C-HR用自作ステアリングヒーター4回目はエアーバック外しの本編です。さて、実際のエアーバック外しとそのコツについてご紹介します。
※作業に関しては、同様の事をされる場合自己責任でお願いします。(私はしていませんが)確実に安全に作業するためにはバッテリーを外して作業する事をおすすめします。
帰ってから、自分でやってみました。ディーラーさんからはエアーバックの外し方の資料もいただきました。
まず、C-HR用自作ステアリングヒーター(3)番外編でご紹介したようにホーンのリレーを外し、左下の使用しないヒューズの保管場所に移動させました。
次に、ステアリングコラムを外します。ステアリングを回して、左右にあるボルトを外しました。
その後、ステアリングカラムの上下のパーツの間に内張りはがしを挿入して、上下のパーツを分離しました。
下のパーツを外しました。
ステアリングカラムを外すと、ステアリングの裏側にあるサービスホールにアクセスする事ができるようになります。サービスホールは時計でいえば、2時・6時・10時の3カ所にあります。
メンテナンスDVDではドライバーを使用していましたが、トヨタの説明書では6mmの6角レンチを使用するように書かれていました。図のように、95mmぐらいのレンチを用意し、端から55mmのところにマスキングするように書かれていました(めんどくさかったのでマーキングなしでやりました)。
サービスホールから6角レンチを入れてグリグリしました。
これはエアーバックを外した後で、奥のサービスホールから6角レンチが出てくる様子です。
6角レンチは真っ直ぐ押し込むと、必ず、手前の三角形の突起に突き当たります。その突起の上に手前のエアーバックから板状もの(ハウジングタブというそうです)が伸びてきてひっかっかっているようです。6 時のところは図にようになっているそうです。ちょっとわかりにくいですが、赤いところが三角形の突起です。その上にエアーバックからのびてきている板状のもの(ハウジングタブ)がのびてきて、赤い突起にひっかかっています。なので、6角レンチを三角形の突起に当たるまで押し込んでから、上に持ち上げるような動きが必要です(図上)。
写真のように、6角レンチを真っ直ぐにいれ、突き当たりで当たったら、上に押し上げるような動きが必要です。
イメージの動画はこちら
実際にその動きで6時の勘合を外しているのがこちら
このように6時の勘合は比較的容易に外れます。調子に乗って、2時と10時も同じようなやり方で外そうとしてもなかなか外れません。たまたまうまく外れる時もあるのですが、確実ではありません。どうしてでしょう?
自分のためでもあり、みなさんのためにも、ここの構造を詳しく調べてみる事にしました。説明書をよく見ると、6時のところの図と2時・10時のところの図が少し違っています。
2時・10時のところの図は下のようになっていました。
エアーバックから伸びてくる板状のもの(*a)はハウジングタブと呼ばれるそうです。これは6時でもありましたが、2時・10時の図では(*b)の構造があり、これはオメガスプリングと呼ばれるようです。そして説明書には「ハウジングタブを押し込む事によって、オメガスプリングが押され、芯金フックの勘合がはずれる」と書かれています。
文字だけではわかりにくいので、写真で説明します。
これは外したエアーバックを裏側からみたところですが、外側にあるシルバーの針金がΩ(オメガ)の形に似ているのでオメガスプリングと呼ばれているようですね。
オメガスプリングは外側から内側方向に動く構造になっています(ハウジングタブから見ると、上に押さえつけるようにのっかっていますが、上側に動かせる位置関係になります)。
写真を見るとわかりますが、6時のところにはオメガスプリングがありません。
2時と10時のところにはオメガスプリングがあります。
そして、重要な事に気が付いたのですが、ハウジングタブの根元部分には空洞がありました(実はこれが大変重要な構造なのだと思います、私的には大発見)。
これらの情報から、実際の状況を図に書いてみました。エアーバックがはまっているところは見えませんので、TOYOTAの横からみた断面図とエアーバックやステアリングのパーツを観察した結果、このようになっていると考えました。
青いところはステアリングです。サービスホールから6角レンチをまっすぐ挿入すると、横からみると三角形の突起部分に突き当たります。その突起部分の上に図では赤のハウジングタブという板状のパーツがのっていると思われます。
勘合の外し方は突起とハウジングタブの間に6角レンチの先を入れて、上に持ち上がるような形になります。
横からみるとこんな感じになります。
