うちとは関係ないから」って言われた時のオーナーの気持ちなんて,考えてないことはないですか?
何であれ,あなたのところを訪ねてきて,あなたの手のかかった車なのだということを忘れないように。
5.トラブルが解消し得なかったときの,オーナーの気持ちを考えたことがありますか?
どうやっても解決し得ない問題だってあると思うのです。
ですがそこで,こりゃだめだと言われたり,仕方ないよと言われたり,あきらめろと言われたり・・・
あなたの責任であれ,他人ので責任であれ,まったくの不可抗力であれ,オーナーの気持ちを考えれば簡単にそんな言葉が発せられるかどうか・・・
調子が悪い車を抱えた時の,しかもその原因も分からず,手を尽くしてみてもどうしようもない時の,そんなオーナーの気持ちなんて,わかりませんか?
乗り換えればいいじゃん。。。とか簡単に,平気で言えますか?
車ばかり見ていて,オーナーを見ていないんじゃないですか?
オーナーの心のケアなんて,考えてないんじゃないですか?
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これを見ているショップ関係者の方も何人かおられることは十分承知の上で書いています。
今一度,ご自分のショップがどういうショップか,ユーザーとどういう付き合い方をしているか,見つめ直してみていただけませんか。
どの世界でも,どの業界でも,最終的には人と人との関係なのだということをお忘れなく。
信頼関係を築くのは大変ですが,崩すのは一瞬でできます。
そこに上下関係はありませんし,あるべきではないと思っています。
ショップ側から見れば,たくさんの顧客の中のたった一人でも,ユーザーはそうは思っていません。
あなたを頼って相談するのです。
誰よりも,その道に詳しいプロフェッショナルであると信じて頼っているのです。
そういう話を抜きにして,この問題をシンプルに考えた場合・・・
「直してって頼んだのに,直ってないじゃん,どうなってんの???」
違いますか?
ちゃんとユーザーの気持ちをくんでください。
自分と自分のショップの都合ばかり考えないで。
逆切れなんてしないで。
ちゃんと向き合ってください。
ユーザーだって,もめ事を起こそうなんてさらさら思ってもないのですから。
もう一度書きます。
車ばかりを見ず,ユーザーの心のケアも怠らないようにしてください。
それは車を預かったあなたにも課せられた責任でもあります。