2018年10月23日
ジムカーナ公式戦参加のススメ(後編)
2017年は、シーズン途中からとはいえ、中国地区ジムカーナBRKクラスを1年間追い、一段落。
よくわからない間に、シリーズ表彰式にも参加させていただきました。
よく知る地区戦ランナーからは「コレで逃げられんで(笑)」と言われ、一度、間違って入ってしまうと抜けることが大変な◎◎◎な世界と同じ仕組みであることを、そこで知ります(笑)
それはともかく、クルマで走り始めた頃と変わらない「運転が上手くなりたい」という気持ちは今も変わっていませんが、漠然と上手くなりたいと思っていたものが、地区戦に参加したことで、いろんな人の走りを見たり、苦い経験をしたりしたことで、上手くなりたいという思いがより具体的になってきたことは間違いありません。
ジムカーナをやりながら、耐久レースに参加していたころは、抜いたり抜かれたりというレースの方が性分にあっていると思っていた時期もありましたが、あるときから熱量が下がってしまいました。
それが腕ではなく道具の差で余りにも勝負にならない状況に諦め始めた自分に気が付いたからです。
モータースポーツは道具を使うスポーツ。
他者よりも優位に立つためには、いい道具を手にすることから始まるのが常套手段。
それはわかるのですが、私が目指していたことはそれではなく、あくまでも自分自身のスキルアップ。
勝敗を度外視するわけではありませんが、やっぱり、スキルアップを実感し、納得のいく走りができた方が楽しい!・・・と私は思うわけです。
サーキットのタイムアタックも嫌いではありませんが、ある一定領域まで到達すると、スキルだけではコンマ1秒を削ることが難しくなり、行きつくところ、気温条件をにらみ続けたり、道具を進化させたりしないとタイムが伸びなくなってきます。
クルマが速いのかドライバーが速いのか、タイムだけ見るとわかりませんが、「タイムだけ出ればよい」ということに少しだけ疲れてきた時期でもありました。
そんな中、ジムカーナは二度と同じコースは存在しないため、以前のタイムは度外視。
似たようなコースはあっても、パイロンの配置一つでコースは変わり、無限に存在するコースによって、常に初見の気持ちで臨めるため、まさに一期一会です。
そして、公式戦ではたった2本しか走れないという、恐ろしいコスパの悪さ(笑)なのに、その2本のためにコースを覚えるために歩き、短時間で攻略方法を考えます。
サーキットのタイムアタックは、おおむねベストラップのラインがあり、それを忠実にトレースすることが基本ですが、失敗しても何度でもやり直しができます。
耐久レースは、ベストラップのラインは通れない場合やラインのつぶし合いになると思ってよいので、ベストなラインを外してもタイムをできる限り落とさない走りの方が重要になります。
ジムカーナは、その日に発表されたコース図を見ながら、「どのラインを通るか、どのギア選択するか、サイドを引くかグリップで曲がるかなど」を短時間でイメージし、判断しなければなりません。
レースも頭を使うモータースポーツとは思いますが、他車との駆け引きではなく、あくまでも自分自身との戦いの中で頭を使うということはジムカーナの特徴の一つだと思いますし、面白さの一つだと思います。
持っている技術を駆使するだけでなく、メンタルのスポーツでもあるジムカーナ。
パイロンタッチを恐れず攻める走りだけでなく、他のドライバーのタイムアップのアナウンスなどプレッシャーとなる要素はいろいろとあります。
基本、1台ずつ出走するため、出走前にプレッシャーに押しつぶされそうになるときは、心臓がバクバクになります。
他には、出走直前に集中力を切らして走りがグダグダになることもあります。
2018年のタカタサーキットで開催された最終戦の2本目、雨のため光電管トラブルとなり、私は出走直前で10分以上待機させられた結果、集中力切れ。
案の定、ギアを入れ損ねたり、大スピンをしたりと、グダグダになりました。
走る前から自分との勝負に負けた典型例でした。
たった2本しかないため、仮に1本目にミスをすれば残り1本が勝負の分かれ目。
一発勝負の走りをすればミスも出やすくなり、タイムをもっと落とすリスクもある。
でも、守りの走りをすればタイムは伸びない。
そのジレンマと戦うこともジムカーナではありますが、公式戦に参加している速いドライバーは、どんな局面でも当然2本目もベストな走りを目指し、そして結果も出してきます。
