免疫の概念がちょっと古くないか?とか思ってみたり。
「異物を認識して攻撃」といってもなかなかそう簡単にはいかないよね。
実際には「自己」と「異物」の線引きが難しい。
だからこそ自己免疫疾患だって起こりうるのだろう。
癌化した細胞や傷んできた細胞を攻撃するのにも免疫系は働くが,それは明確に「異物」と認識されているのか?
人工的にmiRNAを作用させて作成したiPS細胞が果たして完全に「自己」といい切れるものかどうか。
癌化の可能性もぬぐい去れないし。
ひとたび癌化が起これば,それをコントロールする術を人類は,医学は持ちえるのか?
原発が暴走した時に手が出せなかったように,人為的に操作を加えた細胞が癌化をした時に手が出せないんじゃないのか。
ゲームみたいにすべてをリセットできればいいのだが,人間の体に対して一度手を加えてしまったものをリセットすることは絶対にできない。
まだまだ越えなければならない巨大な壁がね。。。
しかしそれを超えてしまったとしたら,人類の未来はどうなってしまうのだろう?
本当に明るい未来なのだろうか?
人が死なない社会,永遠の命が手に入ったとして,果たしてその社会は・・・
っていうSF的なことも考えてしまう。
人類はどこまで寿命を延ばせば気が済むんだろうね。
iPS細胞:マウスに移植後、拒絶反応 再生医療に課題
マウスの体細胞から作った新型万能細胞「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」をマウスに移植すると、遺伝情報は同じはずなのに、免疫細胞が異物を攻撃する拒絶反応が起きるとの研究結果を米カリフォルニア大サンディエゴ校のチームが13日、英科学誌ネイチャー(電子版)に発表した。
iPS細胞はさまざまな細胞に分化でき、患者の体細胞から作れば本人に移植しても拒絶反応は起きないと考えられていた。研究チームは「そうした考え方は再検討する必要がある」としており、体の失われた機能を回復させる再生医療への応用に向け、新たな課題になる可能性もある。
研究チームは、マウスの線維芽細胞に2種類の方法で遺伝子を導入しiPS細胞を作成。遺伝情報が同一の別のマウスに、このiPS細胞を移植した。数週間後、マウスの体内でiPS細胞からできた組織で細胞が壊死するなど、免疫細胞による拒絶反応が起きていた。
これらの組織では、いくつかの遺伝子が過剰に働いており、それが原因で拒絶反応が起きた可能性があるという。
一方、このマウスの受精卵から作った胚性幹細胞(ES細胞)を移植した場合は、拒絶反応は起きなかった。
研究チームは「iPS細胞が医療に利用できないことを示すものではない。iPS細胞から分化してできる細胞のうち、どの細胞が拒絶反応を引き起こすのかを調べることが重要だ」としている。【ワシントン共同】
毎日新聞 2011年5月14日 2時31分
<新型iPS細胞>開発 がん化危険性小さく 阪大チーム
ヒトの細胞内にある「マイクロRNA」(miRNA)と呼ばれる物質を使い、あらゆる細胞に分化する能力を持った「iPS細胞」(人工多能性幹細胞)を作ることに、森正樹教授ら大阪大のチームが成功した。ウイルスを使って遺伝子を細胞内に運ぶ従来の方法より簡便で、がん化などの危険性も小さい。再生医療への応用が将来的に期待されているiPS細胞の実用化に向け、有力な方法として注目されそうだ。
26日付の米科学誌「セル・ステムセル」電子版で発表した。miRNAは、細胞内で遺伝子情報の仲介などをする通常のRNAより小さく、細胞内で作られるたんぱく質の種類や量を調整する働きがあるとされる。
森教授らは、これまで約1000種類の存在が知られているmiRNAの中に、分化済みの細胞をiPS細胞に変化させるものがあるのではないかとの仮説を立てて研究。調査可能な500種類以上の中から、iPS細胞や胚性幹細胞(ES細胞)にはあるものの、分化済みの細胞にはないmiRNA約15種類を突き止めた。
このうち「200c」「302」「369」と呼ばれる3種類のmiRNAをそれぞれ人工的に合成し、試薬にまぶして皮膚細胞や脂肪細胞に振りかけると、20~30日後にiPS細胞と極めてよく似た細胞ができた。ほぼ無限に増殖し、さまざまな細胞に分化するiPS細胞特有の性質を持つことも確認した。
チームは今回できた新しいタイプのiPS細胞を「mi-iPS」(ミップス)と命名した。【須田桃子】
毎日新聞 5月27日(金)1時42分配信
Posted at 2011/05/27 13:24:08 | |
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