硬いオイルが悪い!
と言ってしまいましたが,硬いオイルだって必要なときはあります。
それは前回のブログの中にも書いています。
エンジン内部のクリアランスによって硬さを選ばないといけないのです。
で,前回投げかけられた疑問がありますね・・・
軟らかければいいのかという話。
とことんまで軟らかいオイルはいったいどうなんだろう?>0W-5とかw
実は,軟らかすぎるオイルも役に立たないのです。
前回,クリアランスの話をしました。
そこを埋めるという話もしました。
軟らかすぎると・・・埋められないのです。
新品のエンジンでさえ。
回転するエンジンでシールとハウジングの隙間を。
ポニョっとRX七式さんから以前ご指摘いただいた「気密性」の問題です。
硬いオイルの方がここの気密性は上げられます。
シールとハウジングの間に張力を発生させます。
でも,ローターの溝の中でも張力は発生していますから,シールの動きは悪くなることが予想されますよね。
軟らかすぎるオイルは気密性が得られません。
シールとハウジングの間をオイルで埋めることができないのです。
張力がなさ過ぎて。
ということで,「エンジンの状態に応じたオイルの硬さを選ばなければならない」というのが本当は正しい言い方でしょう。
ではなぜかたくなに硬いオイルを否定し続けるような発言ばかりしてきたか・・・
それは,最初に言いましたが,
「ロータリーエンジンのエンジンオイルは硬くなくちゃダメ」
という
都市伝説があり,みんなが盲目的にそれを信じ込まされてきていたからです。
そのことに警告を発したかったからです。
何度も言いますが,情報がすべて正しいとは思い込まないことです。
僕がこうやってここで書いている情報だって,何も考えずに鵜呑みにしてはいけません。
自分で考えてください。
メーカーの宣伝文句
雑誌の評価やコメント
プロの評価
ショップのアドバイス
すべて,商売ベースであることを忘れてはなりません。
ショップの中には,商売を抜きにして評価してくれるところもありますが,全てがそうではありません。
基本的に,いいことしか宣伝文句に書いてないものは信じません。
ショップでも,悪いことを聞き出しましょう。
「ここのパーツをこれに換えたいんだけど,そうするとどんないいこととどんな悪いことが起こるのか」
全てのアフターパーツには長所と短所があります。
必ずあります。
短所をカバーしつつ,長所を活かせるか,それを考えるのは車に限らず全てに通じることです。
それができないのなら,車なんていじらないことです。
愛車のためを思うのなら・・・
これは僕自身の反省でもあります。
メーカーが悪い,雑誌が悪い,ショップが悪い・・・ではないのです。
最終的には,自分が悪いのです。
そしてもう一つ,今の世の中にあるロータリーエンジンに関する情報のほとんど全ては,
ロータリーは壊れやすい
ロータリーは燃費が悪い
ロータリーは排ガスが臭い
という考え方が基盤になっています。
でもこれは,今まで間違ったことをしてきた結果そうなったのであり,ロータリーエンジンの本質を示している言葉ではありません。
本来の姿を隠され,本来の性能を発揮できなくされ,本当の力を評価されてこなかったかわいそうなエンジン・・・
せめて僕たちオーナーがこのエンジンの真の姿を見て,真の評価をして,真の力を発揮させてあげなければならないでしょ?
よく話題になる,アペックスシールの問題についてもそうです。
僕がオイルについて述べてきた理論が正しければ,アペックスシールなんて強化しなくてもいいんです。
ノーマル2ピースでいい。
シールの動きを良くすれば,そこにある何割かの問題は解決されるのです。
もちろん,それ以外の問題で起こる不具合はオイルだけでは解決できませんし,400ps以上にパワーが上がっていった時の問題はまた別に考えなければならない問題です。
ところで,以下の点ついて触れていませんでしたね。
「ロータリーエンジンとレシプロエンジンのオイルの使い方の決定的な違い」
オイルが潤滑する部分が違うんじゃないかと。
ロータリーで言うところの,シールとローターの間を潤滑し,気密性を高める,そういう働きがレシプロにはあるのかな?どうかな?教えてえらい人!
「エンジンオイル選びの前にしなければならないこととは?」
オイルがちゃんと働ける環境を整えることです。
壊れてしまったものをオイルを変えただけで直すことができるわけではありません。
壊れたところは直す。
まずはそれが先決です。
オイルはエンジンの中で大事な役割を持っていますが,その役割を発揮できるのも,エンジンや補器類などのコンディションがいいからこそです。
他の不具合をオイルでごまかすなんてことはできませんし,そうあるべきではありません。
そしてオイルはその使用環境が性能を左右しますので,温度管理をちゃんと行うことが必要です。
低すぎても,高すぎても,充分な性能を発揮できないのです。
高負荷走行を続けて油温が上がってしまうのであれば,まずは油温を下げることから考えましょう。
根本的な原因を解決せずに,オイルだけを高温に対応したものにしても,本来解決すべき問題に蓋をしてごまかしているだけですからね。
「たとえフルチューンでも・・・」
ちゃんとした温度管理やオイルの品質管理を行なっていれば,そしてエンジンや補器類のコンディションが整っていれば,例えフルタービン,フルチューンであっても,オイルの粘度を上げなければならないということにはならないはずです。
このブログの最初に述べたように,硬いオイルが必要な時もあると思いますが,それにはちゃんと理由があるはずです。
決して「フルタービンだから」「フルチューンだから」ではないはずです。
まずは自分の車で試してみませんか?
自分の車にあったオイルはなにか,いろいろなオイルを入れて確かめてみればいいじゃないですか。
みんながみんな,簡単に圧縮を測れるわけではありませんが,燃費の計算や負圧の変化くらいは見られるでしょう。
乗った時のフィーリングはあなたにしか感じ取れない大事なバロメーターです。
圧縮が上がり,負圧が上がれば低速でもトルク感が増し,乗りやすくなり,不必要にアクセルをあおることもなくなるので燃費も改善します。
そして,燃費が悪いと言っているあなた,絶対にどこかに問題が潜んでいます。
まずは燃費走行をして自分の車のコンディションを探ってみましょう。
中村屋の顧客が,ECO CPUのオーナーが,みんな燃費を気にしているのは,別にみんながECOを気にしているからではありません。
燃費が,愛車のコンディションを知る上での重要なバロメーターだからです。
そして,エコランをすることによりエンジン内部の洗浄が行えるからです。
燃費が悪い=どこかに不具合が潜んでいる
ということです。
だからみんな,普段の自分の車の燃費を知っています。
みなさんも,はじめてみませんか?
まずは愛車のコンディション把握から。