また、メンタルだけではどうしようもない場面として、1本目はドライだったのに、2本目に雨が降るという不運もあります(笑)。
最悪なのは、直前のドライバーまで天気が持ちこたえたのに、自分の前で雨が降り始めるという場合もあります(笑)
実際にこの経験があるのですが、出走待ちのときに「(天気が)持ってくれぇ~!」と心の中で叫んでいるのに、フロントガラスを雨が濡らし始めたときは、「ヤラれたー(苦笑)」とシャウト(笑)
でも、これもジムカーナ。
練習会や2本以上走行できるイベントであれば、気持ちのゆとりも生まれますし、1本目は様子見で走り、2本目からホンキで走ろうということもできますが、2本しか走れないとなると、1本目から全開で走行しなければなりません。
路温が低く、タイヤも冷えているようなときでも全開走行(=状況に応じた最高のパフォーマンスの走り)をするのがジムカーナなので、「探りの感覚」は必然的に磨かれていきますね。
そういうことでも、たった2本しか走れない中で全力を出し切るという緊張感は、やはり公式戦ならではと思います。
「それでは、走る回数を減らせば同じことでは?」と思うのですが、公式戦は独特の雰囲気があります。
雰囲気を一言でいえば、格式+α
地区戦レベルではなく、全日本レベルになると、それはもっと顕著になると思いますが、きちんと主催者、競技長、来賓のあいさつ等あるところが、格式を感じます。
私は、その格式を感じたいから参加しているのではなく、+αの方を重視しています。
練習会とは明らかに違う真剣な空気は、公式戦ならではと思います。
ワイワイ楽しく完熟歩行をしている人たちも当然いますが、一人黙々と歩いてコースを覚えたり、中には歩行ではなくコースをランニングしたりしている人もいます。
あの姿を見て、今までコースを真面目に覚えずに行き当たりばったりで走っていた私は反省しました。
「コース攻略は完熟歩行で決まる」という人もいますので、完熟歩行の重要性を思い知らされた気がしました。
そして、地区戦だと、真剣に取り組んでいる人が多いので、基本、運転が上手い人が多く、走りを見ているだけでも勉強になることが多いです。
長くこの趣味を続けるためにも、楽しく走ることは大事だと思いますし、私もそれは重視しています。
それゆえに、公式戦以外のイベントにも楽しそうだなと思えば、いろんなイベントに参加していますが・・・
「楽しいだけではドライビングスキルは上がらないこと」を私は知ってしまいました。
いつもとは違う空気を感じたい。
いつもとは違う緊張感を味わいたい。
いつもとは違うステージで腕を試してみたい。
何よりも、もっと上手くなりたい。
そういう人は、公式戦への参加を本当にオススメします。
参加すれば、何かしら意識や考え方は変わると思います。
「2回しか走れないのはちょっと・・・」という人は、フレッシュマンクラスをオススメします。
練習走行が1回あり、本トライ2本の計3本走れるだけでなく、エントリー代も選手権クラスより安いので、これから公式戦に挑戦しようと思う人にとっては、参加しやすいと思います。
一度参加してみて、自分には合わないなぁと思えば、次は無理して参加する必要はないと思いますが、過去の私のように食わず嫌いで参加しないのはもったいないかも知れません。
(私にとっては)決して安くないエントリー代ですが、見るだけでなく、実際に参加してみて、上手い人の走りと自分の走りを見比べ、何故、あんなに差があるのかと、刺激を受けると、必ず次につながると思います。
私も同クラスだけでなく他クラスの人の走りを見て、毎回、打ちのめされていますが(爆)、それは「もっと上手くなりたい」という動機につながっています。
いつまでこの趣味を続けられるかわかりませんが、刺激を受けたいと思い続けている間は、公式戦へも参加しようと思います。
2年弱しか公式戦を経験していないので、公式戦については未だに知らないことが多い私。
そんな公式戦ド素人に近い私の感覚は、公式戦未経験者に近いものがあると思い、公式戦に初挑戦したころの新鮮な気持ちを思い出して書いてみました。
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Posted at
2018/10/23 08:12:14
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