
しつこいようですが書き続けますw
だってまだ核心に触れていない。
前回,ローターハウジング内面に油膜が形成されているのかどうかについて疑問を投げかけました。
そう簡単に油膜が形成されるとは思えないし,それが維持されているとも思えないのですよ。
それを維持しようとしたら,燃えにくくて硬いオイルが必要かもしれません。
硬いオイルを奨める理由ってひょっとしてそれですかね?
でもね,ローターハウジング内面の油膜っていうのが,本当に必要ですかね?
なかったらハウジングとシールの間は激しく摩擦されて摩耗が生じるんじゃないかと心配になりますよね。
わかります,その気持ち。
ですが,ハウジング内面に油膜が形成されてなくったって,ハウジングとシールの間を潤滑することはできるのですよ。
逆転の発想です。
シールに油膜が形成されていたとしたら???
いよいよ核心に近づいてきましたねw
ロータリーエンジンの燃焼室内において,潤滑が必要なところはどこでしょう?
ハウジングとシールの間
これだけですか?
もっと大事なところ,忘れていませんか?
ここから先は,誰に聞いたでわけでもなく,誰に教わったわけでもない,僕の頭の中での妄想かもしれませんが,意外といいところをついていると思います。
じっくり読んで,感想を下さい。
で,引用する時は必ずトラックバックとリンクを忘れずに。
オイルノズルから噴出されたオイルは,燃焼室内でどこに行くか。
噴出された瞬間にどこにあったにしても,ローターの回転とともにローターの頂点(しかも後ろ側ねw)に移動します。
いきなりハウジングの内面に貼り付くなんてことはないでしょうwww
で,ここでローターの回転による遠心力も手伝って,まさに頂点に移動しますが・・・そこにはアペックスシールがあります。
ローターからアペックスシールに移動し,シールに沿ってさらに頂点に向かって移動します。
そしてシールの先端で,ハウジングとシールの間で潤滑油として機能します。
ハウジングに全くオイルが供給されていなくても,油膜なんて形成されていなくても,シール側からオイルが供給されるというわけです。
それに加えて・・・そこに集まってきたオイルはシールの移動とともに掻き取られるようにして,毛細管現象も手伝って,今度はシールとローターのわずかな隙間にも移動していきます。
そして,シールとローターの間で潤滑油として機能します。
シールの表側から伝わって,ローターの溝の奥まで入っていき,シールの裏側に回り込んで裏側も潤滑します。
潤滑もしますが,ここの隙間に入り込むことでシールとローターの間の気密性も高めることができます。
そしてさらにいいことには・・・ここは燃焼に伴う火炎が伝わりにくい部分です。
オイルで満たされている限り,酸素も届きませんからね。
燃焼室内では燃えてなくなってしまうオイルですが,ローターの溝の中では火炎が届かず,燃えずに残ります。
潤滑油として,気密性を高める物質として,そこに留まることができるのです。
そして,裏側から次の燃焼室に押し出されたオイルは,次の燃焼で燃えてしまいます。
たえず入れ替えが行われているということにもなります。
この時にいくつかのポイントがあります。
まず,ローターとシールの間のクリアランスが小さい場合は,硬いオイルは入っていきにくいということです。
入っていかなければ潤滑もできない,気密性も上げられないということになります。
新品のエンジンであればある程,クリアランスの少ないエンジンであればある程,オイルは軟らかい方がいいのではないかという考えが出てきます。
次に,ローターとシールの間のクリアランスが大きい場合ですが,この場合は硬いオイルでも入っていきやすくなってきます。
クリアランスが広がれば広がるほど硬いオイルは入りやすくなるでしょう。
その一方で,軟らかいオイルだとそのクリアランスを埋めることができなくなる可能性が出てきます。
経年変化で徐々に硬いオイルが必要になるとしたら,こういう理屈があるのかもしれません。
そして硬いオイルが入っていった場合は,その硬さゆえにシールの動きも硬く鈍くなります。
アペックスシールがスムーズに動くからこそ,シールとハウジングの間の気密性も高めることができるのですが,もう一つ重要なことは,アペックスシールがスムーズに動くということはシールとハウジングの間に強い圧迫力が発生したとしても,シールは容易に引っ込むこともできますから,強すぎる摩擦を避け,不必要な摩耗から逃れることができます。
アペックスシールのスムーズな動きを生み出すためにはオイルは不必要に硬くない方がいいということになります。
もう一つのポイントは,カーボンスラッジです。
カーボンスラッジの発生の少ないオイルが理想的・・・と言えますが,軟らかいオイルであれば,少量発生したカーボンスラッジでも洗い流してくれる,そんな気がしませんか?
逆に硬いオイルだと・・・ローターの溝の中でカーボンスラッジを保持しそうです。
これはエンジンが冷えるとそこに固着してしまいますよね。
固着したカーボンはシールの運動性も悪くしますし,ローターの溝に詰まってしまったらシールを下から押し上げることになって,戻ろうとするシールの動きを妨げることになります。
これではシールやハウジング内面が異常摩耗を起こしてもおかしくありませんよね。
で,次のポイントはエイト乗りの人は必読!
ペリフェラル排気であればシール周囲にたまったカーボンはエンジンの回転とともに排気ポートから吹き飛ばしてしまうこともできるだろうが,サイド排気のRENESISではそれができない。
だからペリフェラル排気であるRX-7よりもサイド排気であるRX-8の方がカーボンスラッジの発生に気を遣わなければならず,致命的になりやすい。
まとめると,軟らかいシャバシャバなオイルならサッと広がってシールとローターの間にサッと入り込み,ここは火が届きにくいから燃えカスも出にくいしシールとローターをうまく潤滑してくれる。
カーボンスラッジを発生させないためには,燃えた後にカーボンスラッジが出ないようなオイル選びよりも,サッと広がってシールとローターの間にサッと入り込むほうが重要。
「燃えた後にカーボンスラッジが出ないようなオイル」を選ばなければならないのは,硬すぎるオイルだから苦肉の策として仕方なくそうせざるを得ないだけ・・・そうじゃないとカーボンスラッジだらけになっちゃうから。
要するに,硬すぎるオイルを選んだことが全ての悪循環を引き起こしている。