一旦6角レンチを真っ直ぐ挿入し、突き当たりの3角形の突起まで進めたあと、6角レンチを上の方に動かして、ハウジングタブとの間に挿入・持ち上げて勘合を外すという事になります。
これで6時の勘合はすんなり外れます。しかし、2時と10時の勘合は同じ事をしてもなかなかはずれません。これには、6時と違った構造が影響していると思われます。2時と10時にはオメガスプリングという金属棒がハウジングタブの上に載っています。
10時の勘合部分を外側から見た図です(まるで見てきたように書いてますね〜、一応想像図)。
6時とは違って、ハウジングタブをオメガスプリングが上から押さえて勘合が外れにくいようにしているようです(まるでイジワル仕様です)。
なので、ハウジングタブをうまい具合に持ち上げて、オメガスプリングを上側に移動させながら、勘合をはずさなければなりません。
ここで第2のトラップです(第1のトラップはオメガスプリングです)。ハウジングタブの奥の方は、説明したように真ん中部分がくりぬかれて空洞になっています。
するとどうでしょう?オメガスプリングで押さえつけられているハウジングタブを持ち上げようと、6角レンチを深く挿入すると、6角レンチはこの空洞部分に突き抜けてしまうのです。
6角レンチが突き抜けてしまうと、うまくハウジングタブを持ち上げる事ができなくなります(これは6時の勘合でも同じですが、6時の勘合ではオメガスプリングでハウジングタブが押さえつけられていない分、奥へ6角レンチが突き抜けても勘合がはずせてしまいます)。
なので、6角レンチが奥に突き抜けないような深さで、ハウジングタブを持ち上げなければうまく外せないのです。これはエアーバックを簡単に外せないようにワザとしているのでしょうね。では、どうやって突き抜けないような深さを調節したら良いのでしょうか?
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あっ
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そういえば
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6角レンチにマーキングしていた…
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そう、TOYOTAの解説書にこう書かれていました。端から55mmのところに印をつけろと。
これはまさに、深さの調節の事を示していたのですね!6角レンチをこの深さに調節すると、ちょうど、突起とハウジング部分に6角レンチの先を奥に突き抜けないような形で固定できるんだと思います。
なので、
6角レンチに端から55mmのところにマーキングして、そこまで挿入すると、ちょうど突き抜けずにハウジングタブを押し上げる事ができるんだと思います。これがまさにコツです。
メンテナンスDVDではドライバーで外していますが、このような事は書かれていません(というかどこを探してもこのような事が書かれていません)。ドライバーで行う場合も端から55mmにマーキングして深さ調整をすべきだと思います。
これまで書いたような方法で作業する事により、安心して短時間で確実にエアーバックを外す事ができるようになりました。
はずれたエアーバックには配線がいくつかつながっています。まず写真左奥の黒い配線を外します。これはホーンの電源のようです。
ホーンの配線はひっぱれば簡単に外れます。
つぎにエアーバックの配線を外します。エアーバックの配線はホーンの中央に接続されています。黄色とオレンジのパーツですね。
まずオレンジのパーツをマイナスドライバーなどを用いて浮かせます。
するとロックが外れるので、黄色いパーツが外れるようになります。
次に、エアーバックの配線の固定具を取り外します。ピンクのパーツです。
手前の部分を精密ドライバーなどで手前に引き寄せれば、上に引き抜く事ができます。
これでエアーバックが完全に外れました。
なお外したエアーバックの保管は展開面を上にしておくように書かれています。
こういう置き方はダメという事ですね。カバーの部分を上向きに置いて下さい。(作業中は自分の足の上じゃなく、助手席や後部座席においておきましょう)
作業後にエアーバックを戻す時の映像です。ぱちっとはまりますが、当然ホーンを押す事になるので、この時までホーンのリレーは外しておいて、戻した後、リレーも戻す事を忘れないでください。
長くなりましたが、これでエアーバックの脱着の解説ブログは終了です。次回(5)でいよいよ導通チェックと配線準備についてお伝えします。
C-HR FANの過去の投稿リストはこちらです。
C-HR FANの投稿リスト8 (2019-04-18~)