
さてそろそろ潤滑問題に。
図は13B-REWのオイルラインです。
シングルオイルクーラーですが気にしないw
ロータリーエンジンにおいて,エンジンオイルの役割は1つはエンジン中心部の冷却と潤滑で,もう1つはローターとサイドハウジングの間の潤滑とアペックスシールとローターハウジングの間の潤滑です。
ロータリーエンジンはローターは一方向に動き続けています。
レシプロエンジンではピストンの上下運動がありますから,ピストンが上がっている間に下から摺動面にオイルを噴くことができますが,ロータリーエンジンではそれができません。
ロータリーエンジンもローター内はオイルが流れていますが,これはローターとエキセントリックシャフトやステーショナリーギアとの潤滑と冷却のためです。
いくらローターが動いているとは言っても,この部分を流れるオイルが燃焼室に届くことはありません。
いや,厳密に言うとわずかには潤滑はしますが,ほんのわずかで,それは燃焼室の表面積のごく数%に過ぎませんし,オイルの量なんてほぼないに等しい量です。
もしくは,オイルシールの破損等があれば・・・
なので,内部からのオイルは届かないとした方がいいのです。
ではどこから潤滑油が供給されているでしょう?
写真をご覧になわばおわかりと思います。
オイルパンから吸いだされたオイルは―――オイルクーラーを通って―――オイルフィルターを通って―――エンジンの前方に移動し―――エンジン内部とタービンとメタリングオイルポンプへと分配されて,メタリングオイルポンプからローターハウジングの左上(前方から見て)の小さな穴からエンジンルームに噴出されます。
これが潤滑油になります。
この時のノズル径が4型までは2.0mm,5型以降は0.8mmです。
結構な差ですよねw
これだけ差があると,高負荷時の噴出量に差が出てきそうです。
パワーFCではここがエンジン回転数と水温でしかコントロールできないのだとか。
スロットル開度とかブースト圧とか油温とか油圧とか燃料温度とか,エンジン負荷が変われば必要なオイル量って変わると思うんだけどなぁ。
このオイルは主にはローターとサイドハウジングの間の潤滑に使われるのだそうです。
ロータリーは燃焼室にオイルを噴き,その出口は排気ポートしかありません。
つまり,中に残るか燃え尽きるか排気ポートから排出されるかです。
多すぎると中に残ったり排気ポートから排出されます。
少ないと潤滑性が失われます。
どの程度燃えてなくなるかはオイルによります。
燃えたあとの燃えカスも問題になります。
燃えカスが残ってしまっては大問題です。
ロータリーのオイル選びに関していろいろと言われているのはそういった点を考慮してのことです。
オイルに関してはまた別のお話で。。。
オイル噴出量が少ない場合,ロータリーには死活問題です。
潤滑性が失われますから摩擦によってレスポンスも著しく悪くなります。
いたるところが摩耗,損傷してきます。
当然,摩擦による熱も発生します。
しかも,先日述べたように,高回転時には
アペックスシールの運動速度は100km/h以上です。
そんな速度で金属と金属が触れ合ったら・・・摩耗もさることながら,火花~☆が散りそうじゃありませんか?
摩擦による熱も加われば,ノッキングが起こってもおかしくないかも。
本当にそれ(ノッキング)が起こるのかどうかはわかりませんが,いずれにしてもエンジンに対するダメージの大きさは計り知れないものがあります。
オイル噴出量が多かった場合,あまったオイルはどこにいくでしょう?
どこかから外に出てくれればいいんですが,出口は排気ポートしかありません。
一部はプラグホールに入って,そこでプラグに付着して着火性を悪くする可能性もあります。
始動時のかぶりの原因とも言われています。
5型以降でノズル径が変わったのには,オイル消費量を減らすという目的のほかに,始動時をかぶりをなくすという目的もあるのかもしれません。
FDではプラグがかぶったことによってエンジンが始動できなくなるというトラブルを散見しますが,僕の5型FDは今までにバッテリー上がり以外でエンジンが始動しなかったことはありません。
関係あるのでしょうね。
高負荷でエンジンを使用する場合,オイルが多いことよりも少ないことの方がダメージは大きそうです。
しかもそのダメージは不可逆的です。
プラグのかぶり程度の話であれば,プラグ交換で解決するでしょうが,エンジンパーツの摩耗や損傷はオーバーホール以外に解決策はありません。
では多めに噴くようにセッティングしていた方がいいのかというと,どうなんでしょう?
オイルの消費量の増大やアイドリングなどの低回転域での失火の可能性は先に述べた通りですが,他には?
マフラーからはもちろん白煙発生!!!
触媒がオイルまみれになって傷んでしまいますよね。
触媒としての機能も落ちますし,オイルで汚染された状態だと回復不能なんだとかいう話も耳にします。
以上,オイル噴出量を中心に述べましたが,実はこれは噴出量の問題だけではありません。
量が多くても油膜形成が不均一であれば,潤滑性は維持できません。
そのためには噴出方法にも工夫を凝らす必要が出てくるでしょう。
RX-7とRX-8のエンジンではノズル位置にも差が見られます。
同じ問題はオイルの質が劣化しても起こります。
オイルの粘調度の低下によりエンジン内部で油膜切れを起こすからです。
適切な油圧が保てないグレードは避けなければいけませんし,劣化して粘調度の低下したオイルは交換しなければいけません。
かといって不必要に硬すぎるグレードは抵抗になりますからパワーロス,レスポンス低下,燃費悪化の原因になります。
純正は10W-30です。
RE雨○では10W-40,ナ○トスポーツでは10W-50,R○ジックや藤○エンジニアリングでは15W-50ですね。
中には15W-60なんてところもありました。
さらに,エンジン内部がうまく油膜を保持できるような表面加工も有効と思われます。
WPC処理には硬度を増す効果ばかりが取りざたされますが,ミクロの粒子で表面加工して油膜の保持性を高め,潤滑性を上げる効果もあるのかもしれません。
新品の中古のハウジングの内部を見比べたことがある人は気付いたと思いますが,表面の光沢が違いますよね。
使って摩耗したハウジングではまさに鏡面加工したような光沢になっていますが,新品や走行距離の少ないハウジングは艶消し加工したような光沢になっています。
新品でもあえて鏡面加工していないのには理由があるのでは?と思ってしまいます。
油膜の保持という面では有利なのかもしれません。